[ファイトクラブ]おもろい奴ドン荒川追悼!訃報が伝わらなかった理由と猪木暴行事件

[週刊ファイト12月14日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼おもろい奴ドン荒川追悼!訃報が伝わらなかった理由と猪木暴行事件
 by 井上譲二


 かつて新日プロの前座戦線を賑わせたドン荒川さん(荒川真)が亡くなっていた。享年71歳だった。11月5日のことらしく、死因は不明だという。前座の力道山、ひょうきんプロレスとして名をはせた本物のトンパチ野郎。SWSで田中八郎社長に取り入り、生涯SWS所属を広言していたが、一部で肩書だけの携帯ゲーム会社で営業部長職を貰っていたとされているが、10数年ほど前から“ 出張マッサージ” が本業になっていた。「喪中につき」の年賀状が届いて、ようやく業界関係者に亡くなったことが判明した。ではなぜ、業界から縁を絶っていたのか。猪木への暴行事件がOB会関連から呼ばれなくなった発端であったという。

 引退宣言をしないままだった荒川さん。レスラーとしては1度も脚光を浴びなかったが、私生活での仰天エピソードは数えきれないくらい多い。

 かつて新日プロの試合会場で私に1 番声を掛けてくれた選手がドン荒川さんだった。彼は『週刊ファイト』が報じているマット界のスキャンダルに興味を示している様子だったが、自らの自慢話も多かった。で、ある時、「この前、長嶋さんの家に行ってきましたよ」と言うから、「エッ、どこの長嶋さん?」と尋ねると荒川さんは真顔で「巨人軍の、あの長嶋さんに決まってるでしょ! 」。荒川さんによると、都内のサウナで何度か顔を合わせているうちに徐々に親しくなり田園調布の自宅に招かれるようになったという。もちろん、最初に話し掛けたのは荒川さんの方だった。 
 その後、80年代終盤に知り合いSWS 設立前にいち早く自らのタニマチにしてしまったメガネスーパーの田中八郎社長と長嶋氏を引き会わせてからはより親しくなり、長嶋氏のプライベートのオーストラリア旅行にも招待されている。
 長嶋茂雄と言えば、国民的スターの枠を超えた神様のような存在。一方、荒川さんは、いわゆる無名のレスラーである。もちろん、対等の付き合いができていたわけではないが“ 天下のミスター” の家に呼ばれているだけでも凄い! 荒川さんは長嶋氏が脳梗塞で倒れてからも、年に2、3回は長嶋宅を訪れていたという。

 一撃必殺のカンチョー!

 荒川さんのトンパチぶりは新日プロの香港遠征でも発揮された。荒川さんが1人で繁華街をぶらついている時、路地裏で暴漢に襲われている人を目撃。自らの身の危険を考えると警察に通報するものだが、正義感の強い荒川さんはナイフを持っている暴漢に飛び掛かって得意の柔道技で撃退。しかし、もみ合った際に顔を切りつけられ、左頬に7~8センチの裂傷を負ったのだ。
 そんな荒川さんの勇気ある行動について「アイツは単なるアホよ。命を落としたらみんなに迷惑が掛るんだ」と言った選手もいたが、アントニオ猪木だけは「外国でプロレスラーの強さと度胸の良さをアピールした荒川を褒めてやりたい」と絶賛していた。ところが、それから約30年後にその猪木が荒川さんから暴行を受けるという“ 大事件” が発生する。

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