[ファイトクラブ]ロンダ、WWE出場? レスナーvsジョーンズの行方。メイウェザー、スパーでKOされた?

[週刊ファイト8月24日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

2015年11月にホーリー・ホルムにKO負けし王座陥落するまでUFCで最高の人気を誇った元UFC女子バンタム級王者ロンダ・ラウジー。しかし翌16年末の復帰戦でアマンダ・ヌネスに何もできずに秒殺KOされ、その後は試合をしていない。
UFCのデイナ・ホワイト社長も引退の可能性を示唆していたが、ここに来てWWEに転向の可能性が浮上した。そして、年内はUFCで試合をしないと思われる根拠も明らかに。

Text by 稲垣 收

・ロンダが仲間とWWE会場に。”WWEの4ホース・ウーマン”と挑発合戦
・ロンダのUFC年内復帰は、なし。その根拠とは?
・UFC王座返り咲きのジョーンズがレスナーと“マネー・ファイト”を熱望
・ ジョーンズに怒ったヘビー級王者ミオシッチ
・メイウェザーがマクレガー戦を前にKOされた? 世界を駆け巡った噂の真相は?


7月に行われたWWEの女子トーナメント『メイ・ヤング・クラシック』に、仲間のシェイナ・ベイズラー(右下)の応援のため来場したロンダ(左)。シェイナ、ジェサミン・デュークら(右上)とともに、“MMAの4ホース・ウーマン”として、“WWEの4ホース・ウーマン”と挑発合戦。この“伏線”は、どこまで発展するのか?                    (photo from Instagram of Ronda Rousey)

コナー・マクレガーがスーパースターとして注目を集める以前、UFCの最大のスターは女子バンタム級の“絶対王者”ロンダ・ラウジーだった。
柔道北京五輪銅メダリストのロンダは、ほぼ毎回、相手を柔道仕込みの投げでブン投げ、次の瞬間には“伝家の宝刀”腕ひしぎ十字固めでタップさせて、秒殺勝利の山を築いていた。レスリング・アテネ五輪銀メダリストのサラ・マクマンにはヒザ蹴りで、“ブラジル最恐女”ベチ・コヘイヤにはパンチで秒殺KOするなど、打撃にも磨きをかけて12戦全勝・全試合完全決着、ミーシャ・テイトとの再戦を除きすべて1R勝利という驚異的戦績をあげていた。
ハリウッド映画でも『エクスペンダブルズ3』でシルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツネッガーらと共演し、雑誌やテレビ番組でもひっぱりだこになったロンダの出場する大会は、PPV(有料視聴)契約数が何度も100万件を超える、まさに“ドル箱スター”だった。

そんなロンダに運命の曲がり角が訪れたのは2015年11月15日、メルボルンのエティハッド・スタジアムで行われたUFC193だ。

それまでのUFC史上最高の5万6214人の大観衆を集めて行われたこの大会でロンダは、ボクシングで三階級を制覇しアマチュア・キックボクシングでも王者になったことがあるホーリー・ホルムを挑戦者に迎えたのだ。それまでロンダが対戦した相手の中で、最高の打撃技術を誇る女だ。
だが試合が始まるまで、まさかロンダが惨敗すると予想した人は、ほとんどいなかった。

試合が始まると、無尽蔵のスタミナを誇るホーリーは最初からフットワークを駆使して動き回り、ロンダが投げるために組みつこうとしても全く組ませず、ジャブを中心としたパンチを入れては離脱する“ヒット&アウェイ”戦法に徹した。

標高1600メートルの米ニューメキシコ州アルバカーキに住むホーリーは、日常生活そのものが高地トレーニング状態。そのうえ、アルバカーキ近郊にある3千メートル超のサンディア山脈で走り込みまでして、心肺機能を鍛えている。
だからこの試合でもホーリーは花道を軽やかに走って入場し、オクタゴンに入ってからリングアナのブルース・バッファーに名前が呼ばれる間も、一時も休まず左右にステップし続けていた。それなのに、息切れひとつしていない。

サウスポーに構えたホーリーのワンツーからの前蹴りや関節蹴りが面白いようにヒットする。

ロンダは何度も失敗した末にようやく組みついたが、すぐに離脱されてしまう。

それでもロンダはあきらめず、組もうとするが、逆にホーリーにテイクダウンされてしまう。

何とかグラウンド状態でホーリーの腕をつかみ、“必殺”の腕十字に持ち込もうとするが、ここでもホーリーに腕を引っこ抜かれ、逃げられてしまった。

ジョン・ジョーンズやアリスター・オーフレイム、ドナルド・“カウボーイ”セローニら多くの強豪を有するジム『ジャクソン=ウィンクルジョンMMA』で、ホーリーは徹底したロンダ対策をやってきたのだ。
それは――

まず、ロンダに組ませないこと。
組まれても、倒されないこと。
もしグラウンドに持ち込まれても、腕十字を絶対に極めさせないこと――。
そして細かい打撃を絶えず入れ続け、フットワークを使い続ける。

これを、この大一番で、ホーリーは忠実にこなした。

そのために、1日に5時間ぶっ通しで、腕十字対策だけをやった日もあった。
「この試合に向けた練習はあまりに辛くて、私は何度も泣いた」
とホーリーは打ち明けているが、それほどの地獄を潜り抜けて臨んだロンダ戦だった。

ずっと足を使って動きながら、ロンダに得意の投げも十字も使わせず、もちろんロンダのパンチもほとんどもらわず、自分のパンチだけを当て続ける。

そうやって1R の5分間でロンダを削りまくった。
そして2R。
開始から59秒、ホーリーは掴もうとするロンダをかわして、背中を押してバランスを崩させ、マットに手をついたロンダが起き上がってきたところに、左ハイキックを叩き込んで失神させたのである。
世界中の格闘技ファンが目を見張った瞬間だった。

この敗戦から立ち直るのに、ロンダは長い時間を要した。
「一時は死ぬことすら考えたわ」
と、テレビのトーク番組に出演した際にロンダは語っている。

だが、なんとか気持ちを建て直し、新しい練習方法も取り入れ、万全の態勢で翌16年12月のUFC207で、復帰戦に臨んだ。

しかしこの試合でもロンダは、新王者となっていた“ブラジルの野獣”アマンダ・ヌネスにパンチの連打を食らい、わずか48秒でKO負けし、復活はならなかった。

 

 

 

復帰戦でもアマンダにKO負けを喫したロンダ。 Photo by Josh Hedges/Courtesy of Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images

その後ロンダは、以前から交際していたUFCヘビー級ファイターのトラヴィス・ブラウンとの婚約を今年4月に発表し、米の人気テレビ・ドラマ『ブラインドスポット』に出演したりしたものの、復帰戦に関する情報はなかった。

UFCのデイナ・ホワイト社長も、
「ロンダはこのまま引退する可能性が高い」
とあきらめ口調で述べていた。

だが今年6月に、新しいトレーニング動画が公開され、その中でロンダは砂丘を駆け上ったり、太いロープやメディシン・ボールを使ったストレングス&コンディショニング・トレーニング(フィジカルとスタミナを同時に強化する練習)やヘビー・ミット打ち、仰向けに寝てメディシン・ボールを腹に落としてもらい腹筋強化、チューブを使った柔道の投げ技の練習などをする元気な姿を披露した。
そのため、「いよいよ復活か?」という期待が高まった。


6月に公開されたロンダの練習動画。

今年一度もドーピング検査を受けていないロンダ

だが、ここに来て、ロンダの――少なくとも年内の――UFC復帰はなさそうだと思わせる事実が、明らかになった。

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