山形県の高校で体育教師だった南陽市二色根出身の佐藤翔也が、ドラゴンゲートでプロレスラーデビューを果たしたのは昨年11月28日、ヒルズサンピア山形、教え子たちが見守る中での29歳遅咲きのデビュー戦だった。
佐藤は当時地元山形新聞のインタビュー取材で「年齢に関係なく、自分次第でいくらでもチャレンジできるという姿勢を伝えたかった」と語っていた。
きょう佐藤は、その地元山形での凱旋興行で、たくさんのファンと仲間に囲まれながら現役生活の幕を降ろした。
持病である腰のヘルニアが悪化したため引退を決意するに至ったというが、その報告にはただ感謝がつづられ、悲壮感は不思議と感じられなかった。
ラストマッチは同期の仲間たちとタッグを組んでメインイベントに挑み、ドン・フジイのチョークスラムで派手に散った。
夢は叶えてからが本当の始まりで、幕引きにはその人が歩いてきた生きざまが如実に表れるものだ。
夢を叶えた男が地元で堂々見せつけた爽やかな幕引きの姿は、いまは昔日本人の魂の根幹を司っていた武士道に通じる潔さを彷彿させるものがあり、雲ひとつない青空の如く濁りなく清々しい余韻をプロレスファンの心に刻みつけてくれた。
人間は、いつか若者に道を譲り未来を託さねばならない。そのときに、あとに連なる人からリスペクトされる背中を見せて去ることができるか。
世知辛く荒み切った現代社会で、メディアとして発信すべきこととはなんなのか深く考えさせられる。
堕ちるのは簡単だ。そのほうが楽だから。
年を重ねた人生の経験者として毅然として恥じない仕事を、生きざまを残したいものだ。
若い人たちにささやかな夢すら与えられない大人にだけはなり下がりたくないと腹の底から思う。
■ ドラゴンゲート LEC バルサンpresents KING OF GATE 2022 -佐藤翔也凱旋大会-
日時:2022年5月24日(火)18:30
会場:山形県・南陽市民体育館(観衆302人・主催者発表)
<第5試合 1/60>
●佐藤翔也
飯橋偉進
藤原拓磨
ミノリータ
13分25秒 のど輪落とし⇒体固め
望月成晃
◯ドン・フジイ
望月ススム
斎藤了
<第4試合 1/30>
◯箕浦康太
土井成樹
石田凱士
9分52秒 R-301⇒エビ固め
Kzy
●JACKY“FUNKY”KAMEI
ジェイソン・リー
<第3試合 LEC バルサンpresents KING OF GATE 2022 トーナメント2回戦 1/15>
◯吉岡勇紀
13分17秒 フロッグスプラッシュ⇒エビ固め
●U-T
<第2試合 1/15>
吉田隆司
ストロングマシーン・J
●問題龍
8分9秒 ファイヤーバードスプラッシュ⇒エビ固め
ウルティモ・ドラゴン
◯ドラゴン・ダイヤ
菊田円
<第1試合 1/15>
YAMATO
ドラゴン・キッド
Ben-K
●奥田啓介
7分29秒 SSW→エビ固め
KAI
ディアマンテ
◯シュン・スカイウォーカー
SB KENTo