ワールドプロレスリングが9月末で打ち切り!? ユークスが新日株を放出!?

08.7.1nj.jpg ここ最近ニュースでも取り上げられているが、ネットの普及でテレビの広告収入が頭打ちとなり、各テレビ局とも番組制作費の削減が進められているそうだ。そこで今秋番組改編の9月末で打ち切りとなる番組が、続々と報じられている。
 そしてテレビ朝日が秋の番組改編で打ち切りを検討している番組の中に、「ワールドプロレスリング」の名前もあがっているという。「ワールドプロレスリング」はこれまでも何度か打ち切りの噂が立ったが、何とか深夜の30分枠で生き残っている。しかし、決していい視聴率というわけではなく、特番が放送されることもほぼなくなった。
 「ワールドプロレスリング」は一応スポーツ中継ということで、カメラと中継車とアナウンサーを出し、時には地方にも行くことになる。30分の深夜番組の割には、そこそこ手間もお金もかかるわけだが、テレ朝としては旗揚げからずっと中継してきた“長寿番組”ということもあり、我慢強く放送を続けてきた。
 だが、近年の深刻化しているプロレス不況もあって、いよいよテレ朝はプロレスというコンテンツに限界を感じているようだ。さらに最近では政治家から地球温暖化対策のひとつとして、深夜放送を自粛すべきという声まであがっている。新日を“切る”タイミングとしては、絶好かもしれない。
 新日本プロレスもずいぶんと前からテレ朝だけでなく、サムライTVやPPVでの放送を開始しているが、もし地上波での中継がなくなるとなれば、大打撃なのは間違いない。なぜならサムライTVなどの放送権料はたかが知れている一方で、テレ朝から入る放送権料が深夜番組とはいえ、相当な額だからである。
 新日の親会社であるユークスも、莫大な赤字を出しながらも粘り強く新日を運営してきたのは、この放送権料が入ってくるからという部分が大きい。それに地上波中継があるかないかは、スポンサー獲得にも大きく影響する。さまざまな格闘技イベントが地上波中継を欲しがっている様子を見れば、その辺はよく分かるだろう。
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 ユークスは本来ゲームソフト会社である。新日との関わりを持ったのも、新日のゲームを制作したのがキッカケだ。だが、新日の独占ゲーム化権を取得したにも関わらず、ユークスは新日のゲームをほとんど作っていない。逆にNOAHからは、版権の使用を禁止されるというとばっちりを受けたくらいだ。
 ユークスはリング上で棚橋弘至や中邑真輔をエースに仕立て、そのほかの選手にも明確なキャラクター付けをし、一時期かなり落ち込んでいた新日マットを活性化させることには成功した。あとは、これをそのままゲームにして、ファンに売ればそれなりの利益が入ってくるはずだったのだが、かつてゲーム業界の中でも手堅く売れるジャンルだったプロレスも、いまやまったく売れないジャンルになってしまったのだ。
 ユークスはプロレスゲームに半ば見切りを付け、最近ではUFCのゲームを開発していることを発表した。WWEのゲームで培ったノウハウを、新日にではなく、UFCに使うことにしたわけだ。これでは新日の独占ゲーム化権を持っていてもまったくの無駄である。
 だから、これでテレ朝が「ワールドプロレスリング」の放送を打ち切り、放送権料が入ってこないような事態になれば、ユークスにとって新日は莫大な赤字を生み出すお荷物でしかない。せっかくユークス路線が軌道になってきた最近の新日マットだが、最悪ユークスが新日株を手放す可能性だってあるのだ。