[ファイトクラブ] UFC年末にKO負けした元“絶対女王”ロンダを元“絶対王者”アンデウソンが激励

[週刊ファイト1月26日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼UFC208目前特集~年末にKO負けした元”絶対女王”ロンダを元”絶対王者”アンデウソン・シウバが激励
 by 稲垣 收
・どん底が人生を再構築する堅固な基礎となった――『ハリー・ポッター』の JK・ローリングの言葉を引用したロンダ
・「私も絶対負けられない試合で負けたことがある……ロンダ、何が起ころうと顔を上げろ。キミがやってきたことは歴史的偉業だ」(アンデウソン)
・「復帰戦の相手は慎重に選ぶべきだ。現王者を復帰戦の相手にするのは、うまくない」(アンデウソン)
・UFC208 ホーリー・ホルムvs.ジャーメイン・デ・ランダミー他

昨年大みそか(日本時間)のUFC207での復帰戦で、女子バンタム級王者アマンダ・ヌネスに挑戦し秒殺KO負けしたロンダ・ラウジー。そのロンダを、元“ミドル級絶対王者”で、“史上最高の格闘家”アンデウソンが激励。その内容とは?


2月11日(現地時間)のUFC208で、デレク・ブランソン(ミドル級8位)と対戦するアンデウソン(左、同7位)。ワイドマンに敗れて王座陥落した13年7月以降5試合で勝ち星がないが、前々回のマイケル・ビスピン戦(16年2月)では飛びヒザでKO寸前まで追い詰めたし、判定で敗れたがデイナ・ホワイト社長は「アンデウソンの勝ちだと思う」と発言。前回のコーミエ戦(16年7月)はUFC200というメガイベントで、ジョン・ジョーンズの出場停止を受けて急きょ一階級上の王者コーミエとの対戦を引き受け侠気(おとこぎ)を見せた。現在王者のビスピンに挑戦させてあげてもいいと思う。

 

UFC207で、1年1ヵ月ぶりに復帰した元“バンタム級絶対女王”ロンダ・ダウジー。
しかし、新女王アマンダ・ヌネスを相手に、何一ついいところがなく、一方的にパンチを打たれまくり、わずか48秒で秒殺KO負けしてしまった。
王座陥落した2015年11月のホーリー・ホルム戦でも、ボクシング3階級制覇&アマ・キック王者のホーリーに1Rからパンチを打たれまくり、2Rにハイキックで失神KO負けし、まったくいいところを見せられなかった。
それまでは12戦全勝、すべて完全決着勝利で、しかも1Rに仕留められなかったのはミーシャ・テイトとの再戦した1試合だけという驚異的強さを誇っていたにもかかわらず、だ。

そのため、ロンダには多くの批判が巻き起こった。
「映画(『エクスペンダブルズ3』『ワイルドスピード:スカイミッション』など)の撮影や、テレビ出演などで忙しく、試合に集中できていなかったのではないか」
とか、
「ホーリー戦で心が折れてしまい、ファイターとしての気持ちを取り戻せなかったのではないか」などなど。

今回、アマンダに負けた後、ロンダのカリフォルニア州ヴェニス・ビーチの邸宅の壁には、心無い落書きがスプレー・ペイントで書かれた。

ロンダ自身は、アマンダ戦後、試合後のインタビューも受けずにオクタゴンを去り、会見にも出ず、ほぼ、沈黙を守っている。
ただ、1月8日に、写真投稿サイトInstagramに、世界的ベストセラー『ハリー・ポッター』シリーズの著者である人気作家JK・ローリングのことばを引用して投稿している。

「そして、どん底が、私の人生を再構築する堅固な基礎となった。 JK・ローリング」

というものだ。
これは、ローリング自身が『ハリー・ポッター』で作家デビューする前の困窮時代のことを語ったものだ。シングル・マザーとなり、生活保護を受けながら、ネズミが出るボロ・アパートで赤ん坊の育児をしながら執筆をつづけた日々のことである。

ロンダがこのことばをInstagramに引用したのも、いま自分が経験している2連敗――しかも何もできずに一方的にやられてKO負け――というこの上ない屈辱は、まさにどん底だが、この経験が自分の人生を築き直すための大切な基礎になってくれるはずだ、というロンダの決意、あるいは、祈りにも似た気持ちが表れているのだろう。


ロンダがアマンダへの秒殺TKO負けから1週間後にInstagramに投稿した引用句。
「そして、どん底が、私の人生を再構築する堅固な基礎となった。 JK・ローリング」
1月19日現在、36万件を超える「いいね!」がついている。

ただ、ロンダの心は揺れ動いているはずだ。前回の敗戦からの1年、奪われたベルトと王者としての矜持を取り戻すため、死に物狂いで練習してきたのだ。それにもかかわらず何一つできなかったのだから。
前回ホーリーに敗れた後、しばらくたってから出演したアメリカのTV番組で、ロンダは「自殺すら考えた」と心境を明かしている。
たった1度の敗戦ですら、それほど思いつめたのだ。それが2連敗、しかも2連続KO負けとあっては、どれほどの悲しみと悔しさに打ちひしがれていることだろう。
今回のアマンダ戦の前にもロンダは、
「これは私の最後の数試合の1つになるだろう」
と引退の日が近いことをほのめかす発言をしていた。そして惨敗を喫した。
デイナ・ホワイト社長も、アマンダ戦後、ロンダは引退すると思うかと尋ねられ、
「わからない。ロンダはまず家に帰って冷静になって考える必要があるだろう。彼女は凄くリッチで、金は十分持っている。彼女はものすごく負けず嫌いだ。引退を望んでいるかもしれない。まだわからないが」
と発言している。

そんなロンダに、アンデウソン・シウバが激励のメッセージを送ったのだ。それは……

LAS VEGAS, NV – DECEMBER 30: (R-L) Amanda Nunes of Brazil punches Ronda Rousey in their UFC women’s bantamweight championship bout during the UFC 207 event at T-Mobile Arena on December 30, 2016 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

UFC207でアマンダのパンチの連打を受け、秒殺TKO負けを喫したロンダ。
Photo by courtesy of Zuffa LLC / Getty Images

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