石井慧、朝青龍が戦極に!? DREAMへの宣戦布告か?

 Dynamite!!からわずか4日後、再び17000~18000人の観客で埋まったさいたまスーパーアリーナの、最大のサプライズは石井慧がリング上で挨拶したことだ。そして武蔵川理事長の部屋に出げいこを敢行、また両国の国技館前に“ちゃんこ鍋屋”をオープンすると発表したばかりの横綱・朝青龍が、その石井とリングサイドで仲良く総合格闘技大会を観戦したことにつきる。
 石井は12月末にUFC観戦のため渡米、独占交渉権の書類にはサインしているから、お金よりも最強の金網オクタゴンを目指す意思は固いものの、大晦日に関しては「山籠りする」と発言するなど、Dynamite!!のリングからは距離を置いて挨拶すらしないことを表明していた。それだけに、あっさりと戦極に登場して、UFC挑戦後には戦極とまでほのめかしたことには関係者の誰もが驚いた。
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 そもそもTBSの番宣手段である『格闘王』に石井が頻繁に登場、谷川貞治FEG社長も交渉があったことを認めるに及んで、誰もがDREAMが王手をかけたと錯覚したが、その後のUFC本命宣言も衝撃的なら、UFCのTシャツ着用とはいえ、あっさりライバル戦極のリングでマイクを握り、横綱との対戦までアピールするとは誰が予想できたであろうか。まして、菊田早苗対吉田秀彦戦に花束まで持って文字通り花を添えたのである。
 この間の事情を、國保尊弘広報は「和術慧舟会、吉田道場でお世話になっているから来場した」と、石井のコメントを代読。それにしても、FEG&TBSにしてみればこれはクーデターに近い衝撃であろう。なにしろ石井を逃したのみならず、朝青龍に関してもミルコ・クロコップ戦を用意するからと説得にかかっていた経緯があるだけに、リングサイドからの観戦とはいえ、横綱が戦極の会場に姿を見せたことの波紋は計り知れない。
 ひとつには大晦日『Dynamite!!』でボブ・サップに敗れたキン肉万太郎に対する不満もあるようだ。なるほど、デビュー記者会見時からして何を聞かれても「屁のつっぱり」としか答えない。お茶の間で知識なく見ている大衆には、あたかも覆面戦士の正体が石井であるかのように実況アナが紹介していた。勝手にアテられた石井にすれば、面白かろうはずがない。リング上でも「先日、ある団体で負けた総合格闘技の選手が自分ではないかとうわさになりましたが自分ではありません!」ときっぱり。
 記者の質問に答えて國保プロデューサーは、「私が(石井と)会ったのは今日が初めて。昨晩決まった」、「(FEGや誰とも)契約はしてないだろうから…」と謙遜していたが、朝青龍の転向にせよ石井にせよ、「実現するなら、即(戦極のリングで)実現させたい」とまんざらでもなさそうであった。また、北京五輪水泳金メダルの北島康介も最前列で観戦している。
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 いずれにせよ、DREAMが今年のスケジュールを発表できないままだったのに対して、DREAMが先にプランを明かしていたフェザー級(65kg)16名トーナメントを、戦極は3月20日国立代々木競技場で開催すると発表。「半分の選手は内定している」と明言したことと合わせて、業界の地殻変動を予感させ新春の初夢を見せつけられた一夜であった。