[ファイトクラブ]保毛尾田保毛男と水樹奈々にみる時代とのズレは朱崇花が治せる~10・9WAVE後楽園

[週刊ファイト10月20日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼保毛尾田保毛男と水樹奈々にみる時代とのズレは朱崇花が治せる
  photo & text by こもとめいこ♂
・石橋貴明かつての人気キャラ・保毛尾田保毛男は何故炎上したのか
・アドラブル・アドニアン・アドニスと男色ディーノの違いは何処?
・朱崇花と後藤恵介の一戦に見るGAMI社長の深謀遠慮
・朱崇花の可能性が時代を切り開く!!

 とんねるずの石橋貴明が保毛尾田保毛男という、ゲイを茶化したキャラクターをテレビ番組で演じて批判の的となっている。
 一部には、表現の自由とかの擁護意見もあるが、端的にいえば30年の間にゲイを含む性的マイノリティに対する社会の認識が変わっているにも関わらず、石橋とスタッフが余りに鈍感で、旧態依然とした感性しか持ち得ていない事とのギャップが浮き彫りになったといえる。
「イヤなら観るな」は「なんでもセクハラでスキンシップが」などというオジサンのたわごとと同じで、それを是として嗤っている感性も含めて批判されていることを自覚する必要がある。
 保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)というネーミングには嘲笑の意図だけでセンスの欠片もないが、LGBTという言葉さえなく、ゲイも性別違和も未分化でいっしょくたに語られてた時代の名残であり、到底2017年のお茶の間に耐えうる内容ではない。
 マツコ・デラックス始め、「オネエ」、トランスジェンダーのタレントは多いが、性的嗜好は自身の性別認識、身体と心の性別違和とは別のことで、身体は男性で心は女性であるからといって、必ずしも男性が好きとも限らない。
 石橋からそういうことへの理解もマイノリティへのリスペクトも感じられないからこそ、批判されているのだろう。
 マイノリティが自身の属するコミュニティをあるあるネタで笑いにするのと、マジョリティが偏見に基づいて嘲笑するのは全く別のことである。
 男色ディーノが、ゲイではなくてギミックとしてやっているとなったら批判は免れないのが現代社会なのであり、「アドラブル・アドニアン・アドニス」はもう産まれはしないのだ。
 現政権が憲法さえ変えてまで個人の基本的人権を制限し、家族単位での社会秩序を構築しようとする意図を隠そうともしない時代でもある。
 SNSでLGBTに対して「自然じゃない」「子孫を遺さないからストレートより社会に対して貢献していない」といった誹謗中傷も公然とされるご時世、
「“ホモ”は嗤ってもいい」
ならまだしも、かつての『キングギドラ』のラップの様にゲイへの攻撃を肯定するような表現、さらには実際の暴力に繋がる恐れを感じればこそ、批判せざるをえないのであり、マイノリティにとっては切実な問題でもあるのだ。

 WAVEの朱崇花も、かつてであればキワモノ・色物に分類されたかもしれないが、彼女は性同一性障害で、「オネエ」ではない。

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