[ファイトクラブ]8・19『サマースラム』ベッキーへのheatが最大音!王座交代大会裏総括

[週刊ファイト8月30日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼8・19『サマースラム』ベッキーへのheatが最大音!王座交代大会裏総括
 Photo by George Napolitano 編集部編
・会場が揺れたシャーロット戴冠、ベッキー・リンチ怒るの女子王座戦考
・シャーロットのヒールターンに変更!? ローマン帝国が長くかかった理由
・ローマン・レインズ、ロンダ・ラウジー、シャーロット、セス・ロリンズ戴冠
・4年越しローマン・レインズ戴冠!短くまとめたブロック・レスナー戦
・spot call声が聞こえるお化けメイク緊張のロンダがアレクサをsquash
・中邑真輔、ジェフ・ハーディ、ランディ・オートンの中堅番付とUS王座
・デーモンキャラ無敗フィン・ベイラー、バロン・コービンSD暫定GM一蹴
・23分25秒:ミズとダニエル・ブライアンが中身の濃さ魅せ抗争は続く
・「TNAコール」が起きたAJとサモア・ジョーの家庭崩壊ネタはまだ続く
・王座移動なかったのにルーク・ハーパー負傷でタッグ戦線やり直しに
・ベラツインズによる『Evolution』告知はブルックリン客には受けずブーイング
・WWE報復第一弾!新日契約寸前だった元EVOLVE王者マット・リドル


会場が揺れたシャーロット戴冠、ベッキー・リンチ怒るの女子王座戦考
<第4試合 SD女子王座トリプルスレット戦>
[挑戦者]○シャーロット・フレアー
 ナチュラルセレクション
[挑戦者]●ベッキー・リンチ
※もう一人は[王者]カーメラ
※シャーロットが新王者、試合後ベッキーがシャーロットをボコる⇒友情崩壊なのか?

 プロレスはケツが決まっているのに、そんなのどこが面白いのかという感性が鈍い人たちがいる。ほっておけばイイという意見もあるが、わかった上で楽しめば、底なし沼に突き落とされること請け合いのスポーツ芸術だ。
 なんら自慢する必要はなく、すべて本誌バックナンバーに活字になっていることだが、ユニバーサル王座の交代以下、予言通りだったことは述べるまでもない。ビックイベントというのは専門家ならケツが読めているものだし、それで正解なんだ、なんら奇をてらう必要はないという正論もある。ただ、大会前からずっと気になっていたのがこの女子王座戦である。ケツはどうするのか、と。

 記者だけが違うことを言っているというケース・スタディは今回は置いて置くとして、シャーロットとベッキー・リンチの友情物語は、映画『テルマ&ルイーズ』みたいだと直感で思ったのみならず、そのようにSNSで書いているファンが大勢いて、皆さん考えることは一緒なんだなぁと納得した経緯があった。ただ、もしも『テルマ&ルイーズ』だとしたら、二人とも車ごと崖から落ちる結末だから、結局はカーメラが漁夫の利というのか、試合の骨格は二人の職人にレスリングをさせて、最後は単なるDIVA(笑-と一部で揶揄されている)カーメラ、しかもステタン・アイランド出身の地元の娘が王座防衛という、最悪のケツになってしまうのではないか、それだけは絶対に嫌だなぁとの懸念があった。また、これも同じように心配しているファンが少なくなく、いくらしゃべれるからと、カーメラをチャンピオンにしていたら女子革命Evolutionの看板が偽りになってしまうのではないかと。
 ところが、実際の試合展開は予想を裏切るもので、結構カーメラが交互に二人と闘う筋書きで、しかも、これまでのカーメラの試合では最も良く出来たんではないか。これだから、底なし沼はわからないモンだと。

 いずれにせよ、記者も、そしてブルックリンの会場客も、ベッキー・リンチの戴冠を望んでいるカードであることは明らかだったが、ケツはシャーロットがベッキーをピンするものだった。そして二人はいったんは抱擁するのだが、ここでベッキーがヒールターンして、シャーロットをボコるのだ。この時の会場のボルテージ爆発はWWEネットワーク配信で見ている世界中のファンにも実況音が拾ったハズだ。間違いなく、この日一番の大きな歓声であり、本誌予想通り、王座交代が続出した大会ながら、良くも悪くも「観客のHEATを沸騰させた」ことは間違いない。

 さて、ブーイングだろうが歓声だろうが、客を沸かせた選手が一番偉いというセオリーなのが大衆感情操作をビジネスの骨格とするプロレス芸術なのであるが、今回の計画は失敗という評価が大半である。お客が感情移入させたベッキーのヒールターンを望んでないからだ。
 2日後のSmackDown LIVE中継でも、シナリオ班は当初の予定通りにベッキーにヒール演説をさせたのだが、またもお客さんは買わなかった。
 プロレスは全部決まっているって? お客さんが納得してくれなければ、そのヒールターンは失敗だったと評さざるを得ない。プロレスは聖なるLIVE空間で演じられる格闘演劇とも定義されるが、本当のケツは試合の勝者、敗者ではない。プロレスの本当のケツは決まってなかったのだ。このレトリックにやられたと気が付いたら、貴方はもう底なし沼に落ちている。

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