障害者プロレス・ドッグレッグス3 欲獣マグナム浪貝

 障害者プロレスの歴史を語る上で避けては通れないレスラーがいる。獣神あらため欲獣マグナム浪貝である。
 そもそもドッグレッグス設立のきっかけとなった障害者同士の喧嘩というのは、この浪貝とサンボ慎太郎によるものであった。
「ドッグレッグスは死ぬ気で戦う!だから、お前らも死ぬ気で見ろ!」と観客をアジり、パンティをかぶってリングに上がり、歌を歌えば途中で歌詞を忘れて泣き出すレスラーであった。
 試合は負けばかりであったが、ドッグレッグスの誰よりも「目立ちたい」との意識が強いレスラーであった。
 私生活の方もメチャクチャで、酒を飲んでは暴れる、金を借りては返さないということでボランティアたちから鼻つまみ者扱いされていたという。
 この浪貝は今は引退している。引退の理由は、「彼女ができたから」。
 今のドッグレッグスのレスラーは、サンボ慎太郎をはじめとして、「よい子」タイプの選手が多い。それはそれでいいのだが、時折は浪貝のことが懐かしくなる。
すぎたとおる 山口敏太郎事務所