18日、東京・後楽園ホールにて、超満員1,850人(主催者発表)を動員し『昭和プロレス 第二弾』が行われた。
何しろ『昭和プロレス』だけに、この日の後楽園は、観客の年齢層がいつもよりもぐっと高め。青いビルの玄関から5階ホールに向かうエレベーターの中でも、初老の紳士二人が「プロレス、久しぶりだよなぁ!」と目を細めながら語らう微笑ましい光景が見られた。
北側から、南側から、そしてバルコニーから、赤ら顔のオールドファンが絶妙にして軽妙な野次を飛ばす。それにドッと笑って呼応する1,850人。「これが昭和だ~!」。またホロ酔い気味のダミ声がどこからか上がる。これが昭和。まったくその通り!
そんな温かいムードに包まれながら繰り広げられた“全7試合の熱戦”。メインでは昨年10月に胃ガンの手術を終えたばかりの“組長”藤原喜明が、14ヶ月ぶりのリング復帰。対するは、第1次UWFで幾度となく名勝負を繰り広げた初代タイガーマスク。
お馴染み「ワルキューレの騎行」に乗って登場し、リングインと同時に軽く会釈。ここまでは見慣れた“いつもの組長”の風景だが、藤原がTシャツを脱ぎ捨てた瞬間、大きなどよめきが起こった。全盛時よりもだいぶふっくらとした藤原の下腹部に、縦一文字にくっきりと手術跡が刻み込まれている。藤原が昨年に強いられた闘いがいかに厳しいものであったか、何よりもその傷の深さが物語っている。
そんな藤原を迎え撃つ初代タイガーは、情けをかけてはかえって無礼とばかりに、手術跡生々しい藤原の下腹部に、キレ味衰えぬミドルキックを連続でぶち込んでいく。藤原も脇固め、アキレス腱固め、腹固めと、往年の関節フルコースで対抗するが、コンディションの差は歴然。最後は、愛弟子・獣神サンダーライガーが見守る青コーナーで、ミドルのメッタ打ちを喰らい続けた藤原が悶絶しながらダウンしたところでレフェリーが試合をストップ。往年の初代UWF“ノーフォールデスマッチ”を思い出す衝撃の打撃決着となった。
藤原も往年の魔術師ぶりを見せるかと思われたが…
タイガーの攻めはいつに増して強烈。セコンド・ライガーの投げたタオルも拒絶して食い下がった藤原だが、最後は打撃の雨あられに沈んだ。
試合後マイクを取り、
「昨年10月、私は死を覚悟しておりました! でも皆さんのお陰でリングに上がることができました」
と号泣しながら絶叫した藤原。盟友・佐山サトルとの一騎打ちで飾った復帰戦。藤原にとって、この日は生涯忘れ得ぬ“無限大記念日”となったに違いない。
号泣する藤原を、悪友・ドン荒川が祝福。これぞ昭和プロレスの風景!
ご覧の通り、腹の手術跡が生々しい。
それでも、藤原喜明はリングに帰ってきたのだ!
FMW時代に因縁を持つ栗栖正伸と大仁田厚が、十余年の遺恨を超え電撃的(?)合体。タッグでグラン浜田&鶴見五郎のコンビと対決した。栗栖は往年の“イス大王”ぶり復活で、リングサイドのイスを次々リングに投げ入れるなど大暴れ。でも大仁田と栗栖といったら、昭和プロレスというより“初期平成プロレス”な気がするけど…でも盛り上がってたし、まあいいか!
■『昭和プロレス 第二弾』
2008年12月18日(木)開始:18:30
会場:東京・後楽園ホール
<メインイベント レジェンドマッチ 藤原再起戦>
○初代タイガーマスク(セコンド:小林邦昭)
(10分15秒 レフェリーストップ)
●藤原喜明(セコンド:獣神サンダーライガー)
※レフェリー:柴田勝久
<セミファイナル メモリアルタッグマッチ 新日本vs全日本>
長州力、○蝶野正洋
(7分46秒 シャイニングケンカキック→片エビ固め)
渕正信、●獣神サンダーライガー
<第5試合 懐かしの昭和映像>
<第4試合 バトルロイヤル>
○アントニオ小猪木
(13分14秒 小卍固め)
●ジャイアント小馬場
退場順=タイガー戸口、剛竜馬、木村健悟、小林邦昭、ドン荒川、ジャイアント小馬場
※レフェリー:柴田勝久
<第3試合 メモリアルタッグマッチ>
大仁田厚、●栗栖正伸
(12分31秒 リングアウト)
グラン浜田、○鶴見五郎
<第2試合 歌合戦>
-キラーカーン
-いとうかなこ
<第1試合 オープニング特別マッチ 新日本vs全日本>
△山本小鉄、星野勘太郎
(10分 時間切れ引き分け)
△グレート小鹿、ザ・グレート・カブキ
※レフェリー: 魁勝司