草間経営塾 テーマはマスコミから見たプロレス界の現状

 12月26日(水)都内某所にて久しぶりに行われた草間経営塾の特別講師としてファイティングTVのゲストコメンティエイターとしてもおなじみ、週刊プロレス編集長の佐久間一彦氏が招かれた。
 前半は講師の草間氏が所用で到着が遅れるとのこと。佐久間編集長と、集まったインディー団体関係者との「週プロのどこを読んでいるか?」との質疑応答から講義から始まった。
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 連載コラムの狙い、担当記者を決定する基準、週刊プロレスのここ数年の変遷が語られた。
編集長が強調していたのは「一番大変なことは決定すること」だという。
 週刊誌ならではの締め切りに終われる宿命。そして業界特有の諸事情を踏まえたうえで考慮しなければならない誌面つくりは大変なものであると思う。
 「昭和のプロレス」とは違い数え切れないほどの多団体、プロモーションの時代なのでそれをどのように誌面に反映させるかはプロレスのマッチメイクのごとく頭の痛いところではあろう。
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 週刊プロレスはこれまでに誌面構成や版型等のリニューアルを実施している。
最近の中綴じの「インディーマガジン」や「女子プロレスマガジン」はユニークな企画であろう。
 「インディーマガジン」の、どインディーレスラーの特集は、ファイティングTVサムライのヒット番組「インディーのお仕事」にもお目見えすることがありその内のローカルインディー特集を楽しみにしている方は楽しめたのではないだろうか。これらの層もいまや無視できなくなりつつあり、大英断とも言える好企画であると思う。
 女子プロレスは新世代の選手が台頭してきており、ここ数年は首都圏以外ではなかなか興行が開催されることがないのでこちらも続けていただきたい企画だ。
 トリンプインターナショナル等、数々の著名会社の社長業を経験した草間氏の現在携わっている梨ブランデーの販売事業を踏まえたうえでの含蓄がある言葉が聞けた。
「売れるものにはそれだけの理由。売れないものにはそれだけの理由がある。
売れるための努力や企画がそこにはなされていて漠然としているのとは違う。」
「私はファイティングTVの全女クラシックの番組をよく見るが、個人のよさを表現できるというのが何よりも肝心。現在は個人よりもパッケージの売りとなっている。往年の名レスラーは個性があり猪木さんや北斗さんを例にとると非常に自己プロデュースがうまい点は見習うべきである。」等・・・
 すでに収益が下降線に向かっていた新日本プロレス社長の任にある時分はそれまでの業界の慣習にそぐわない経営方針や目立ちたがりパフォーマンスと言われてマスコミを含む業界関係者、そしてそれに踊らされたファンに批判や中傷の矢面に立たされはした。その後、あれほど栄華を誇った新日本プロレスの凋落を見るにつけその考えは間違いだったと気づいた方もいたと思いたい。
 これまでの既得権を駆逐し、必要経費を抑えるところは抑え不要な経費は排除するコストカッターとしての役割をまっとうにはたしていたはずであったのによくないイメージがまず先行してしまったのは業界の汚点の1つではないだろうか。
 草間氏が上梓(じょうし)した著作を紹介したい。
「知りすぎた私」(東邦出版社刊)、「A級戦犯新日本プロレス崩壊の真実」(宝島社刊)こちらはインディーマット界の切れ者DDTプロレスリングの高木三四郎氏との巻末対談も必読である。そして「新日、k-1、PRIDEタブー大全2006」(宝島社刊ムック本、その後に文庫本化)も元新日本プロレスレフェリーのミスター高橋氏との対談が掲載されこちらも要注目だ。
 プロレス界が厳しい時代を迎えている今、重責を担っている若き佐久間編集長には業界を盛り立てるため、そして「週刊プロレス」が怪物雑誌といわれたほど売れ行きがすさまじかった時代に近づくことができるよう、ぜひがんばっていただきたいものである。
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