[ファイトクラブ]6・17戦争で明らかになった2018年K-1の熱狂と実態

[週刊ファイト6月28日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼6・17戦争で明らかになった2018年K-1の熱狂と実態
 photo & text by こもとめいこ♂
・1日3試合、2ノックダウン制トーナメントの賞味期限
・お家芸だった不可解判定は新体制で払拭されたか?
・試合をしない武尊登場で大盛り上がりの危うい現実
・K-1は日本の縮図か?虚飾のバランスシートにアベ政権との近似性

 ブシロードの配信サイト響ラジオステーションの『RADIO KNOCK OUT』が非常に面白い。6月21日現在第2回まで配信中で、元々声優だったという村田晴郎アナと、KNOCK OUT両国大会のアンバサダーでお馴染み響所属の橘田いずみさんという組み合わせで、ゲストの森井の良さを引き出していて格闘技ファンならずとも必聴。

 そんな『RADIO KNOCK OUT』で披露されたのが、橘田さんがかなり以前からキックボクシングが好きで、むしろ木谷オーナーにキックボクシング観戦を薦めていたという意外な事実。

6・8後楽園ホールバルコニーの木谷オーナーと橘田いずみさん

 そこで観戦していた例に挙げられたのがやはりというか『K-1甲子園』。ここのところの一連の流れを鑑みるとドキッとする発言だが、果たしてどこまで確信的なのかは知る由もない。1つ言える事は
「実はK-1はキックボクシングではない」
という事実だけだ。
 もちろん格闘技ファンから見ればキックボクシングの1形態以外の何物でもないが、K-1の公式サイトには『キックボクシング』という文字は見当たらない。『K-1』はK-1という競技であり、『世界最高峰の立ち技格闘技』と記されているだけである。K-1ジムのサイトをみると、ようやくトップページにキックボクシング×フィットネスと出てくるが、K-1がキックボクシングの1形態だという説明はされていない。

 もちろん、K-1の原点が、野心家・石井和義正道会館館長による、佐竹雅昭の前田日明に対する挑戦表明である以上、空手がそのルーツだからという説明はできよう。形としてはキックボクシングだが、ヒジも首相撲も禁止されていて、『蹴ってもいいボクシング』というべき競技だからという説明も成り立つ。ジムがキックをうたうのは、「空手」では怖いイメージがあって…という純粋にビジネス上の理由であろう。
 実は『RISE』もキックボクシングとはうたっていない。あくまでも『立ち技打撃格闘技』である。だが、那須川天心も所属する伊藤代表のTARGETはキックボクシングのジムであることを全面的に打ち出しているし、その源流であるムエタイへのリスペクトを欠かしていないのは、ルンピニー王者のロッタンを、世界ベルトを巻く資格ありと招いて那須川天心と闘わせた事を見れば明らか。

 あくまでも、安全性と、不特定多数に向けた興行としての観点から凶器であるヒジを禁じているに過ぎない。ムエタイを無視して『立ち技最高峰』を銘打っても看板に偽りありという事は格闘技を少しでも知っていれば誰でも解る事実ではある。
 
 6月17日(日)その『立ち技の最高峰』K-1をさいたまスーパーアリーナへ観に行った。
 会場周辺へ着くと、「国を愛する事をHINOMARUと表現した稚拙な歌詞」で話題のRADWIMPSのTシャツを着た若者が目につく。

「会場を間違ったか?」
と確認してみると、確かに『さいたまスーパーアリーナコミュニティホール』となっている。
 つまりこの日は、さいたまスーパーアリーナはスタンドを移動して大小に2分割、メインホールでRADWIMPS、コミュニティアリーナでは『K-1』が行われる事になっていたのだ。
 スーパーアリーナ近辺も当然17:30開演のRADWIMPSの観客でごった返し、K-1を観に来た少数派は、案内を頼りに階段を下りてコミュニティアリーナへ向かう。検索した限りではレイアウトによって3300~4000人ほど収容可能とされるコミュニティアリーナ側の入り口には、同じデザインのフラワースタンドが並べられていてパチンコ/パチスロ屋の店頭を思わせる。


 会場入りしたのは15:00を若干過ぎており、オープニングが始まっていたが、アリーナにはごっそりと空席が目立つ。噂には聞いていたが、別々に購入してたまたま遅れているならば点在するはずで、招待券をかなりのまとまった枚数バラ撒かなければこういう事態は起きないであろう。

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