GENOME7の開催も決まり、活動休止説を一蹴したIGFだが…

 アントニオ猪木がスカパー!HDの発表会見にゲスト出演した際に、まだ詳細が明らかになっていなかったIGFの次回大会「GENOME7」を、11月24日に愛知体育館で開催することを発表した。

 次回大会が正式に決まったことで、ひとまず活動休止の噂を一蹴したわけだが、決してIGFの団体運営が順調というわけではない。それは多くのファンも気付いていることだと思うが、あれだけの大会場で、演出にもそこそこ金をかけ、あれだけ多くの外国人選手を招へいしているのにも関わらず、あれだけの客入りしか動員できていないのだ。

 IGFの親会社は皆さんもご存じの通り、英会話教室のNOVAや焼き肉屋さかいの親会社でもお馴染みのジー・コミュニケーションだが、すでにジー・コミュ側はIGFへの出資を渋り始めており、プロレス事業からの撤退も考えているという。
 それも当然だろう。そんな苦しい事情の中で、IGFは8月に新日本プロレスが“真夏の祭典”G1クライマックスの終盤戦を行う16、17日の直前にあたる15日に、同じ両国国技館で「GENOME6」の開催をぶつけていったが、興行的には惨敗を喫した。いくらIGFが新日をライバル視しているからといって、さすがにG1の前に両国大会をぶつけるのはあまりにも無謀だった。
 だが、実はそんなことはIGF関係者はもちろん、あの猪木ですら分かっていたことだったようだ。だからIGFは当初8月15日に両国国技館で大会を行うつもりはなかったのだ!

 しかし、そんなIGFに猪木を慕う、あるプロモーターが「私がスポンサーを連れてきて、そこが出資しますから、8月15日に両国で大会をやって、新日にケンカを売ってやりましょうよ!」と焚きつけたらしいのだ。
 「買い興行ならば」ということで、IGFも8・15両国大会をやることにしたわけだが、とくにそこに向けた準備も何もしていなかったので、旗揚げ一周年記念に、旗揚げの地で開催した大会の割には、とくに大きな仕掛けもなく無難な内容だったのは、皆さんもご存じの通り。

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 ところが事件は舞台裏で起きていたのである。今回の8・15両国大会開催を焚きつけたそのプロモーターが連れてくると豪語したスポンサーだが、なんと「そんな話は聞いていない!」とスポンサー料の支払いを拒否! 当然買い興行だと思っていたIGF側は大慌てで、そのプロモーターに問い詰めたようだが、そのプロモーターも事情が分からずてんやわんやに。

 買い興行とはいえ、プロレス村特有の口約束で、恐らく契約書すら交わしていなかったのだろうから、スポンサーから「聞いていない。払わない」と言われてしまったら、IGFとしては泣き寝入るしかなかったようで、結局8・15両国大会は買い興行ではなく、普通にIGF主催の興行ということに収まったようだ。
 そんなわけで、ただでさえ苦しい台所事情なのに、余計な“負債”まで抱え込む羽目になったIGF。それだけに活動休止寸前という報道は信憑性が高かった。

 では、なぜIGFが次回大会を開催できたかというと、それは元週刊ファイト編集長の井上譲二記者が「週刊マット界舞台裏’08年9月04日号」で詳しく書かれているので、そちらを参照されたい。

 世の中には「IGFなんてプロレス団体は知らんが、アントニオ猪木にだったら金を出してもいいぞ」という、“猪木信者”のお金持ちがまだまだいるらしい。これぞスーパースターの証なのか、はたまた猪木の人徳なのか…????
 それだけに金の臭いを嗅ぎつけて、猪木の周りには様々な人間が近寄ってきて、猪木を使って何とか金儲けをしようとしているらしい。そういう人たちが一致団結してIGFをもり立てていってくれるならファンとしては嬉しいが、どうもそういうわけでもなく、「アイツに金を渡してたまるか!」とか「アイツを追い出せ!」とか、各々が自分の保身しか考えずに、喧々諤々とやり合っているので、IGFの足並みはまったく揃っていない。

 ひとまず活動休止は免れたIGFだが、猪木の周りを取り巻く人間たちの内紛によって、内部から分裂・崩壊する可能性はまだまだあると見てよさそうだ。