第45回プロレス文化研究会のお知らせテーマ「対立するプロレスは今」

■ 第45回プロレス文化研究会
日時:7月14日(日) 午後2時~5時
今回は日曜日の開催です。開催日にご注意ください。
場所:京都ル・クラブジャズ
入場無料:(カンパ歓迎。)
その後2次会予定
●会場内への飲食物の持ち込みは禁止です。お守りください。
●ル・クラブジャズに研究会の内容についてのお問い合わせはご遠慮ください。
1.報告 梅津顕一郎氏(宮崎公立大学准教授)
「プロレスの1986年
 ~「対立軸」のプロレスに果たす役割を考える ~」
2.ビデオ上映 作品未定 
 今回のプロ文研は、梅津顕一郎さんが久々の登場です。梅津さんは『現代風俗 プロレス文化』(2010年、新宿書房)において、1980年代のプロレスを俯瞰しつつ、今日の惨状もその影響下にあると論じています。今回は、1986年に焦点をしぼって、現在のプロレスの課題を指摘します。
それでは、ご本人からのメッセージをどうぞ。
 小橋建太選手の引退興行の盛り上がりは、久しぶりにプロレスが世間を沸かせた出来事だった。骨身を削りながら長年プロレス界をリードしてきた同選手の引退花道を盛り立てようと、多くの団体が舞台裏での恩讐を超え、協力し合う様を、関係者や著名人たちは美しく語っていた。
 同様の賛美の声は2011、12年に2年連続で開催された震災復興興業・ALL TOGETHERにおいても聞くことができた。しかしこのような状況に、報告者は、かつてのプロレスとはいささか異なる、違和感のある風景を読み取るのである。そこにかつてのプロレスが持っていた強烈な何かが欠けていると感じるのだ。それはすなわち、リング上の戦いのドラマをめぐる「対立軸」の不在である。
今回の報告では、リング上の戦い模様に明確な「対立軸」を読み取ることができた1986年にスポットを当て、この問題を考えていく。1986年当時、団体数は、男子2団体(全日本、新日本)と女子2団体(全日本女子、ジャパン女子8月より)の計4にすぎなかった。男子2団体は、興行的には互いにしのぎを削る「対立関係」にあると同時に、それぞれのリング上においても「軍団抗争」という対立軸を売りとしていた (全日はVSジャパンプロレスの二年目、新日は対UWF) 。また女子プロレスにおいてもジャパン女子プロレスが8月に誕生し、長らく全女一極だった状況に大きな変化が現れた。
 テレビ中継は全日、新日、全日本女子ともにゴールデンタイムに一時間枠で放送されており、少なくとも男子2団体について言えば、リング上の「対立軸」が、まさに戦いのドラマ作りの根源となっていたと考えて良いだろう。
 報告者が特に重視したいのは、この「対立軸」が、単なる興行戦争や、フィクションとしての「軍団抗争」を意味するのではなく、格闘技としての技術的スタイルや試合の見せ方、キャラクター性の打ち出し方といった、プロレスの内容そのものにかかわるコンセプトの違いにまで及んでいたことである。オーソドックスとハイスパート、ストロングスタイルと本格的な格闘技スタイル。これらがリング上でぶつかり合いながら、スリリングな試合展開を見せることで、スタイルそのものが変化・成長してゆく。その弁証法的ダイナミズムと創造性こそが、この時代のプロレスの魅力であったのではないだろうか。
 その意味で、当時の「対立軸」は、現在の各団体で見るような、唯の絵空事に過ぎない「抗争劇」とは、根本的に異なるものであった。とするなら、逆にそのような「対立軸」を、何らかの形で今のプロレスに復活させることは可能なのではないだろうか。そして、そのことによって、プロレスそのものが今よりもう少し「面白い」ものになるのではないか。報告では、この立場から今後のプロレスの在り方についても考えてゆきたい。
 梅津さんの、単なるノスタルジーにとどまらないコンテンポラリーな報告に乞うご期待!
                       世話人 井上章一、岡村正史
 当日、会場でいろいろなご意見をいただけることを楽しみにしています。(世話人 井上章一、岡村正史)
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