旗揚げ45周年前哨戦 3・1後楽園大会観戦記

『戦国炎舞 -KIZNA- Presents NEW JAPAN ROAD』
3月1日(水) 18:30開始
東京・後楽園ホール
観衆 1,401人

<第1試合 20分1本勝負>
● 岡倫之
5分18秒 ピンプジュース⇒体固め
〇高橋裕二郎

 3・6大田区の前哨戦となる『後楽園ホール大会』、筆者注目はまず第1試合のオカロードこと岡倫之だ。この日は高橋裕二郎との試合で、お互いアマレスのバックボーンがあり、立ち上がりは静かに腕の取り合いなどもあったが、基本的には純プロレスの試合。デビューして2ヶ月だから当然とは言え、エルボーなどもぎこちない。
 フロントスープレックスは目の醒めるような切れ味で、普通にプロレスをさせるのは疑問を感じなくもない。2・21後楽園で試合中にへナーレが怪我をしてしまったのもあるのか、なにしろ技にも遠慮を感じてしまう。後の試合で乱闘に割って入る若手の役目の時にも優しい性格が災いしているのか、オドオドしてみえてしまう。
 最強のラブライバーという、話題になったデビュー前のせっかくの個性もなりを潜めているのもいかにも勿体ない。
 縦社会のしきたりも解るが、エンタメなのだし、KNOCKOUTのリングで王国民キックボクサーが声援を浴びているのをみると、岡のオタクキャラは前面に打ち出すべきだと思う。プ女子声優である三森すずこと上坂すみれがそろってイチオシのレスラーに矢野通をあげているのなどは好機で、なんとか両者の抗争を望む。

<第2試合 20分1本勝負>
邪道 〇YOSHI-HASHI バレッタ ロッキー・ロメロ
10分08秒  バタフライロック
●TAKAみちのく エル・デスペラード タイチ 金丸義信

<第3試合 20分1本勝負>
●中西学 永田裕志 小島聡 天山広吉
10分20秒  ガン・スタン→片エビ固め
タンガ・ロア 〇タマ・トンガ バッドラック・ファレ ケニー・オメガ

第3試合 20分1本勝負
 また、アラフィフとして寂しかったのは第3試合の20分1本勝負で「第3世代」として中西、永田、小島、天山が一括りで出てきたところ。一応見せ場もあるが、基本的にはバレットクラブの引き立て役に終始。かつてはドームでメーンを張ってきた面々が、「第3世代」としてチャンスを与えられながら1年経って結局こういうポジションというのは、武藤や大仁田がそれなりに話題になっているのをみるとやるせない。
 といってガムシャラにやられても、会場の若いファンやレスラーの心に響くかは難しいところなので、中年の悲哀を感じざるをえないのだが…本間の負傷で45周年記念興行でのIWGPタッグ挑戦という大役が舞い込んできた天コジの意地に期待したい。

<第4試合 20分1本勝負> 
●獣神サンダー・ライガー 本間朋晃 真壁刀義
10分26秒  横入り式エビ固め
後藤洋央紀 石井智宏 〇矢野通

<第5試合 30分1本勝負>
〇デビッド・フィンレー 柴田勝頼 
14分37秒  ブルドッグボム→エビ固め
●デイビーボーイ・スミスJr. 鈴木 みのる

<第6試合 30分1本勝負>
KUSHIDA 田口隆祐 〇ジュース・ロビンソン マイケル・エルガン 棚橋弘至
12分57秒  パルプフリクション→片エビ固め
●BUSHI 高橋 ヒロム “キング・オブ・ダークネス”EVIL SANADA 内藤哲也

<第7試合 30分1本勝負>
●外道 オカダ・カズチカ
17分11秒  タイガースープレックスホールド
〇タイガーマスク タイガーマスクW

 そしてメーンのタイガーマスクW&タイガーマスク対外道&オカダ戦だが、タイガーマスクWのマスクが一新されたのがまず目を引く。今までは、アニメに近い鼻の尖ったデザインだったがさすがに視界が悪かったようで、普通のマスクに近付いた。
 この効果もあったのか、入場時にタイガーマスクとそろい踏みで共にコーナーポストに登った時から動きにもキレが感じられる。
 試合中も随所でタイガーとのコンビーネーションを発揮、場外の外道とオカダにそれぞれプランチャとトペを見舞ったかと思えば、ダブルでの打点の高いドロップキック、ヘッドバットを決める。最期は場外のオカダにタイガーマスクWがコーナーからムーンサルトを決め、タイガーマスクのタイガースープレックスでのフィニッシュをアシスト。

 マイクアピールでは、オカダが「タイガーマスクダブリュー! って、いうと会社に怒られるんだよ…」というギャグに始まり、「アニメと一緒だと思うなよ」との煽りから、「タイガーマスクWを観てね」との番宣で笑いで締めると、タイガーマスクがマイクを握り、「(Wが出た時に)またタイガーマスクかよ、何人出てくるんだ、誰でもなれちゃうのかよと思った」という、心情の吐露を交えたネタで笑いを誘うと、「今日の試合を観てどうですか?彼は真のタイガーマスクWです」とWを称え、「彼は喋れないんで」「必ず倒すと言ってます」と、盟友となった新たなタイガーのシングルへの決意をアピール。退場時に観客が群がってハイタッチを求める盛り上がりで締めた。

 当然ながらタイガーマスクWとして登場後のベストバウトなのはもちろん、この日のメーンに相応しい内容で客席を沸かせ、次戦、3・6大田区でのオカダとのシングル戦への期待も膨らむ好勝負だっただけに、当日券がなくなったのもうなずけた。
 
 ノンタイトルとは言え、当然、IWGP王座オカダの敗戦は考えられないが、結果いかんで、タイガーマスクWが一時だけの単なるアニメのタイアップなのか、中長期的に、例えば海外進出などを見据えたコアな企画なのかがみえてくると言える。

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