ボディービルダーがラッパーに勝利!IGF戦士フィリップ・デ・フライ王座防衛!KSW45

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 10月6日(現地時間)にイギリス・ロンドンで『KSW 45: The Return to Wembley』が開催された。
 KSW(Konfrontacja Sztuk Walki=コンフロンタチャ・シュトゥク・ヴァルキ)は、ポーランドの総合格闘技団体。団体名はポーランド語で「総合格闘技が激突する」という意味。2009年に地上波Polsatで生中継されたKSW 12は、視聴者数650万人を記録しサッカー EURO 2012に抜かれるまではポーランドのスポーツ中継で史上2位の記録だったほど欧州最大のMMA団体となっている。2017年には本拠地ポーランドで6万人を集めた大会を成功させ、欧州最大のMMA団体として存在感を示している。
 今大会はKSWが第二の本拠地としているイギリス大会で、なんと大会場SSEアリーナ(ウェンブリー・アリーナ)での開催となった。ヘビー級とウェルター級という二階級の王座戦が組まれたが、注目度が高かったのはセミファイナルで行われたポペック・モンスター対エルコ・ユンの一戦だ。ポペック・モンスターは本名パベウ・ミコワイウフだが、ラッパーとしての名義ポペック・モンスターの名前が世界に広く知れ渡っている。ラッパーとしてだけではなく上記の眼球に刺青をしたり、頬をナイフで切り裂き、血を流しながら新しいファッションだと発表するなど話題を振りまいているがMMAでも活躍しており、怪力世界一男マリウス・プジアノフスキー、ボディビル王者ロバート・ブルネイカ、俳優トマシュ・オズウィエンチンスキと名勝負を行っている。対するユンは世界的に有名なボディービルダー、フィットネスモデルで、その圧倒的肉体美で人気を博しており、KSWでMMAデビュー。モンスターに勝利しているアクション俳優オズウィエンチンスキにMMAデビュー戦で勝利している。しかし、高齢のオズウィエンチンスキのスタミナ切れを狙って逃げ回って自滅を待つ戦法で勝利しただけに、今回が本当の強さを図るカードとなった。試合はお互いにスタンド打撃の攻防から、モンスターが組みついてユンを金網に押し込む展開が続く。2Rもお互いに打撃を出しあった後、金網に押し込みとなるも、強引にテイクダウンを仕掛けたモンスターが逆にユンに潰され、バックマウントを奪われてしまう。グランドでバックを制したユンはパンチ連打。モンスターは頭を抱えて抵抗できず、レフェリーがストップ。ユンがTKO勝利となった。
 またメインイベントではヘビー級王座戦が組まれ、現王者フィリップ・デ・フライに元王者カロル・ベドルフが挑戦した。フライは元UFC戦士で、日本の猪木ゲノムでも試合をしており、ミハウ・アンドレシャクとの王座決定戦で勝利して新王者となっている。ベドルフは2016年12月にフェルナンド・ロドリゲス・JrにKO負けして王座陥落後、アキレス腱を痛め長期欠場していたが、2018年6月に復帰。ポーランドの国民的英雄であるマリウス・プジアノフスキーに勝利して復活をアピールし、今回王座奪還のチャンスを得た。重い打撃で迫るベドルフとの打撃戦を避けたいフライは、強引にテイクダウンを奪うと絶対にスタンドに戻れないようにコントロールする。ベドルフも下からアームロックを仕掛けたりするが、フライが有利に試合を進めた。そして2Rも同じ様にフライがテイクダウンを奪い、アメリカーナ(腕絡み)ががっちり極まりベドルフはタップ。フライが見事に王座防衛を果たした。
 また元ACBライトヘビー級王者であり、UFCや日本の団体にも参戦してるチアゴ・シウバがKSW初参戦。同じく元UFCで、K-1にも参戦していたジェイムス・マックスィーニーと対戦した。試合はマックスィーニーがハイキックや飛び膝蹴りで攻めるも、シウバも顔面にパンチ連打で反撃。途中、マックスィーニーが指が目に入ったとアピールして中断もあり、判定ではシウバが勝利となった。
 また大会では世界最大級の筋肉を持つ男と言われる俳優、ボディービルダーのマーティン・フォードが紹介され、なんとKSWでMMAデビューする予定である事まで発表された。

■ KSW 45: The Return to Wembley
日時:2018年10月6日(現地時間)
会場:イギリス・ロンドン SSEアリーナ(ウェンブリー・アリーナ)

<ヘビー級王座タイトルマッチ>
○フィリップ・デ・フライ(英国/王者)
 2R 2R 4分26秒 アメリカーナ
●カロル・ベドルフ(ポーランド/挑戦者)

<ヘビー級/5分3R>
○エルコ・ユン(ベルギー/ボスニア・ヘルツェゴビナ)
 2R 2分08秒 TKO
●ポペック・モンスター(ポーランド)

<ミドル級王座決定トーナメント準決勝>
○ミハウ・マテウ(ポーランド)
 1R 3分10秒 TKO
●デミアン・ヤニコフスキ(ポーランド)

<ウェルター級王座タイトルマッチ>
○ロベルト・ソルディック(クロアチア/挑戦者)
 3R 2分33秒 TKO
●ドリキュス・デュプレシー(南アフリカ/王者)

<ミドル級王座決定トーナメント準決勝>
○スコット・アスカム(英国)
 1R 1分37秒 TKO
●マルチン・ボイチク(ポーランド)

<ヘビー級>
○チアゴ・シウバ(ブラジル)
 判定
●ジェイムス・マックスィーニー(英国)