RISE101神村エリカ「このリングの上が良いものだったって焼き付けて終わりたいです」ラストインタビュー

–まず会見でもお答えしていましたが引退の経緯を教えて下さい。
「一つは対戦相手が中々見つからない事によるモチベーションの低下で後は体調不良です。去年、RISE QEENになったのを一つの区切りとして引退を決意しました。」

–体調はだいぶ前から悪そうに見えましたが、いつ頃からですか?
「戦極の前ぐらいからですね。」

–今は体調は良くなってきてますか?
「まだ、波がありますね。良くなったり、悪くなったりですね。」

–体調がつらくなった2011年頃は年に8回試合をしていましたし、やはりあの頃はきつかった?
「でも練習しないと不安だし、痛みとか病気の事よりも、試合に対する部分を重きに置きたくて、ずっと練習してたので逆にそれが身体を酷使してた原因なのかなと思いますね。」

–自分の中で辞めようと思った瞬間ってありますか?
「ずっと辞めたいとは思ってたんで、去年の12月の試合が流れて、それで心が折れちゃいましたね。体調が悪いのを隠してたから、常にいっぱいいっ ぱいで余裕が無くて、本当はキックボクシングが好きなのに、これ以上続けるとキックボクシングが嫌いになっちゃうなと思ったので。」

–引退を発表してからの自分の気持ちはどうですか?
「大分変わりましたね。知り合いの選手にはある程度話はしてたんで、自分の中では解決してたんですけど、公表して会見したらすごいホッとしたというか、あぁ終わったんだなと思いましたね。」

–発表前はあまり事情を知らなかった人には「いつ試合するんですか?」って聞かれたりしませんでした?
「聞かれましたね。発表してないからそんなに喋れなかったので、そこは「まだですねー」とかって濁してました。」

–ジムの仲間や近しい人に話をした時はどうでしたか?
「ジムの先輩達は辛い姿を間近で見ていたので「もういいんじゃない?」と言ってくれる人の方が多かったですね。
 親ももちろんそうですし、応援してくれてる人たちもガッカリはしてましたけど、結果は残してるし中途半端には辞めたわけじゃないから皆は納得して くれました。」

–では、ここからは過去を振り返ってもらいたいと思います。まず格闘技を始めたきっかけは何ですか?
「7歳の時に空手を始めて、中学1年生でキックボクシングに転向しました。
元々、父親が格闘技が好きで一緒に始めました。キックボクシングも父親と一緒に始めましたね。」

–最初はボクシングの強豪選手がいる山木ジムにいたと思うんですけど、それでもキックボクシングの方が楽しかった?
「何十ラウンド何百ラウンドってボクシングのスパーリングをさせられたんですけど、蹴りが無いのに魅力を感じないというか、キックボクシングを やってる方が楽しかったです。」

–そこからアマチュアを経てプロデビューした頃はどんな気持ちでしたか?
「ずっと田嶋さんを目標にしてきて、田嶋さん以外の相手に勝っても何の感情もなかったのが正直な気持ちです。
逆に下手な試合しちゃうとすごい不安になって、このままじゃダメだとか、そればっかりで。
試合に勝っても、結構不安の方が大きかったです。」

–最初の頃はミドルキックでKOしてるシーンが印象に残りました。自分の中でもあれは満足できなかった?
「倒したのは結果じゃないですか。自分としてはやりたい試合内容があって、そうじゃないと満足できないですね。
でも、あの頃はすっごい遠くを見てたからどんな試合でも満足できなかったと思います。」

–そこから全勝で勝ち上がり、田嶋選手とタイトルマッチで戦った時の気持ちはどうでしたか?
「入場の直前まで負けてもいいから全部出し切ってやろうと思いました。試合内容の事も初めて考えないで、自分が出来る全てを出し切れれば良いと 思って試合に臨みました。」

–その試合で勝って初めてのタイトルを獲得しました。
「初めてリングで「あ、これが喜びなのかな」って思いました。振り返ると試合内容とかは全然ダメなんですけど、これが勝つって事なのかなって身に沁みて感じました。
その時、ベルトを持っていた選手も憧れの田嶋選手だったので、その日は嬉しくて眠れませんでした。ずっとフワフワしてる感じでした。」

–その勝利の後から、どんどんタイトルを取っていっていきました。印象に残っている事はありますか?
「WPMFの世界戦が初めての外国人との対戦だったんですけど、あ、こんなもんかって思いましたね。
世界チャンピオンになったけど、そのベルトの価値を上げていくのは自分なんだと思いました。
そこからチャンピオンとはどうあるべきかを考えるようになりました。
それ以降は1試合1試合全力で臨んでいたので、これがというのは選べないんですけど、相手で言えばシルビア・ラノッテですかね。
接戦してるなっていうのをお客さんにも分かってもらえたと思うし、やってた時はすごい必死だったんですけど次の日になったら楽しかったなと思えま した。」
140924KamimuraSILVIA_LA_NOTTE
–シルビア選手との試合はRISEで初めて女子がメインになった大会でしたね。
「そうですね。あと、シュートボクシングの決勝でハム・ソヒ選手との試合も楽しかったですね。」
140924KamimuraSeoHeeHam
–あの時はガムシャラに戦ってましたね。自分の中では戦ってた中でどんな気持ちでしたか?
「あの時は、セコンドにも落ち着け!って言われてたんですけど、1ラウンド2分なのに落ち着いてられねーよ!って思って。
すっごいガムシャラに打って打ちまくって、最後の最後にダウン取って、自分自身に興奮してこれが格闘技だなって思いました。」

–そして、そこからRENA戦になりますが、あの時はRISEのタイトルも懸ってて女子の試合でここまで注目されるかというくらい注目されまし たね。
「すごい弱かったです、自分自身が。RENA選手も勿論、対策とかたててきてすごい強かったです。
でも、練習しても練習しても満足できなくて、誰かから頑張ってねって言われた時にも大丈夫ですよって言ってたんですけど。
あの時が自分を隠してたピークですね。ただ、あれをきっかけに自分がまとってた殻を破ってくれる人が現れて、そこから自分自身変わる事ができたん で、あの負けは自分にとっては良かったんだなって思いましたね。まぁ負けは悔しかったですけどね。」
140924KamimuraRoomaRukkbunmi
–その後から試合のペースを落としましたよね。ロレーナ選手に負けてからの、TDCホール大会(12年12月2日INFINITY)で勝った後 泣いてましたよね?
「TDCで負けてたっていうのもあったし、ロレーナ選手に負けてから少しずつ練習環境を変えてた時期でもあったので、自分としても自分を出した かったっていうのがありました。
あの時、戦ったルックブンミー選手はタイで強い選手って聞いてたし、実際肘とかすごい当てられたし、倒れ際にヒザを顔面にもらってクソって思った んですけど、すごい勝ちたいって気持ちが強かったんですよね。
その辺からですかね、技術面を意識し始めたのは。ロレーナ選手に負けてから。」

–その後、RENA選手が体重とスケジュールの都合で返上したRISEのタイトルを紅絹選手と争う事になりました。
「あの試合の前は、現役で最大に練習しました。毎日、ジムに行くのが憂鬱で仕方ありませんでした。
その甲斐もあって自分でもすごいびっくりするぐらい冷静だったし、今までに無い感覚でリングに上がってましたね。とにかくすごく落ち着いてまし た。」
140924KamimuraMomi
–あの試合はすごく良かったですね。
「そうですね。5ラウンド目、やりたかったことが全部できたなって思いますよね。あの試合ですごいつかめたものがあって、タイトルマッチで固く なっちゃったし、途中で目の上も切れちゃったから、余計にまぁやりたい事が中々できなかったんですけど、最後の最後でできて。
これ、ちゃんと取得できれば変われるかもしれないって思ったところで…。」

–まさか、この終わるとは誰も思ってなかったところでしたよね。
「本当は12月に試合が決まると思ってたんですけど、結局1週間前ぐらいで試合が流れてしまって。良く考えたら、どこを目指してるんだろうと思っ たんですよね。
中々、相手がいなくて、試合は流れちゃうし、でも練習はしなくてはいけないし、やりたい相手とも試合ができなくて、体調も良くなくてこのまま続け てて良いのかなと思ったらどんどん気持ちが薄れていきましたね。」

–それで引退を決意して、1年前に試合をした後楽園でエキシビションマッチとなります。そこで田嶋選手を希望したのは?
「目標にしている選手だったというか、田嶋さんが私の中で原点だったんです。田嶋さんがいたから努力しないと勝てない、だから努力しようという考えがあって。
その考えを私の中に作ってくれた人です。すごい特別なんです。不思議なくらい。」

–最後のエキシビションはどういうものにしたいですか?
「最後は楽しみたいです。結果的に楽しかった事はありますけど、なんか、そういう感覚でリングに上がった事が無いし、楽しくやりたいなと思ってリングに上がる事って無いじゃないですか?
でも、引退する時に、このリングの上が良いものだったって焼き付けて終わりたいっていうのがあります。
まぁ、たぶん血みどろのエキシビションを見たがってる人は沢山いると思うんですけど(笑)」

–血みどろとおっしゃられましたが、このエキシビションはどれくらいの力でやるのかが気になる所ですね。RENA選手とのエキシビションもあっ たことですし(笑)
「空気が読めないとか言われてますけど、RENA選手とのアレは、周りに行け!って言われたからですよ!
ハイ!って言っただけです…。」

–今回は最後のリングを楽しみたい?
「楽しみたいです。大丈夫です(笑)逆にやられちゃうかもしれないんで(笑)ハイキックとかガッツリいれてきそうですね(笑)「ごめんねエリカちゃん」とか言って!」

–いま練習はしてますか?
「週1ですね、とにかく体力が無いですよね(笑)。練習続けられないですよ。サンドバックに負けちゃうんですもん。なんか衝撃に耐えられないんで すよね身体が。
先々週より先週の方がピントが合ってきてますね。でもストレートが当たった時に背中が耐えられないんですよね(笑)」

–では最後にファンの皆さまに一言お願いします。
「今まで応援してくれてたファンの皆さん、本当にありがとうございました!今日で最後なので、最後は笑顔でリングを降りたいと思います。」

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■ RISE 101(ライズ ワンオーワン)
主催:RISEクリエーション株式会社
日時:9月28日(日) 開場17時15分/開始17時30分(予定)
会場:後楽園ホール(東京都文京区後楽1-3-61 後楽園ホールビル5F)
9・28RISE101後楽園ホール~神村エリカ引退エキシビションマッチ田嶋はる
9・28RISE101後楽園ホール~裕樹、巨輝、大野貴志、村越優汰、4選手事前インタビュー

【全対戦カード】
<メインイベント 第3代スーパーライト級(-65kg)王座決定戦 3分5R無制限延長R>
裕 樹(ANCHOR GYM/初代スーパーフェザー級&ライト級王者)
vs.
巨 輝(TARGET/同級3位、元NKBフェザー級&ライト級王者)

<セミファイナル フェザー級(-57.5kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R>
一 刀(日進会館/王者)※初防衛戦
vs.
花田元誓(リアルディール/挑戦者/フェザー級1位)

<第8試合 SuperFight! -55kg契約 3分3R延長1R>
村越優汰(湘南格闘クラブ/第5代バンタム級王者)
vs.
大野貴志(士道館新座ジム/MA日本キックボクシング連盟バンタム級王者)

<第7試合 RISE vs REBELS対抗戦 スーパーフェザー級(-60kg)3分3R延長1R>
郷州 力(RISE/PHOENIX/同級3位、2012年RISING ROOKIES CUPスーパーフェザー級優勝)
vs.
野上勇介(REBELS/RYUJI GYM/2013年REBELS NEW RAIDERS LEAGUE 60kg級優勝)

<休 憩>
140903RISE-KamimuraTajima<神村エリカ引退エキシビションマッチ>
神村エリカ(TARGET/第2代RISE QUEEN、WBCムエタイ女子インターナショナル ライトフライ級王者、Girls S-cup2011王者、第3代J-GIRLSミニフライ級王者、WPMF世界女子ミニフライ級王者、WMC世界女子ミニフライ級王者)
vs.
田嶋はる(アクティブJ三軒茶屋/CROSS×LINE/元J-GIRLSミニフライ級王者)

<第6試合 ライト級(-63kg)3分3R延長1R>
藤田雄也(極真会館/同級6位、2012年RISING ROOKES CUPライト級優勝)
vs.
丹羽圭介(HAYATO GYM/ライト級8位)

140903RISE-NasukawaAlexandre<第5試合 バンタム級(-55kg)3分3R延長1R>
アレクサンドロ・ヒデオ(ブラジリアン・タイ)
vs.
那須川天心(TARGET/バンタム級6位)

<第4試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R>
佐藤政人(フォルティス渋谷/同級6位、元J-NETWORKフェザー級王者)
vs.
小宮山夕介(TARGET/同級10位、2013年RISING ROOKES CUPフェザー級優勝)

<第3試合 スーパーライト級(-65kg)3分3R>
憂 也(魁塾/DEEP☆KICK 65kg級王者)
vs.
番長兇侍(習志野トップチーム)

<第2試合 -61kg契約 3分3R延長1R>
野辺広大(1-siam gym/スーパーフェザー級5位)
vs.
KING MASA(UACSキックボクシング/ライト級9位)

<第1試合 バンタム級(-55kg)3分3R延長1R>
津田鉄平(新宿レフティージム/バンタム級9位)
vs.
佐野貴信(創心會/2013年KAMINARIMON全日本大会優勝・大会MVP選手)

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▼7・12『RISE100~BLADE 0~』東京・大田区総合体育大会