10日の全日本プロレス「武藤祭」に、新日本プロレスの中西学が来場し、武藤敬司に向かってIWGP挑戦をアピールした。
中西は事前に武藤祭に出向くことをマスコミ向けに発言していたし、別に驚くほどのことではないが、今回中西は武藤のものまねを競う「武藤敬司コンテスト」のエンディングで乱入。その際スキンヘッドのカツラと、付け髭という武藤のものまねで登場したのだ。
これが新日本OBの方々やベテランマスコミの方々に大不評で、皆眉をひそめているらしい。ようは「天下のIWGP王座への挑戦表明だというのに、おちゃらけるとは何事か! 中西はIWGPの権威を失墜させる気か?」というわけだ。
なるほど。確かに他団体に流出した至宝を取り戻すために、敵地に乗り込んだ割には緊張感の欠片もない。
ただ、「野人」「筋肉バカ」のキャラクターが多くのファンに認知され、バラエティ番組にも多数出演している中西なら、見た目は武藤のものまねをしておきながら、マイクアピールでちっとも武藤を真似ることもなく、普通に挑戦表明をするという「外し方」は十分ありだろう。
中西とともに武藤への挑戦をアピールしている後藤洋央紀が同じことをやったら問題だが、いまさら中西にシリアスを求めるほうが無理だ。
そもそも中西が自分でこの演出を思いついたとは思えないので、恐らく会社側の指示でやったのだろう。ここ最近の新日本プロレスは、ユークス主導になったことでずいぶんと砕けた感じになった。
これを「天下の新日本が落ちたものだ」と取る人もいるだろうが、実際に会場に行ってみると、後楽園ホールは毎回超満員だし、お客さんも楽しそうに観戦している。少し前の後楽園ホールですら満員に出来なかった頃と比べれば、ユークスのやり方が間違っているとはとても思えない。
しかし、ユークスは新日本プロレスの株主であり、当然ビジネスライクなクールな面も持っている。今月いっぱいで契約が切れる選手や、所属選手かと思われたベテラン選手が実はワンマッチ契約だったという話も、井上譲二さんの『マット界舞台裏』に詳細されていた。
そういう今の新日本に不満を持っている者も多く、蝶野正洋がプロデュースする「PREMIUM」に集結し、勢力を拡大した暁には「こちらが真の新日本プロレスだ!」とする構想もあるようだ。
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週刊マット界舞台裏