[ファイトクラブ]KNOCK OUT大田区体育館で考えた、下町ボブスレーと神童と

[週刊ファイト2月22月号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼KNOCK OUT大田区体育館で考えた、下町ボブスレーと神童と
 photo & text byこもとめいこ♂
・世紀の大恥『下町ボブスレー』と大田区総合体育館・神童の感動的勝利の違い。
・ダフ屋も登場する希有なキックボクシング興行『KNOCK OUT』今回も神興行か?
・炎上・不可思辛勝の要因を分析。
・一夜明け会見での解説を織り込みつつ、本誌独自の視点でレポート!


 インターネット全盛の時代になっても、プロレスに限らず初来日やデビューする選手のプロフィールが「盛られる」ことは少なくない。場合によっては我々書く側が「盛る」場合もある。
 だから神童・那須川天心の次なる相手が「スアキム・シットソートーテーウ」という、到底覚えられなさそうな名前のムエタイのチャンピオンで…といわれた時、「まあ、そうはいっても」と、半信半疑で、しかし調べてみてその偽りのない経歴には戦慄して震えた。

「どうしてもそんなに強い相手と闘わなくてはいけないのか」
大田区総合体育館に向かう電車の中でそう考えていた。
 両国が終わって、木谷オーナーは
「ムエタイは難しい」
と語っていたのだ。
「名前も覚えにくいし」
といった理由だったが、ネームバリューが無いのでリスクの割りに勝っても負けても得るものが少ないのは確かだろう。

 かつての沢村・藤原の黄金期には地上波テレビで、ムエタイはキックボクサーが倒すべきメジャーリーガーということが喧伝されていたが、90年代以後キックボクシングの代名詞となったK-1がスルーした事で、若いライトユーザーにとっては馴染みの薄い別ジャンルとなっている。

 となると、「勝ち組感、メジャー感」を重視する木谷オーナーにしてみれば興行にとってマイナスと捉えられるし、小野寺プロデューサーも、日本にやってくる選手のファイトスタイルやモチベーションがKNOCK OUTと合っていないと語っていた。

 だが、いざ年が明けて神童・那須川天心の相手として発表されたのはそのムエタイの、しかも最強豪といえる相手だった。強過ぎて同じ階級で賭が成立せず、やむなく2階級上の王者と闘ってKOするという規格外の強豪。

 メーンを張れる興行の柱に、そんな強敵をぶつけるというのは、気楽に観るファンからしてみれば面白い事だが、運営側、当の選手にしてみれば大きな冒険、賭けなのは間違いない。
 馬場が猪木の挑戦に不快感を示し、「誰が一番強いか決まるまでやったらいいんだよ」といっていた前田日明も、リングスのTOPになってからはUインター・高田の挑戦を拒否した。
あれこれと理屈をこねて神童戦を回避した武尊側の態度こそが「興行という観点から見たオトナの態度」なのである。
 だが、だからこそ、強い選手に相応しい強い相手をバーンとぶつけるキックスロードと、それを受ける那須川天心サイドの英断には心を震わせる感動がある。

 京急蒲田駅で降りて、そういえば下町ボブスレーはこの辺りの会社も関係しているんだなと思った。

 日本橋、神田、浅草、深川辺りとはほど遠い大田区がそもそも下町か?という疑問はさておき、

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