[週刊ファイト12月21日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼井上譲二の『週刊ファイト』メモリアル 第27回
輪転機作動後に新日プロへの配慮で記事を差し替え。そのワケは…
『週刊プロレス』や『週刊ゴング』の歴代編集長の心境はわからないが、社内で誰もなりたがらない役職が『週刊ファイト』の編集長だった。私にしても、このポストを望んでいたわけではなく、会社から押しつけられた格好。だから、就任から5、6年後には部下に交代を打診していた。
ミスしたら取り返せないケースが多い仕事内容。とりわけ、締め切り日に予期せぬことが生じた時は頭がまっ白になりうろたえた。
編集長にとって最も重要な役割りは締め切り時間までに全ページを「校了」にし、印刷開始を遅らせないこと。5分、10分程度の遅れなら何とかなる。しかし、大幅に遅れた場合、新聞の発送→到着も遅れてしまうため発売日が1日ズレ込んだり、取り扱ってくれない販売店も出てくるのだ。
12年4ヶ月の在任中、締め切り日にヒヤッとしたことは何度かあった。まだ手書きの原稿が大半だった90年代後半のある週、最終入稿(試合リポート)を担当したフリーライターのKは、翌朝にホテルをチェックアウトする際、従業員に原稿のファックスを依頼。ところが、その従業員が原稿用紙の裏表を逆に取り扱ってしまったため編集部に届いたのは原稿用紙の裏側。