戦極の勝者は観客だったかもしれない。PRIDE消滅後のメジャー総合格闘技プロモーションとして旗揚げした「戦極」は国立代々木第一体育館を満杯にした。
ファンは格闘技の興奮を待っていたかのようだった。メインイベントにふさわしいジョシュ・バーネット対吉田秀彦戦が組まれ、青い目のケンシロウは予告通りに柔道王を豪快にバックドロップで投げて魅せた。
試合はジョシュの圧勝だった。2R目が終了した時点では、すでに吉田はリング中央にへたりこんだまま。もはや戦意喪失に近い状態にも見えた。そして3R3分23秒、ジョシュのヒール・ホールドが吉田をタップさせている。
当初は体重差が言い訳になるかとも思われたが、吉田は108.7kgになり、ジョシュとの差は4.5kgしかなかった。そして1R時点で、すでに吉田はスタミナ切れを起こし、息をきらして中村和裕に支えられてコーナーに戻る有様だった。
パンクラス王者のベルトを巻いてきたジョシュは、レフェリーにも吉田にも対戦中に日本語で話しかけ、相手を翻弄、何度も笑顔を作って試合を始終コントロールする。
吉田は会場に設置された巨大スクリーンでの煽り映像でも「打撃でKOしたい」という大胆な発言をした通り、実際のところ打撃に勝機を見出す作戦だったようだ。しかし、ヘビー級の肉体を持ってしても、体重を乗せたフックが急所に命中するまでにはいかない。一方のグラウンドでも、肩幅の広いジョシュだとやりにくい。何度も横四方やマウントを奪われ、バックに回られては容赦のないパンチを顔面に受けてしまう。
当初は道着を脱ぐのかと予想されていた吉田だが、背中の「DHC」の広告が、それを許してくれなかったのだろうか。
新プロモーションの旗揚げ戦でエースの吉田が負けてしまう。それが格闘技の面白さなのだ。
ヒールに移行↓ヒールが極まる→呆然と天を仰ぐ吉田↓首を掻っ切るポーズのジョシュ
ジョシュ・バーネットが吉田秀彦に圧勝、「戦極」代々木大会は15523名の大盛況
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