[週刊ファイト3月22日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼百合展中止と「不適切な内容が含まれている可能性」とDEEP JEWELS19
photo & text by こもとめいこ♂
・ふともも写真展の余波で百合展中止に…東京五輪に向けてミサンドリー(男性蔑視)と保守が浄化作戦
・弊誌エントリーに「不適切な内容の可能性」!?ジョシカクブームに暗雲!?
・何故最強の地下アイドルは蹴擊JKに敗れたか
・専門誌だからこそ、今回はKINGより筋肉よりアイドルがTOPの理由。
・画像マシマシで無限の可能性をお届け♪
3月17日から池袋丸井で開催予定だった『百合展2018』が急遽中止になり、衝撃が奔った。
と、書いただけで本題に入ると百合に興味の無い方には何のこっちゃとなるので補足すると、『女性同士の友情や愛情を意味する「百合」をテーマとしたヴィレッジヴァンガード主催のフェア』で、今年で第3回、1万人超の集客を誇る展示即売会である。
昨年は百合といえばでお馴染みこの方も当然御来場⇒
この百合展突然中止の原因は、同じ丸井で今月上旬開催予定だった『ふともも写真の世界展』の中止に端を発している。
フォトグラファーゆりあさんによる『ふともも写真の世界展』中止は、「お客様からの『デパートでやるのはどうなのか』」というクレームがキッカケとなったようだが、そのゆりあさんは『百合展』でも「ふともも写真」の展示を予定しており、百合展だけ開催するのは整合性が取れないからという事のようである。
ゆりあ先生の来世にご期待ください。#ふともも写真館 pic.twitter.com/2Q7126WGU2
— ゆりあ@ふともも写真館 (@yuria) 2018年3月2日
MeToo運動の流れとは別に、恐らくは東京五輪をキッカケにこうした「人目に着く場所からの性的(と、見る人がいる)表現をどけさせる動き」はあった。
以前はアキバのAVの看板などがやり玉に挙げられ、不特定多数の人目に触れる場で女性の乳首を掲示する事は都条例でも禁止されていたが、つい先日は京王線の駅構内にブシロードが掲示していたアプリゲーム『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』のポスターがクレームをつけられて「胸と股間」を白ヌキされた上に刷り直しを余儀なくされており、今度は「ふともも」という事態になった。
初めはカードと同図案で掲示されていたが胸と股間に白ヌキで文字が入れられた↓
京王線でシンフォギアXDUの写真も撮ってきたー
7号車の1番目?に乗るのです…目の前に雪音と翼さんなのです… pic.twitter.com/XubqRze91O— あとり玲@すけべです (@atori001) 2018年2月27日
戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED 配信URL
iOS: https://itunes.apple.com/jp/app/id1197254648?mt=8
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.pokelabo.sgxd
かつて女性の権利獲得運動だったフェミニズムやウーマンリブとは違い、ここ最近のこうした動きは単に「自分が不快な表現を公共性を盾に中止に追い込む」ようになってきつつある。不快な表現、「不特定多数の眼に触れさせるべきで無い性的表現」の境界は本来人それぞれ。
「ふともも」の写真は特にスカートをたくし上げてみせたりしているわけではなく、日常見える範囲のふとももを切り取って集めたところがゆりあさんの表現の本質であり、自ら応募してきたモデルを撮影しており、盗撮されたものでも強制して撮影したわけでもない。
写真集購入者のおよそ半数は女性だといわれ、フェティッシュな傾向はあるものの、だからこそ丸井で特に年齢制限もなく開催される予定だったので、それを不快と思うのも狭量だろうと思うし、その不愉快を除くために公共性や子供への悪影響を利用するのも非常にタチが悪い。シンフォギアのイラストもいわば強い女性の記号化であって、熱心なファンであってもあのポスターをみて駅構内で劣情を催すことはありえないだろう。
この一連の発端は、筆者の考えではミサンドリー(男性嫌悪)傾向のある一団の
「萌え絵、アニメ絵は日本の男のロリコン性を表している。精神的に幼稚なことの表れであり、それを行政がクールジャパンなどと追認していることは国辱である」
という思想が元になっていると筆者は推察している。それは元来まんが、アニメ、映像などの自由な表現を取り締まりたい保守層がやりたい事のはずだが、ネトウヨ化したオタクに媚びるために表向き弾圧できない現状、その本来相反する立場にいるミサンドリー層が走狗となって変わりにやっている図式がみえる。
なにせ弊誌のTweetしたDEEP JEWELSのエントリーが
「このメディアには不適切な内容が含まれている可能性があります」
と制限されるぐらいに、表現は後退を余儀なくされているのである。
完全女性上位時代になった未来を描いた藤子不二雄(当時)先生によるSF短編『女には売るものがある』では、「男に威張り散らされる」事を金銭と引き換えに提供するようになったら…という作品だが、現在の「男性による性的視線はむろん、それを自ら表現する女性も絶対許さない勢」をみていると、そう遠くない未来の事にも思える。
行き着く先は女性は人前に出る時はヒジャブを被って…というディストピアであろうが、それを血眼になって推進している一団が「フェミニスト」を名乗っているところに末世感が漂う。
リングの周りを比較的自由に動けるプロレスと違って、場所が定められている総合格闘技で画になる写真を撮るのは運もある。グラウンドで顔が見えていたのがあのロープ際の攻防でここぞとばかりにシャッターを切った。無論、あの写真を選んだのは扇情的だと思ったからだが、劣情をもよさせようと思った訳ではない。そういう人が仮にいたとしても、特殊な癖を持つ人は何に対しても居るものだ。
早晩、女性の格闘技の報道はおおっぴらにやらせてもらえなくなる可能性もあると危惧する所以。
ところで川村虹花をメインに据える事には専門誌としてどうなのかというご意見もある。格闘技ファンならKINGレイナであり渡辺華子だろうという事だが、今回は試合内容でも川村戦をベストバウトに選ぶ人もいるだろう。
秒殺だったKINGレイナ、グラウンドでの膠着が長かった渡辺と比べ、1ラウンドのスタンドでの打ち合い、2ラウンドでは押される川村の驚異の粘りに思わず息を呑まされた。玄人目線でみれば勿論、未熟故の熱戦だということも出来るだろう。
川村の正念場は2戦目だと度々書いたが、それが半ば現実となり、しかし半分は見当違いになった。