[ファイトクラブ]7・30 RIZIN秒殺KOされた紀左衛門「天心は別格」~所KOで世間に届いた堀口の強さ~輝くニューヒロイン真珠!

[週刊ファイト8月10日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

7・30 RIZINで所英男をKOし、ようやく世間に真の強さが伝わった元UFCタイトル・コンテンダー、堀口恭司。

そして先輩である“あびるの夫”才賀紀左衛門を1分36秒でKOした“神童”那須川天心。

ついに初勝利をつかんだ元レスリング世界王者・山本美憂。

あらたに誕生したニュー・ヒロイン、真珠の鮮烈デビュー……。

まだまだ玉石混交のイベントではあるが、ヒョードルで始まり、ミルコやTKら“PRIDE時代の遺産”で興味をつないできたRIZINに、ようやく新たなスターたちがそろい始めた。

▼7・30 RIZIN秒殺KOされた紀左衛門「天心は別格」~所KOで世間に届いた堀口の強さ~輝くニューヒロイン真珠!
 Photo & text by 稲垣 收
・秒殺失神KO負けした紀左衛門が語った“神童”天心の「別格の強さ」
・“UFCのパウンド・フォー・パウンド王者”と渡り合った堀口が所を圧倒
・野沢直子の娘・真珠、ワールド大山空手で優勝歴 空手時代の“お宝写真”発見!
・山本美憂、初勝利。息子アーセン・コーチが美憂に出した「課題」とは?

どこまで続く連続KO? “神童”天心

タイの二大殿堂の1つルンピニースタジアム現役王者をバックスピンキックで一撃KOし、井岡一翔を破った元ボクシングIBF世界フライ級王者アムナット・ルエンロンには、ボディへのパンチでKO勝ちという驚異的な強さを見せ続けている18歳の“神童”那須川天心。

この5月にはホームであるRISEの後楽園ホール大会で、アイルランドのスター、ライアン・シェーハンを72秒、ボディーブロー一発でリンク゛の端まで吹っ飛ばしてKOし、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座を防衛したばかりだ。

天心のボディーブローで悶絶するシェーハン。

だが、そのシェーハンとの試合直後にリングに現れて天心にケンカを売ったのが、“あびる優の夫”才賀紀左衛門だった。

天心より10歳年長で28歳の才賀は、かつて少年時代の天心に胸を貸したこともあるキックボクシング界の“先輩”だ。

その才賀が、シェーハンを倒したばかりの天心がいるリングに上がり、「キックルールでいいから、やろうや!」と天心に挑戦したわけだ。

後に、才賀はテレビ出演した際、

「今のうちに天心を倒しといたら、後でずっと自慢できるやろ?」

と語っていたが、けっきょく、そんなもくろみも、天心の“神の拳”によって一撃で粉砕された。

今回のRIZINでミックス・ルールで対戦となり、1Rはキックボクシング・ルールで5分、2R目はオープン・フィンガー・グローブに付け替えて5分というルールで行われたこの試合で、1Rを終えることなく、才賀は失神KOされたのだ。

開始後わずか96秒、天心が放った右ジャブの後の左ストレートが顎に直撃し、才賀の意識を刈り取ったのである。

左ストレート一発で才賀の意識を断った天心はロープに上り、勝利の雄たけび。

 

「こんなKO負けって俺、初めてです」(才賀)

試合後のメディア・インタビュー・スペースに現れた才賀は、天心のあまりの強さに舌を巻いていた。

「いや~……つえ~なって感じですよ、天心。あんなに立ち技で差があるとは思わなかったです」

と、いまだ驚きが冷めやらぬ口調で語った。

「(自分は)久しぶりの立ち(技ルール)でしたけど、ちょっとこっちのパンチが当たったんで、イケるかなと思ったんでけど……」

たしかに才賀のパンチが入るシーンもあった。

最近の天心の試合の中では、今回の才賀戦が一番、天心が打撃をもらった試合ではないだろうか。

だが、才賀は言う。

「当てたけど、(天心がわざと)当てさせて、油断させて、狙ってたのかもしれへんし……」

と、自分の打撃がヒットしたことすら、天心の術中にハマっていたのかもしれない、と推測した。

「正直、左ストレートもらったってのは、わかんなかったですね。速かったです」

とKOパンチとなった左ストレートは見えなかったという。

天心のどこが一番強いと感じたか、と尋ねられると、

「スピード、パワー、バランス……すべてですね。こんなにまともにKO負けって俺、初めてですから。すげえな……すごい……」

と天心のあまりの強さに、驚きを隠せない。

「もっともっと俺も頑張って……もう、キックはいいから、MMAしっかり頑張ろうと思います。今回キック(ルール)で1Rにやられたんで」

と、天心との打撃ルールの試合に懲りたのか、今後は総合に専念する意向を口にした。

「ほんと悔しいですね。ジャブ打って、距離とってやったら、違った結果になったかもしれないけど……。ここで俺が、ジャブ出して距離とってチマチマ試合したら、男として先輩として、みっともない。俺も男やから、勝負しようと思った。自分の今の打撃の力を試してみたかったんで、行った。そしたら、あっさりやられましたけど(苦笑)」

たしかに才賀が真っ向勝負してくれたおかげで、壮絶な決着シーンが生まれた。RIZINの榊原代表が翌日の会見で語ったように、才賀も今大会を盛り上げたMVPにふさわしい。

「今までK-1とか、上の階級の選手とも試合してますが、天心は別格に強いです」

と才賀は、天心がケタ違いの強さであることを認めた。

「天心、昔はあんなちっちゃかったのに、今、俺の前に立って試合や……複雑な気持ちもあった」

と自ら那須川に持ちかけた試合であるにもかかわらず、実は内心、複雑な心境だったことも吐露。

いずれにしても、天心の神童ぶりがあらためて印象付けられた一戦だった。

これでまたRIZINにも、そして日本のキック界にも、追い風が吹くことは間違いない。

筆者としては、数年後に、さらに成長した天心と堀口の“頂上決戦”が見てみたい。

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