リョート・マチダの戴冠という衝撃的な結末で幕を閉じたUFC98。
その興奮が冷める間も無く、ジ・アルティメット・ファイター(The Ultimate Fighter)シーズン10のコーチがクイントン・ランペイジ・ジャクソンとラシャド・エヴァンスに決定した。
ジ・アルティメット・ファイターこそ、UFC躍進のきっかけになったリアリティー・ショーでUFC出場、契約を望む総合格闘家が共同生活をしながら競い合うもので、最後にはコーチ同士がUFCで対決する事でも大きな話題になっている。
今回は初めて、両コーチが黒人選手であり、ジャクソンはシーズン7に続いて2度目の登板、エヴァンスはシーズン2で優勝してUFCとの契約を獲得した選手であり、今回はコーチとしては初登板となる。故郷に錦を飾る形だ。
ジャクソンはUFCライトヘビー級新王者、リョートの初防衛戦の相手として有力候補として名前が挙がっていたが、タイトルよりもエヴァンスとの決着を優先した様だ。
ジャクソンのコメントでも先にエヴァンスを倒したリョートにはジェラシーを感じるが、まずはエヴァンスと決着をつけたいと言っており、エヴァンスとの確執は根深い様だ。
元々、このジャクソンとエヴァンスには因縁があり、UFC96でジャクソンがエヴァンスのチーム・メイトであるキース・ジャーディンを判定で下した直後、当時王者であったエヴァンスがオクタゴンに入り、ジャクソンとにらみ合い、舌戦を展開。そしてUFC98で対戦が決定したのだった。
しかし、その後、ジャクソンが手首を怪我し、欠場となり、代わりに挑戦者としてエヴァンスと戦ったのがリョートなのだ。
さて、こうした因縁があるのだが、観客が支持しているのはジャクソンであるのが面白い。日本でもお馴染みの選手であるジャクソンだが、その奇行が目立ち、喧嘩や自動車で暴走運転、人身事故を起こしたりとトラブルメーカーだ。良くも悪くもヤンチャな選手である。
対するエヴァンスは良く言えば真面目、悪く言えば地味という優等生タイプ。
はみ出し者タイプと優等生タイプではみ出し者タイプの方が観客から支持を得るのは近年のアメリカのショービジネスを象徴してる現象かもしれない。
WWE(当時WWF)にしても優等生タイプの”ヒットマン”ブレット・ハートの時代から、悪ガキである”HBK”ショーン・マイケルズ、反逆者である”ストーン・コールド”スティーブ・オースチンに時代が移った。WCWにしても悪の軍団、nWoのブレイクなど、それまでの優等生タイプがベビーフェイスだった時代から、ちょい悪なタイプがベビーフェイスになってきたという現象が現れている。
このジ・アルティメット・ファイターにしても、コーチ役で人気が高いのは、いじわるで若手に厳しいコーチだったチャック・リデルやマット・ヒューズである。こうした観点からジャクソンvsエヴァンスに注目するのも面白いだろう。
更に今回のシーズン10ではヘビー級のみ16人で競わせるという予定になっているので、ヘビー級の層が薄いと言われているUFCで、ニュースター誕生となるか、非常に楽しみなシーズンになる。
また、ジャクソンがコーチ就任で宙に浮いたリョートの初防衛戦の相手だが、一部にマウリシオ・ショーグンの名前が挙がっていた。しかし、それはダナ・ホワイトが否定している。
リョートの初防衛戦の相手も注目だ。
尚、リョートが王者になったUFC98に関してはミルホンネットの
井上譲二:週刊ファイト前編集長 週刊マット界舞台裏’09年6月04日号で特集を組んでおり、選手のギャラなど裏側も書かれているので是非、合わせてお読み下さい。
TUF10のコーチにクイントン・ジャクソンとラシャド・エヴァンス
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