お約束の展開が客の満足感を満たしたWWE有明大会

期間限定コラム☆日本と100倍差!数字が証明する「最強WWE」
チャーリー・ロドリゲス・湯谷 CR WWEこそがNO.1プロレスパチンコ機の楽しみ方②~予告演出とリーチ
 印象に残ったのは2試合目のDHスミスが、ショートアームシザースや飛びつき十字など、やや日本を意識した組み立てをしていたこと。もっともデイビー・ボーイ・スミスの息子にせよ、スパンキーことブライアン・ケンドリックのような日本育ち選手に、いまいち観客の反応が無反応なのは、今のWWEを見ている新しいファンが多いからなのだろうか。ジェフ・ハーディの人気の高さがそれを物語っていたように思う。   
 また、ディーバの試合を見ると日本の女子プロは演劇サークルに見えてしまう。完成度が違うのだ。
 お目当てのリック・フレアーは教科書どおりの立ち上がりから、中盤は対戦相手のMr.ケネディの耳元で次の展開をコールして思い通りの試合を作っていた。フィギュアフォーで極めたのを見れたのは、大ぜいのオールドファンにとってうれしい限りであった。しかと、その雄姿を目に焼き付けさせてもらった。ありがとうネイチャー・ボーイ、あなたはやっぱりプロレスの神だった。
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 この日のベストバウト、ランディー・オートン対クリス・ジェリコは素晴らしいの一言である。日本のファン心理を知り尽くしたジェリコの優等生的な試合運びに、大人になったと評判のオートンが数は少ないが一つ一つがしっかりした技でチャンピオンらしい威風堂々とした試合運び。これには驚いた。ポジションがタレントを作ったケースであろうか? 
 試合終盤の攻防もライオンサルト、ウォールオブジェリコ、RKOと出しつくしハウスショーを超えた内容であったことは間違いない。
 メインはセミの試合内容が凄すぎたのでどうする?とも思ったのだが、すぐにDXのテーマ曲で会場はこの日イチバンの爆発だ。リングインしてからは、恒例のマイクでDXのミサ状態。完全に流れを変えたのは流石である。
 試合内容は予想と寸分と変わらない内容で、HBKのスィートチン・ミュージックからトリプルHのぺディグリーでDXの勝利だ。お約束の展開がむしろ客の満足感を満たしてくれる。
 試合前、試合中、試合後と大DX、HBK、ハンターコールに気持ち良くしたのか、試合後フェンスを超え客席ギリギリまで近寄りファンにハイタッチして回るサービス振りであった。文句なしのMVPはDX、ハウスショーとしては100点、満足した客は幸福な気持ちで帰路についたことであろう。
 あえて苦言を呈するなら、客入れを仕切った警備陣が仕切れてなく、5時から試合開始してるのに長蛇の列でひどかったこと。純粋なアメリカプロレスのみで育ったレスラーが多く、日本やメキシコ、ヨーロッパなどの幅広いスタイルを持ったレスラーが今後少なくなる不安があることくらいか。
 もっとも心配された客入りには驚いた。北側ブロック(選手入場ゲート裏)を潰していたので定員の四分の三、7500人位だろうか。潰したところ以外はほぼ満席であった。
 ショーとしても3時間強の長さでコンパクト、演出もハウスショーとしては上出来である。試合内容も満足させる技術を持ったレスラーと試合内容を構成できるエージェントがいるWWEは強い。エンターテイメントとしてはまだ未熟なハッスルや、ストロングスタイルと言って選手任せの新日本プロレスとは100倍差があると実感した一夜であった。