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[週刊ファイト06月11日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼Hホーガン「薬物地獄」報道は本当なのか? ゴシップ誌が見落としているもの
Mike Lano通信員提供 編集部編
・ゴシップ誌が描いた「転落したホーガン」悪意の誇張報道
・ハルク・ホーガンを否定することはプロレス史を否定すること
・Netflixドキュメンタリーが描いた本当のホーガン像
・それでもハルク・ホーガンはプロレス史上最大のスターだった
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ゴシップ誌が描いた「転落したホーガン」悪意の誇張報道

アメリカのゴシップ誌『Globe』が、故ハルク・ホーガンを大きく取り上げている。
誌面には、
「THE HULKSTER’S HEAVYWEIGHT HABIT(ハルクスターの重量級の悪癖)」
「INSANE DRUG HABIT EXPOSED!(狂気の薬物習慣が暴露された)」
といった刺激的な見出しが並ぶ。
記事だけを見ると、ホーガンは薬物依存によって人生を破滅させた人物であり、晩年は薬漬けだったかのような印象を受ける。実際、記事にはフェンタニルや鎮痛剤の大量摂取について書かれている。
しかし、ここで注意しなければならないのは、この情報がゴシップ誌独自のスクープではないということだ。元ネタはNetflixドキュメンタリー『Hulk Hogan: Real American』であり、ホーガン本人が生前に語った証言である。つまり、フェンタニルを使用していたこと自体は事実だ。
だが、Globe誌はその事実のみを最大限に誇張し、あたかもホーガンの人生そのものが薬物によって支配されていたかのような構図を作り上げている。プロレスファンが違和感を覚えるのはまさにそこだろう。
記事には薬の量やショッキングな証言は並んでいるが、なぜホーガンがその状態になったのかという背景はほとんど語られていない。長年にわたるリングでの激闘、繰り返された大手術、首、背中、膝、股関節など全身の損傷。そうした事情を省略し、「薬物」「依存」「破滅」という言葉だけを並べれば、確かに雑誌は売れるかもしれない。
しかし、それはハルク・ホーガンという人物を正しく伝えているとは言えない。ゴシップ誌らしいセンセーショナルな記事ではあるが、内容を冷静に読むと、事実以上に読者へ強烈な印象を与えるための演出が目立つのである。
ハルク・ホーガンを否定することはプロレス史を否定すること

ハルク・ホーガンを単なる「薬物中毒者」として語ることに、多くのプロレスファンは抵抗を覚えるだろう。
ハルク・ホーガンは40年以上にわたってプロレス界の最前線を走り続けた男である。1980年代の全米プロレスブームを作り上げ、WrestleManiaを世界的イベントへ押し上げ、1990年代にはnWoで再び業界を変えた。現在のWWEやプロレス界の繁栄は、ホーガンが築き上げた土台の上にあると言っても過言ではない。
その代償として、彼の身体は限界を超えていた。首、背中、膝、股関節。数え切れないほどの手術を受け、それでもリングに上がり続けた。プロレスを知らない人には理解しづらいかもしれない。しかし、レスラーたちは観客に夢を見せるため、自らの身体を削りながら闘ってきたのである。ホーガンが抱えていた痛みは、単なる加齢や病気によるものではない。何十年にも及ぶプロレス人生そのものが生んだ痛みだった。
だからこそ、今回のゴシップ報道には違和感を覚える。ホーガンの人生を理解するなら、薬の話だけを切り取るのではなく、彼がプロレス界に何を残したのかを見なければならない。
ハルク・ホーガンを否定することは、単に一人のレスラーを否定することではない。それは1980年代以降のアメリカンプロレスの歴史そのものを否定することにもつながる。
ホーガンは完璧な人間ではなかった。数々の失敗や問題発言もあった。それでも、彼がプロレス界に与えた功績まで消えるわけではない。
ゴシップ誌は売るために過激な見出しを付ける。しかしプロレスファンであるならば、その見出しの向こう側にある現実を見なければならないだろう。
ハルク・ホーガンとは、「薬物に苦しんだ男」ではなく、「身体を壊しながらもプロレスを世界的エンターテインメントへ押し上げた男」なのである。