パンクラス後楽園ホール大会 近藤有己が久々のKO勝利

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 近藤有己のイン・ローがコツコツと、勢いの波に乗り対戦相手に選ばれた一回り骨格の大きな大堀竜二をとらえていた。見よう見まねでカットはしているが、柔道出身の大堀は、どうやら本格的なキックボクシング修行は身に付いていない。サウスポーの近藤に、オーソドックスで構える大堀の左足は、格好の標的になる。ムチをしばくような音が会場にこだましていく。
 
 2Rには、大堀の豪快な払い腰が決まり、近藤の体が宙を舞う。試合後のインタビューで、「反省点ではあったが、想定内」とも答えた近藤。それもそのはず、吉田道場での出稽古で、「投げられ、下になりの攻防には慣れていた」という。そこからどう立つかが近藤の真骨頂だ。大堀がサイドポジションからマウントに移行するタイミングをとらえ、スタンドに戻す達人の技を魅せたのがエース近藤である。
 
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 ローが効いてきて、力が入らなくなった大堀のタックルを見きった近藤は、サッカーボールキックを顔面へ。この時点で、大堀の心が折れた。
 上記左の写真は、まさにその、対戦相手に背を向けた瞬間である。このわずかな隙を近藤は見逃さなかった。あっと言う間に襲い掛かり、あとは亀になった大堀の顔面に鉄槌の雨を降らす。写真右にあるように、レフェリーが止めた直後の大堀は、目から血がしたたり落ちる壮絶なものだった。心が折れた時点から、わずか10秒も経っていない。これが勝負の分かれ目であった。
08.8.27pan3.jpg 近藤はマイクを握って、戦極ミドル級トーナメントへの出撃宣言をしている。
 試合後の会見では、「PRIDE含め、ふがいないところを見せてきたので、取り返す試合にしたい」と決意を述べた。その吉田道場での練習仲間である滝本誠対フランク・トリッグ戦にも触れ、「滝本のパンチも当たっていたし、惜しい試合だった」と振り返る。ディフェンスの勉強にもなったと、大いに触発されたようだった。
 「久々のKO勝利に、気分はイイ」と素直に喜んでいる。無事に終わったし、ケガもない。戦極、再出陣の準備は整った。獅子は眠りから覚めたのだ。
【パンクラス後楽園ホール大会】
8月27日(水)東京・後楽園ホール
メーンイベント ミドル級戦/5分3ラウンド
○近藤有己(パンクラスism/同級暫定王者)
(2R2分41秒 グランドパンチKO)
●大堀竜二(TRIAL)
セミファイナル フェザー級戦/5分3ラウンド
●井上 学(U.W.F.スネークピットジャパン/同級4位)
(判定 0-3 29-30,28-30,28-30)
○アライケンジ(パンクラスism)
第7試合 バンタム級戦/5分2ラウンド
○川原誠也(パンクラスP’sLAB横浜/同級4位)
(1R2分09秒 スタンドパンチTKO)
●今泉堅太郎(SKアブソリュート)※ドクターストップ
第6試合 ライト級戦/5分2ラウンド
○五十里祐一(パンクラスP’sLAB東京)
(2R4分09秒 グランドパンチTKO)※レフェリーストップ
●エリヤ(TEAM坂口道場)
第5試合 ウェルター級戦/5分2ラウンド
●岩見谷智義(高田道場)
(判定0-2 19-20,19-20,20-20)
○鳥生将大(パンクラスism)
第4試合 ライト級戦/5分2ラウンド
▽八島勇気(パンクラスP’sLAB東京)
(1R0分56秒 八島バッティング流血→ノーコンテスト)
▽マキシモ・ブランコ(戦極 育成選手/初参戦)
第3試合 ネオブラッド・トーナメント ライト級決勝戦/5分2ラウンド
●AB(和術慧舟會 駿河道場)
(1R4分47秒 グランドパンチTKO)
○スティーブ・マグダレノ(TEAM坂口道場)
第2試合 ネオブラッド・トーナメント フェザー級決勝戦/5分2ラウンド
●田中康友(SKアブソリュート)
(判定0-3 20-20, 19-20,19-20)
○齊藤裕俊(和術慧舟會GODS)
第1試合 ネオブラッド・トーナメント バンタム級決勝戦/5分2ラウンド
●江泉卓哉(総合格闘技道場 武門會) 
(判定0-3 19-20,19-20,18-20)
○廣瀬 勲(ストライプル)