「コーチング」というものをご存じだろうか?
「コーチング」は、1970年代にアメリカ人のルー・タイスと言う人物が始めたのが元祖。
「クライアントのゴールの発見を促し、ゴールを達成できるマインド(心と体)をつくるバックアップをする」技術だ。
そのルー・タイスの直弟子であり、コーチング理論を体系化する作業を担当したのが、日本人の苫米地英人(とまべち ひでと)氏。
苫米地英人氏はIQ200を超える天才で、人工知能、脳機能、仏教など様々なジャンルを股にかける研究者である。
日本ではオウム真理教の地下鉄サリン事件の際に、オウム信者の脱洗脳を行なった人物。
そして、格闘王 前田日明氏と親友関係で『THE OUTSIDER』と言う格闘技イベントを共に立ち上げた人物としても知られる。
この苫米地氏は、知れば知るほど格闘技との縁が深い。
と言うのも苫米地氏の祖父は、柔道創始者の加納治五郎の直弟子で、ロシア軍人に柔道を伝えた苫米地英俊(とまべち ひでとし)氏。
そこからコマンド・サンボが生まれ、世界最強の皇帝ヒョードルを産み出している事から、ロシアの格闘技の発展に大きく関わる人物なのである。
ブラジルのグレイシー柔術の源流が日本人の前田光世氏であるならば、コマンド・サンボの源流はを苫米地英俊氏と言える。
昨年はそうした氏の功績が認められ、ロシアのウラジオストクへ銅像が建立された。
http://jp.rbth.com/news/2016/09/26/633333
その血筋を引く苫米地英人氏も、奇しくも日本の格闘技界にも関わりを持つ事になる。
本題に戻ると、コーチングの理論の体系化した苫米地氏が語るには、元祖ルー・タイスでさえ、自分自身のコーチングは他者に依頼していたという。
つまり、どれだけ優秀なコーチでも、自分自身の事は客観視はできないということ。
人は自分のことは自分が一番よく理解しているつもりが、実は一番見えていない側面もある。
コーチングは、客観的な視点を借りて盲点を自覚すると同時に、ゴールの発見とそれを達成する為のマインドの構築を促す。
自分の本当のゴールを自覚する事で、最高のメンタルと最高のパフォーマンスが発揮できる様になる。
だから、結果が人生を大きく左右するアスリートやプロスポーツ選手はプロのコーチを必要とするのだ。
「プロ格闘技」の世界では、これまでコーチという言葉は耳にしなかった。
しかし、2016年辺りから度々「コーチ」という言葉を耳にする様になる。
その起因となっているのが、現在「DEEP」や「巌流島」などで、6連勝中の菊野克紀選手だ。
菊野選手はコーチングによって、試合で最高のパフォーマンスを発揮できる様になったアスリートの一人。
UFCで連敗してからは、試合のオファーも来ない状況で地獄の様に辛い日々を送っていた。
そんな中で、「コーチング」の無料体験を知人に紹介され、藁にもすがる思いで受けてみたという。
菊野選手のコーチを担当したのは、スポーツに特化したコーチングを行っている「合同会社 All Days Sports」の阿部健二コーチ。
<合同会社 All Days Sports HP> http://alldayssports.com/
菊野選手は「コーチング」というのは「弱い人間」が必要とするもので、自分には必要のないものだと考えていた。
しかし、実際にコーチングを体験してみると、イメージしていたものとは全然違っていた。
自分の考え方や価値観を変えようとしたり、押し付けられる様な事は無く、自身の中にあるものを掘り下げて行く様な感覚であったと言う。
「コーチング」の有効性を察した菊野選手は、直ぐに契約を決めた。
そして今年の2月15日、菊野選手のコーチングの内容を時系列に振り返るイベント『プロ格闘家・菊野克紀メンタルサポート実践報告会』が行われた。
<プロ格闘家・菊野克紀メンタルサポート実践報告会 告知ページ>
http://www.reservestock.jp/events/164882
菊野選手はUFCの試合では「相手に勝とう」としていたが、これまでの試合はビビりで弱い「自分との闘い」だった。
しかし、結果がシビアなUFCの試合においては、いつの間にか「自分」ではなく「相手」に勝つ事にこだわってしまい、本来のパフォーマンスを発揮できずに、前に出る事が出来なくなった。
そして、今の菊野選手は、コーチングを受けた事で、自分の闘う相手は「相手」ではなく「自分」である事をはっきりと自覚し、試合に向けてのメンタルの持って行き方を掴んだ。
それからと言うもの、菊野選手は試合で最高のパフォーマンスを発揮することが出来る様になり、しかも神掛かり的なKO劇を連発している。
改めてコーチングとは何か?を振り返ると、
『ゴールの発見を促し、ゴールを達成できるマインド(心と体)をつくること』
『ゴールの設定』というものが、コーチングでは特に重要で、これは決して他人に押し付けられたものでは効果は現れない。
つまり何を「ゴール」にするかは「人それぞれ」であり、自分の中にしか答えは無いのだ。
阿部コーチは、菊野選手に何か考えを押し付けることは一切なく、ひたすら問いかけをしながら答えを引き出す作業を行なっていたと言う
トップアスリートの世界では、技術や実力は拮抗しており、ほんの紙一重の差で結果が決まる所がある。
菊野選手はUFCの試合に向けた練習では「誰にも負けない自信」を感じられる位に調子が良かったのに、試合では前に行けずに結果が付いて来なかった。
「相手と闘う」か「自分と闘う」のか、その僅かな心の置き方の差によって、結果のパフォーマンスが全く変わって来るのだ。
それは、UFCでのケビン・ソウザ戦と、巌流島でのケビン・ソウザ戦を見比べれば、如実に理解する事ができる。
もちろんコーチングによって、結果はコントロールできる訳ではない。
しかし、試合に大して最高のメンタルで、最高のパフォーマンスを発揮できるように促す事はできる。
いま菊野選手が体感しているコーチングが更に広まれば、世界で成功する日本人選手も増えると思われるし、格闘技界全体のレベルも進化するだろう。
「コーチング」は、今でこそ「プロ格闘技」の世界では聞き慣れない言葉であるが、菊野選手の経験と実績によって、これから更なる普及を期待する。
< All Days Sports 菊野克紀 コーチングレポート詳細>
http://www.highflyers.nu/coaching/katsunorikikuno1/
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