女・武士道~リアルジャパンプロレス観戦記~

2008年12月4日(木)
後楽園ホールにて開催されたリアルジャパンプロレス「Conclusion~決着~」を観戦してきました。
初代タイガーマスク佐山サトルと2代目タイガーマスク三沢光晴の夢の競演!
往年のプロレスファンにとって見逃せないカードとあって、会場は超満員。
歴史的瞬間を見届けようと各方面から著名人も集まり、会場のリング上に負けない熱気を醸し出しておりました。
初代タイガーマスクの佐山サトル氏は武士道を重んずるお方。
恐れ多くも歴史好きと言いコラムを書かせていただいている私ことみかめゆきよみ、
佐山氏の武士道精神を肌で感じようと、観戦した次第でございます。
本試合で私が注目していたカードは、言わずもがなメインイベントとセミファイナルの2カード。
『夢の虎対決』も大変重要ではございますが、歴史ファンとしては外せない「みちのくプロレス」(度々コラムを書かせていただいております!)からやってきたザ・グレート・サスケが出場する第四試合も見逃せないものでございます!
■第一試合 間下隼人 VS 斎藤彰文■
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リアルジャパンプロレスの新人二人のカードです。
二人とも若く筋肉の付きもなんだか頼り無さげ。
でもその初々しさが20代半ばの私のハートを鷲掴みです(笑)
強いて言えばまだ前髪のある少年剣士を見ている様な…
こほん、気を取り直して、
リアルジャパンではお馴染みのカードとあって、「うまくなったなー」といった
歓声も飛び交い、なんだかあったかムードな一戦だなざでございました。
試合結果:○間下隼人(9分29秒ラリアット→体固め)斎藤彰文×
■第二試合 グラン浜田 ブラック・シャドー VS 折原昌夫 タイガー・シャーク■
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謎のマスクマン・ブラック・シャドーが小さな巨人・グラン浜田とタッグを組んで
折原&タイガー・シャークに挑んだこの一戦。
先の記者会見で「初代タイガーを狩る」と不敵な発言をしたブラック・シャドー、
ブラックの名に相応しく試合中なんとグラン浜田を裏切る行動に!
浜口のタッチを無視し、そしてコーナーにあがった浜口を攻撃!
裏切りは戦国の世の習いとはいえ…流血したなんとも痛々しい姿の浜田に武士の情けを!
試合はグラン浜田が折原に体固めで敗北。リアル血流に一瞬血の気の引く私。ええい、武士目指す者が血如きで騒いでどうするか。気を取り直して第三試合の観戦に向け己に喝を入れ直すのでございました。
試合結果:×グラン浜田 ブラック・シャドー(8分03秒体固め)折原昌夫 タイガー・シャーク○
■第三試合 石川雄規 スーパー・タイガー VS  高山善廣 長井満也■
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もうこの身長差が反則ではないかと思う、そんな高山と石川の戦いが見応えありでした。
武術において、いくら刀が強いといっても、リーチの長い槍や薙刀に勝つのは難しいとされております。
そんな刀がリーチの長い武器に勝利すると爽快感があるもので、かの宮本武蔵なんぞは槍の宝蔵院、神道夢想流(杖術)の開祖、夢想権之助に見事に勝利しており、そこが武蔵の魅力でもございます。
武蔵の場合、正攻法でなく勝つ為に手段を選ばない所もございましたが、それこそが戦に勝利する術にございまして、さて、プロレスとなると話は別で、その人が持つ身長といったスペックは変えようがありませんし、ルールという縛りもございます。
しかしながら小柄な石川が自分より大きな相手を持ち上げると、会場は大きな歓声が巻き起こりました。リーチの短い武器が長い武器に勝つの同様、体の小さい者が大きい者を持ち上げるギャップがたまらないのでございます。
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結果としては高山が石川を締め上げて勝利致しましたが、迫力のある試合でございました。
試合結果:×石川雄規 スーパー・タイガー(16分18秒スリーパーホールド)高山善廣 長井満也○
■第四試合 ザ・グレート・サスケ VS アレクサンダー大塚■
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第三代王者決定戦ということでベルトをかけた戦いでございます。
立会人はかの杉山穎男氏(元『格闘技通信』編集長)。和服に威風堂々とした佇まい。
ここにも武士道の精神が漂っており、ぴりっとした緊張感を感じました。
そこにユセフ・トルコレフェリーの饒舌な日本語の挨拶が入り、場の空気が一気に緩んで、試合開始!
サスケはあちこち体を壊している様子。本調子でなくても、男は戦わなくてはならない場面があると言わんばかりの背中を向けておりました。
流石に第四試合ともなるとベテランとあって、技の見せ方やかけ方が美しいなと、プロレス観戦素人ながらにも感心致しました。
相手のスペックを見極める力は剣豪にとって死活問題であった様で、真剣勝負の場合、対峙した相手より自分が強いか弱いかを一瞬で判断できないとそれ即ち死に直結でございますが、プロレスの場合は事前のリサーチや、60分の試合時間の中で見極めていくことができるわけで、序盤の細かな技の掛け合いの中にも多くの思惑が潜んでいるのだと言う事を改めて実感する試合でございました。
試合結果:×ザ・グレート・サスケ(16分33秒SSD→上四方固め)アレクサンダー大塚○
■第五試合 初代タイガーマスク ウルティモ・ドラゴン VS 三沢光晴 鈴木鼓太郎■
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メインイベント、初代タイガーマスクと2代目タイガーマスクの三沢の対決です。
盛り上がりをみせていた会場が更にヒートアップ。正に戦場の臨場感といったところでしょうか。
夢のカードだけあってどちらが勝利するのか予測ができません。固唾を飲む観客の息づかいがひしひしと感じられます。
まずはウルティモ・ドラゴンと鈴木鼓太郎のスピード感溢れる戦い。まるで忍者映画の様な動きに、頭によぎる言葉は「ワイヤーは使ってません!」
マッハ!!!!!!!!か!とセルフツッコミ。
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そして両サイドとも交代して、いよいよ初代タイガーと三沢の対戦です!
互いに年をとっているということもあり、見た目の衰えは感じずにはいられないけれど、
オーラというか、貫禄というか、ただ互いににらみ合っているだけで、こちらの肝が冷える思いでございます。これが武士の空気なのでしょうか?
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見栄えがいい技をかけるのではなく、確実に相手から勝利をもぎ取る技をしかける、試合の流れを見極めてタッチをする、確かに夢のカードではあるけれど、それはただ見せ物としてやっているのではなく、互いに相手に対して真剣に取り組んでいるのだということが伝わってきます。
途中に挟むウルティモと鼓太郎の軽快なバトルが、寿司でいうところのガリの役割を果たし、暫し試合の空気をリセットしてくれます。戦いもリズム感が大切であるというわけでございます。リズム感皆無の私はただ必死に試合の流れを見つめるしかなく、口はぽかんと空いたままでございました(笑)
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最後はまさかの展開。鼓太郎と初代タイガーが場外へ、三沢とウルティモがリング上で戦う状態となり、どちらを見ればいいんだと軽くパニックに陥っているところで、三沢がウルティモにエメラルドフロージョンを決めて勝利と相成りました。なるほど、タッグマッチであればこういう結果もございます。
試合結果:×初代タイガーマスク ウルティモ・ドラゴン(15分24秒エメラルドフロージョン)三沢光晴 鈴木鼓太郎○
■試合後■
初代タイガーマスクはリングを降りた後、直ぐサイン会へと流れ込み、
先ほどまでリング上で試合をしていたとは思えない驚異的なスピードでサインをさばいておりました。
平素から臨戦態勢。正に武士の心意気でございますね。
というわけで、歴史オタク的なプロレス観戦レポでございました。