激突!コメディvs.ドラゴン、1970年代の児童は好きだった…カラテ映画ブームと第一次漫才ブームの時代

向かって(左)ちゃうシンイチ―、 (中央)前田五郎、 (右)長嶺英貴氏
      

 さる10月28日(土)、兵庫県JR尼崎駅前の焼き肉店、名月館尼崎にてブルースリーを熱く楽しく、わかり易くマニアックさえも併せて語るブルース・リー同人誌『小龍記』編集長としても知られる、ちゃうシンイチ―と、昭和世代の関西人なら知らぬ者はいないであろうリビングレジェンドお笑い芸人、前田五郎師匠(以降、師匠、先生という呼称は好まないということで省かせていただく)の邂逅、開口ギリヤバトークが催された。
 危険な話、楽しい話が縦横無尽に織り交ぜられ2時間半弱のしゃべくりが長く感じられることはなく、両雄の引き出しが全開になるには程遠かった?という、何かさわりだけで終わってしまったのでは?との感がするイベントであった。
 
 御二方の接点は兵庫県塚口の+b(プラスベー)にて催された、ちゃうシンイチ―の単独イベントにブルース・リーファンの前田五郎が来客としてお見えになっていて、長きにわたり東京在住であったが関西人の原真一氏(ちゃうシンイチ―の本名)が、本物のあの人が来てくれてるびっくりしたなあ~もう(三波伸介調)という調子から派生したイベントである。

 前田五郎の誉めもするけどケシカラン奴は悪口も言いますで、らしい軽妙なトークで来客を温めてみせるのはかつて漫才コンビ、コメディーNo.1で一世を風靡したが漫談もさすがと唸らせるものである。
 コメディーのNo.1の漫才は時事ネタやさっきあったことなんかも織り交ぜたアドリブ漫才で、同じ内容がそのまま続くことはなかったとのことで、何かしら昭和のプロレス的である。
 
 ハイライトはやはり中田カウスに脅迫文を送りつけたとされる後に吉本興業に解雇されたというくだり、自身でミナミ署に勇んで出向き嘘発見器にもかけてもらうことになったが何にも振れられなかったという、警察も何かしら乗り気ではない困った様子だったというエピソードであろう。
 この事件が象徴的なのは柔軟性がありつつも古い芸人型であった前田五郎には、笑いがおしゃれになりつつある時代のこと、居場所を奪おうとする何かが暗躍されていたのではないのであろうか・・・。
 
 他には、ちゃうシンイチ―からは最新ブルースリー関連のとっておき㊙エピソード、前田五郎より明石家さんまの㊙エピソード、昭和の別格的映画スターとの恐縮エピソード、関わらないに越したことのない方々とのエピソードなんかが語られるなど、だれることなく進んでいき、司会・長嶺英貴の言葉は少なめに絶妙なところで合いの手をうつ好リードも光っていた。
 来客は、かなりブルース・リーマニア、ちゃうシンイチ―信者が占めていたようで、前田五郎の独演会に近い様相となったが、濃すぎる中身が響きに響きシンイチ―も話をほとんど止めて聞き入ることに・・・。
 プロレスならば現在のエース・レスラーがタッグパートナーの往年の名レスラーに敬意を表し、見せ場をお客さんの前に披露させて自身はサポートに回った的であったようだった。
 週刊ファイトとしてブルース・リーを活字にもっとすべきなんだろうが、初心は必ずしもプロレス格闘技武道に特化することなく電子書籍の自費出版の奨励という目的も本来はあり、違った形になるのもたまにはよかろう。

 グリコの宣伝ではないが「一度で二度おいしい」イベントと相成ったが、ぜひこれは何度か続いて欲しいと思えるイベントだったと強調をしておきたい。

 前田五郎、現在進行形! まだまだ心は老いはせぬ、芸人魂はいまだ死せず!!

※完全詳細版は金曜3日発売の週刊ファイト11月02日号に収録されます。

▼ブルース・リー/ザ・ファイティング・ゴッド『最強格闘技武鑑』第13章

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