『G1 CLIMAX 27』後楽園3連戦の2戦目が連日の満員札止めで行われた。
当日券は発売前から長蛇の列。
リーグ戦はもちろん、タッグマッチでも翌日のリーグ戦の前哨戦が組まれ、当然G1一色に染まる新日本プロレス。
だがその流れにタイチが公然と割って入り場内を唖然とさせた。
第2試合でタイチが再三BUSHIのマスクに手をかけていたのだが、当然、G1の真っ最中にタイチが前触れ無くBUSHIのマスクを剥ぐとは誰も思わないまま試合は終了。
ところがタイチはリング上で実際にマスクを剥いでBUSHIの素顔を晒す暴挙に。これは入場時にもタイチがチラシを持っていた『8・28TAKA&タイチ興行』に出場するBUSHIへのデモンストレーションだと思われるが、その興行はチケットも完売しておりわざわざ煽る必然性は感じられないだけにまさかの展開。
さらに剥いだマスクを被ったタイチはBUSHIのモノマネで茶化す。
当然怒り心頭のBUSHIに慌てて岡らヤングライオンがTシャツを頭にかけて押さえたが、L.I.Jファンで埋まった後楽園ホールはブーイングを飛ばすのも忘れ唖然と成り行きを見守ることとなった。
G1とは別の流れを強引に造り出す鈴木軍の、とにかく話題になろうというガムシャラさは、他のレスラーも見習うべかもしれない。
続く第3試合のバレットクラブ対決は、これぞ本領発揮という展開。
まず、仲間アピールをした4人が技をかけるでもなくタッチやロープワークを見せ、ようやくかけたと思った技の応酬は直ぐにブレークする。だが、そこで豹変したタマ・トンガが突然ケニー・オメガの右膝を攻撃するというもの。
普段のプロレスのセルフパロディをしながらリーグ戦での対決を煽る笑えるギミックだが、これも真面目なL.I.Jファンの反応はいまいち。
アメリカも日本も激しい試合への反応は概ね一緒だろうし、矢野通劇場は笑えるのだから素養はなくはないはずだが、こういう展開を受け入れるにはまだ時間がかかりそうである。アメリカンジョークを持て囃すいけすかない欧米かぶれのようで恐縮だが、本誌で再三提言する「大人のファン」を養成しない事への弊害がこういう所で出るといわざるを得ない。
さて、リーグ戦だが、この日は恐らくTwitterの勝敗予想も正解続出であろうと断言できる鉄板のラインナップ。
そんな中、注目はやはりメーンの内藤-YOSHI-HASHI戦。
といっても勝敗の興味というより、散々こき下ろされたYOSHI-HASHIのファイト内容へのそれだったが、一言でいえばやはり「いつものYOSHI-HASHI」の殻をぶち破ったとの印象は希薄。むしろ内藤の受けの凄みを実感させられた。
キックにしても「『練習したのに』といわれたから慌てて出した感」が漂う雑なミドルで、気持ちが伝わったのは、終盤のチョップの打ち合いぐらいか。長時間捉えたバタフライロックも、「ガチッと決まって逃げられない」「あわや」が感じられないのは「飄々としたYOSHI-HASHIのらしさ」なのかもしれないが、プロレスラーとしてはいかがなものか。
YOSHI-HASHIコールが起きそうになるとすかさず大内藤コールで圧倒するL.I.Jファンが思わずブーイングするようなファイトが求められただけに消化不良は否めない。
第3試合の裕二郎の様に自分のポジションを楽しむ余裕があれば良いのだが、そうでないなら残り試合、端から見てると何故入場時に持っているのか解らないあの棒で相手をメチャメチャに殴りつけるぐらいの暴走を期待したいところである。
最後に、筆者G1制覇予想の飯伏が無事初星をあげたが、自力でのAリーグ突破には残り全勝でも直接対決で敗れた内藤の2敗が必須条件となる。同様に飯伏を予想された方は、どこで内藤が星を落とすかの予想もしてみるとより楽しめるだろう。
■ ローソンチケット Presents G1 CLIMAX 27
日時:7月21日(金) 17:30開場 18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1728人(札止め)
<第1試合 20分1本勝負>
●デビッド・フィンレー ジュース・ロビンソン
7分13秒 Banshee Muzzle※ギブアップ
高橋ヒロム 〇“キング・オブ・ダークネス”EVIL
<第2試合 20分1本勝負>
〇タイチ 鈴木みのる
8分13秒 タイチ式外道クラッチ
●BUSHI SANADA
<第3試合 20分1本勝負>
〇高橋裕二郎 ケニー・オメガ
7分45秒 ピンプジュース⇒片エビ固め
●チェーズ・オーエンズ タマ・トンガ
<第4試合 20分1本勝負>
〇天山広吉 小島聡 マイケル・エルガン
8分12秒 アナコンダバイス※ギブアップ
●外道 矢野通 オカダ・カズチカ
<第5試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Aブロック公式戦>
(0勝2敗=0点)
●永田裕志
15分02秒 GTR⇒片エビ固め
〇後藤洋央紀
(2勝0敗=4点)
<第6試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Aブロック公式戦>
(0勝2敗=0点)
●真壁刀義
15分51秒 垂直落下式ブレーンバスター⇒片エビ固め
〇石井智宏
(1勝1敗=2点)
<第7試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Aブロック公式戦>
(1勝1敗=2点)
〇飯伏幸太
15分51秒 シットダウン式ラストライド⇒エビ固め
●ザック・セイバーJr.
(1勝1敗=2点)
<第8試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Aブロック公式戦>
(1勝1敗=2点)
〇棚橋弘至
11分05秒 リングアウト
●バッドラック・ファレ
(1勝1敗=2点)
<第9試合 30分1本勝負 『G1 CLIMAX 27』Aブロック公式戦>
(1勝1敗=2点)
●YOSHI-HASHI
22分19秒 デスティーノ⇒片エビ固め
〇内藤哲也
(2勝0敗=4点)
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