[ファイトクラブ]ノーパンとウルトラマンとグレイシー神話に”底なし沼”

[週刊ファイト’16年4月21日号][週刊ファイト’17年1月19日号]採録収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ノーパンとウルトラマンとグレイシー神話に”底なし沼”
 新企画:タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・長寿を誇ったプロレスFC誌闘竜の連載見出し「スマートへの道」
・週刊ファイトとは何か?
・史上最大レッスルマニア32だが最高をNXTに持っていくWWE
・超満員・新日Invasion Attack悪役ブレイク内藤哲也戴冠劇総括
・Taichiをスターに!3・27鈴木軍興行『We are SUZUKI GUN 2』

 

2016年4月10日、超満員札止めの新日本プロレス両国国技館大会で内藤哲也がIWGP戴冠を果たし、三冠王者・宮原健斗を軸とした全日本プロレスでは春の恒例チャンピオンカーニバル、女子プロレスはWAVEが32名参加のCATCH THE WAVEが開幕したが、世界同時配信の時代である。トップ企業WWEはそれ以上のスピードで回っており、鉄は熱いうちにとAJスタイルズの世界ヘビー王座挑戦に加え、日本公演には中邑真輔、ASUKA華名らの参戦も公式発表された。一方では、業界のいじられ役グレイシー安西伸一記者が、音楽ライター/ルポライターとして活躍中だ。振り返ってみて転換期だった前年の4月、いったいマット界の”底なし沼”はどこまで深いのか。シュート活字委員会がタブー核心に踏み込み好評だった記事をファイトクラブ会員に公開!

ノーパンとウルトラマンとグレイシー神話に”底なし沼”

―― 記事のタイトルなんですか? ノーパンが最後は底なし沼なんですか?

オフレコ 土曜4月2日のことなんですが、 キャットファイトCPE代表THOGOのプロデュースする中村ピアノのデビューCDのリリースが窓口に届いた。それの叩き文句というのか、売り口上を担当しているのが音楽ライターの安西伸一(笑)。同姓同名ではなくてグレイシー安西だね。業界のいじられキャラだけど、今度はサンデー毎日のウルトラマン特集記事の肩書はルポライター。続けて同じ日にエントリーが並んだ偶然が業界人の間で話題になった。

―― 内輪ネタ過ぎませんか? 見出しの【ノーパンで挑んだ初作品「中村ピアノ」フルアルバム完成!】は、一瞬なんでこの単なる宣伝が貴重な週刊ファイトに出てるのかわからなかった。「彼女は引きこもりだった期間がある。だけど・・・」と煽り文を書いているのが安西さんだと。

オフレコ 安西もタナカも、前田日明も柴田惣一も同年生まれだから、谷川貞治から見たらジジイらしい(笑)。まだ当時小学生だった世代にウルトラマンが与えた影響は文字通り破壊的だった。前田は、大阪城が破壊されたので翌日行ってみたらそのままだったという話が有名だけど、タナカの場合は幼稚園がカソリック校で、最初に覚えさせられる外国語が英語ではなくラテン語という環境や、従妹が牧師なんでプロテスタントの日曜学校に通っていたから、ウルトラマンの正体がイエス・キリストだったというエピソード回の衝撃は凄まじかった。従妹にもすぐに「ウルトラマンがイエス様だった」と大騒ぎしたからね。まして大阪市立集英小学校は都会のど真ん中の、北浜の証券取引所の並びで日経新聞本社が裏庭にあるヘビーメタルな環境だから、話を簡略化するなら吉本興業の奇術師さんの息子やインド人など外人もいたと。手品を舞台裏から見たら全部トリックがあることを本能的に学んでいた。

―― 当時から、宗教というのは大衆扇動操作のための巨大なアングルなんだと確信していたから。”アングル”という業界用語までは知らないけど、肝心なのは世の中にはすべてウラがあることをおませなガキは理解していた。

オフレコ ブッチャー&シーク組がファンクスにフォークを突き刺す合図が見えたし、当時、もの凄く人気があったローラーゲーム中継で、ケツの勝敗も途中のスポットも全部事前に決められ相談され、リハーサルされたスポーツ・エンタテインメントだと独自に見破っていたからね。もっとも、同じ学校に通っていても、そこまで深く楽しむ者はいないし、「ローラーゲームの試合は勝負が事前に決まっている」と言っても、同級生はそもそもなんのことなのかもわからない。宇宙人の話にしか聞こえなかったそうだけどね。

長寿を誇ったプロレスFC誌『闘竜』の連載見出し「スマートへの道」
 

活字プロレスは故I編集長こと井上義啓先生のいわば登録商標である。直系の弟子にターザン山本、井上譲二、タダシ☆タナカが揃っており、ブランド「週刊ファイト」の本家・本元としてジャーナリズム主義と伴に活字プロレスの楽しみと謎かけを継承すべく心がけている。
 媒体にはアイデンティティが必要だ。現在の雑誌ゴングが、果たして竹内宏介さんismを継承しているのか疑問の声はあるが、少なくとも本誌の定期購読者から「週刊ファイト」の伝統カラーに文句は聞かない。のちに直木賞作家となる村松友視さんの『私、プロレスの味方です』(80)は、I編集長に影響された直撃世代の産物であった。


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