ドラゴンゲートはここ数年のプロレス界の中で完全な勝ち組だった。
観客動員の減少、テレビやスポンサーの撤退、選手やスタッフの離脱、悲報・・・など様々な事情と世の中的に100年に一度と言われる不況が重なり、プロレス界はどこも厳しい状況に追い込まれる中、早まった大勝負には出ず、着実に固定ファンを増やしながら、地道にのし上がってきたドラゲー。
エースであり、ドラゲーの顔ともいえるCIMAがケガで長期欠場するというピンチに見舞われながらも、無事に乗り切った上にCIMAも懸命のリハビリにより無事に戦線復帰。これでドラゲーは安泰だと思われていた。
あの『週刊プロレス』が「プロレス界に関わるすべての人に言いたい。DRAGON GATEに学べ!」と表紙にコピーを打ったくらいだ。
そんなドラゲーが思わぬところで躓いた。
何と選手たちが道場で飼っていたサルを虐待していたというのだ。9月2日、虐待に加わった3選手とそのサルを最初にペットショップから購入したCIMA、そしてドラゲー首脳が神戸市のオフィスで謝罪会見を行い、選手たちは動物愛護法違反などの疑いで書類送検されることと、選手と首脳陣への処分が発表された。
この事件のことは早くからネット上でも話題になっており、ドラゲーサイドの対応が待たれていたが、最初にことが明るみに出てから約半年余りが経過した9月2日になって、ようやく謝罪会見を開くというのはやはり対応が遅いと言わざるを得ない。
しかも、その会見で発表された選手たちへの処分が「思ったよりも軽い」ものだったため、ドラゲーに対する不満の声は会見後に鎮静化するどころか、さらに増しているという有り様だ。
確かに薬物使用や殺人に比べれば動物虐待の罪は重たくない。だが、プロレス界の先頭に立って、厳しい状況のプロレス界全体を引きあげていかなくてはいけない存在のドラゲーだけに、これでは業界全体のイメージダウンにつながりかねない。
プロレスマスコミも会見で発表されたことのみを報じるだけで、今まで散々ドラゲーを持ち上げてきたのに、いざドラゲーが不祥事を起こしたときは出来るだけ触れずにやり過ごそうといった感じだ。
相変わらずの臭い物に蓋というか、見て見ぬフリ体質だが、元『週刊ファイト』編集長の井上譲二記者にはそれは出来ない!
ドラゲーの岡村隆志社長の手腕を高く評価し、出来る人間だと思っていたからこそ、今回の対応には首を傾げざるを得ない。今週の『マット界舞台裏』では敢えて巻頭&表紙のトップ扱いで、このドラゲー問題を取り上げ、ドラゲーに対して苦言を呈している。
ドラゲーにはこういうときにも、他団体も学ぶべきと思えるような対応をしていただきたい。
週刊マット界舞台裏’09年9月10日号