雌雄を決するときが来た! プロレス界の川中島「龍虎決戦」

リアルジャパンプロレス
まずは選手全員が出てきて、佐山選手、いや、初代タイガーマスクの挨拶から始まった。
「自分の思想により、この大会のプロレスは礼儀正しいものになると思う。しかし、この大会の名前の通り、本物の試合を見せる」、とのこと。初代タイガーマスクvs天龍源一郎。彼らは果たしてどんな試合を見せてくれるのか。のっけから楽しみである。
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坊主頭の新人戦は初々しい レフェリーは和田良覚
第二試合に行われたのは、プロレスラー養成学校「虎の穴」からデビューした新人、間下隼人vs斉藤彰文の三十分一本勝負。
ハイスピードプロレスのようなものから始まり、次第に関節技攻撃の攻防戦へと発展していった。最初は蹴り技を積極的に入れていた斉藤選手が優勢に見えたが、次第にパワー系の間下選手が次々に技を決めるなどして、斉藤選手の体力をどんどん奪っていくような試合展開に。結局、間下選手の絞め技により斉藤選手はギブアップ。
第三試合は、石川雄規&二代目スーパー・タイガーvsタイガー・シャーク&KUDO、六十分一本勝負のタッグマッチ。
石川選手のみは昔ながらの黒いパンツを着用。他三人はお洒落なタイツをはいており、年代の違いを感じさせた。また、戦いでも格の違いを見せつけた。
プロレスではおなじみの場外乱闘や、待機選手の横槍。挙句の果てにはKUDO選手のタイガー・シャークへの集中攻撃。途中、リング上と外の両方で戦いが行われ、どちらに目を向けてよいか判らぬ状況にもなったが大いに楽しませてくれた。
最後は石川選手がタイガー・シャークから3カウントを奪った。
その結果に不満たらたらなタイガーシャークはゴングがなった後も、石川&二代目スーパー・タイガーに噛み付いていたが、二人は余裕の笑みを浮かべて去っていった。
この大会は掣圏真陰流という、総合格闘技の大会と共に行われる。佐藤正弘、加藤秀朋、滝沢充という三人の選手の三つ巴戦が行われた。
こちらも面白い試合を見せてくれたのだが、今回のメインはあくまでプロレスということで、又後日にさせていただく。
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注目のセミファイナルは欧州式5分5Rでのサミー・リーJr.vsゲンドー・ナカザキ。
サミー・リーJr.選手は名前の通り佐山聡の化身だが、ゲンドー・ナカザキもまた英国のレジェンド=ケンドー・ナガサキの甥であると言う。この二代目同士の試合。血縁の力を見せ付けてくれるのはいったいどちらか。
1Rはお互い小手調べといった感じで、相手の様子を伺っていたが、2Rはアクションが爆発した。リー選手はお得意の空中殺法お見舞いしたり、ナカザキ選手に至っては、非道にもリー選手の股間を何度も蹴り上げたり、レフィリーにも喧嘩を売ったりとやりたいほうだいなありさま。
そして3R。よくきく攻撃は何度もやりたくなるというのはよく判るのだが、しすぎると相手に対応力というものがつくことも考慮しておかなければならなかった。3Rに入っても隙あらば、股間を狙ってくるナカザキ選手。しかし、リー選手は喰らうたび、ただ痛がるだけの選手ではなかった。股間を蹴り返しこそしなかったが、ナカザキ選手がレフィリーに怒られているのを見計らって、攻撃を仕掛けていったりと、どんどん対応していった。
巨漢のナカザキ選手がトップコーナーからの蹴りを食らわせたりと面白い場面もたびたびあったが、最後はリー選手のジャーマンスープレックスで決着がついた。
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そして、今回のメインイベント。タッグマッチ六十分一本勝負、初代タイガーマスク&スーパー・ライダーvs天龍源一郎&折原昌夫。
なんと、同じプロレスという舞台で生きていたにもかかわらず、今まで道が交わることのなかったこの二人。そして、今になってやっと邂逅することが出来た。
龍と虎、雌雄を決するのはどちらか。
しかも、レフィリーを務めるのは、かの有名なユセフ・トルコ。
こんな豪華メンバーが揃ったこの試合。もし叶うのであれば、もっと早くに彼らの試合が見たかった。お互いが持てる力全てを出し切り、見ている者に感動を与えられた時代に。
初代タイガーマスクは、トップロープからのムーンサルトなどを見せてくれはしたのだが、もう、天龍選手を持ち上げるのは、難しくなっていた。持ち上げられたとしても、技を決めることが出来なくなっていた。
しかし、二人の打撃の力は衰えてはいなかった。この二人の殴り合い。素人であっても、音を聞けば他の選手との威力の違いが簡単にわかる。鈍い音にもかかわらず、会場内に響き渡るこの音。体力は衰えようと、この拳だけは「時」に屈しないという意思表示か。
だが、結局最後は、天龍に3カウントを取られて、初代タイガーマスクは負けてしまう。それだけでなく、立ち上がれなくなり、リング上には医者の姿も見られた。挙句、歩いて去ることが出来ず、担架での退場となってしまった。
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老兵はただ去るのみ。と言う言葉がある。いつまでも己が現役であるのではなく、そろそろ裏方に回って新人育成に全ての力を注ぎ込むというのも、一つの道ではないであろうか。
今回の自己管理の失敗を深く受け止め、どういう行動をとるのが、自分にとっても、今のプロレス界にとっても現役続行がよいのか。そろそろ考え直す時期に来ているのかもしれない。
果たして、初代タイガーマスクは何をするのか。その次の行動を楽しみにしていよう。