リングの上はお笑いプロレス、でも芸人たちの心はガチンコ!?  8・7後楽園「まねんのか!」

 06年3月に全日本のマットで産声をあげた「ものまねプロレス」が、ついに単独興行開催まで漕ぎつけた! 7日夜、東京・後楽園ホールに2,008人超満員の観客を集め、お笑い芸人によるものまねプロレス祭「まねんのか!」が行われた。第1試合開始前からホールの隅までビッシリと埋まった観客に、武藤敬司コミッショナーは「ウチより埋まってるじゃねぇか!」と軽くボヤきつつも、芸人たちのプロレスLOVEには深く感銘。放送席に陣取り終始笑顔で、プロレスLOVE芸人のリアクション芸を堪能した。

 メインではプロレスものまね界の重鎮(?)どころが一挙に終結し、「旧新日本軍vs旧全日本軍」の6人タッグで激突。試合前に立会人・春一番が登場すると、あたかも本家・アントニオ猪木がリングインしたかのように、館内のテンションは急上昇。乗りに乗った春は試合前にもかかわらず、「1、2、3、ダー!」まで披露してしまう。

 南側客席から、上島竜兵扮する大仁田厚が「ワイルド・シング」に乗って水を噴きながら泣き顔で登場すると、ホール客席は蜂の巣をつついたような大騒ぎに。以降も各ものまねファイターが、オリジナルと同じテーマで登場。各選手のコスチュームだけ見ていると、その光景はまるで「90年代版・夢のオールスター戦」の趣き。ニセモノなのに、どこかありがたい!? ものまね芸人たちが醸し出す不思議なオーラに、超満員の観客はすっかり魅了されている。

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試合前から、デキ上がりすぎ! 芸人は強いんです!(ライブに)

 試合はのっけから、大仁田竜兵いじりでスタート。開始早々全選手プラス和田京平レフェリーにまで(!)ストンピングの雨あられを浴びせられると、大仁田逆ギレ。以降一連のお約束ムーブが連発され、「どうぞどうぞどうぞ」が飛び出すと、観客が両足ストンピングで応え、館内のボルテージは最高潮に!
 試合中盤では各選手が、プロレス以外の持ちネタを次々披露する急展開。そのさ中に、突如館内に「爆勝宣言」が鳴り響き、いつの間にか姿を消していた北斗晶(かずや/ザ・たっち)が橋本真也に姿を変えて再登場! 闘魂三銃士・夢の(?)再結成に、フラッシュの雨が降り注ぐ。

 突然の助っ人登場に、全日本側も負けてはいられない。絶妙のタイミングで「王者の魂」が鳴り響くと、観客は万雷の「馬場」コールで助っ人の登場を待ちわびる。…が、そこに現れたのは寺門ジモンが持ち出した「おでん」! 試合は「vsおでん」のリアクション品評会という、芸人にとってはこれ以上なくプレッシャーのかかるガチンコな展開に。各選手それぞれがおでん相手に思い思いのムーブを披露して観客を沸かせたが、おでんとのプロレスなら、やはり上島(大仁田)に一日の長。最後はアツアツのこんにゃく相手にハードバンプを取りきった大仁田竜兵に、全員が覆い被さってピンフォール。試合後は出場全選手と武藤コミッショナーがリングに上がり、プロレスLOVEポーズで締め。来年の次回開催に希望を持たせた。

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おでんが相手でも試合を成立させられるのが、一流レスラーの証!?

 セミファイナルでは、キン肉マン生誕29(にく)周年と題して、キン肉マン・テリーマン組vsアシュラマン・サンシャイン組の名勝負が再現。サンシャインの規格外の大きさに館内が終始どよめきつつも、牛丼一気食いで火事場のクソ力を得たキン肉マンが、阿修羅バスターを切り返してのキン肉バスターで勝利を飾り、ゲストのゆでたまご・嶋田隆司さんを喜ばせた。
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牛丼パワーと友情パワーで、ぼくらのキン肉マンが悪魔超人をやっつけたぞ!

 なお試合後、「サンシャインの中の人」の片割れが、はなわだったことが判明。そのままはなわは、「キン肉マン矛盾ネタ」をベース漫談で披露、観客の爆笑を誘う。心配された嶋田先生の反応だが、一緒に爆笑していたので別段問題はなかったようだ。
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はなわの際どいネタにも、ゆでたまご嶋田先生(写真左)は笑顔。よかったね!

 その他前座戦線では、毒舌キャラでカルト人気を誇る有吉弘行が、リック・フレアーばりの軽妙な小悪党ファイトで全日本の現役レスラーを翻弄。“ネイチャー”こと寺門ジモンはカール・ゴッチに扮し、本家ゴッチに負けず劣らずの「洒落の利かなさ」「空気の読めなさ」で、スマイリーキクチ率いる若手軍団を瞬殺。芸人個々が、芸風に忠実なファイトスタイルで魅了し、プロレス適性の高さを見せつけた。

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ひたすら小ズルいナチュラルヒール・有吉に、ひたすら空気の読めないネイチャーゴッチ。
両者ともにリングの上でもそのまんまの芸風!

■ ものまねプロレス祭2008「まねんのか!」
2008年8月7日(木)開始:19:00
会場:東京・後楽園ホール

<メインまねんのか! 旧新日本軍vs旧全日本軍 時間無制限1本勝負>
○武藤敬司(神奈月)、蝶野正洋(原口あきまさ)、佐々木健介with北斗晶(ザ・たっち)
(14分43秒 熱々こんにゃく→体固め)
ジャンボ鶴田(肥後克広)、大仁田厚(上島竜兵)、三沢光晴(イジリー岡田) ※セコンド:寺門ジモン

<セミまねんのか! キン肉マン生誕29(にく)周年記念スペシャルタッグマッチ 60分1本勝負>
○キン肉マン(お宮の松)、テリーマン(おかゆ太郎)
(14分30秒 キン肉バスター→体固め)
●アシュラマン(ハリウッドザコシショウ)、ザ・サンシャイン(はなわ&大和ヒロシ)

<第4試合 スペシャルハンディキャップマッチ 60分1本勝負>
○寺門ジモン(カール・ゴッチ)
(5分29秒 卍固め)
[スマイリーキクチ率いる反ネイチャー軍]●ザ・デストロイヤー、大木金太郎、グレート東郷(昭和プロレス軍団)
※○ゴッチ(1分53秒 裸絞め)●デストロイヤー、○ゴッチ(3分31秒 逆エビ固め)●大木

<第3試合 スペシャル6人タッグ イリミネーションマッチ 時間無制限1本勝負>
○有吉弘行(スタン・ハンセン)、T28、真田聖也
(19分57秒 回転足首固め)
●ノッチ(タイガー・ジェット・シン)、KAI、征矢学
※8分10秒(OTR)T28退場、14分58秒(回転エビ固め)征矢退場、18分24秒(OTR)真田、KAII退場

<第2試合 ものまねプロレスバトルロイヤル 時間無制限1本勝負>
○アントニオ猪木(グラップラーたかし)、獣神サンダー・ライガー(タイガーこてつ)、藤原喜明(イマニヤスヒサ)、高山善廣(デコボコ団)、神取忍(古賀シュウ)、ザ・ロック(スカイラブハリケーン)、テリー・ファンク&ドリー・ファンクJr.(ジャガーズ)、エル・サムライ(三日月シュガー)、ヴァンダレイ・シウバ(ガンバレイ・シウバ)、美濃輪育久(ハイエナ)
※猪木が優勝。

<第1試合 マスクマン対決! 全日本vs新日本 60分1本勝負>
○タイガーマスク、ミルコ・マスカラス(弾丸ジャッキー)
(9分33秒 ムーンサルト式体固め)
●スーパーストロングマシン1号、スーパーストロングマシン2号(ビックスモールン)