北岡、前田、川村が揃って激勝! パンクラス「カール・ゴッチ追悼」大会

 勝利を告げられた途端、北岡悟は号泣した。苦戦の末の辛勝だった。ジャッジの一人は28-30で未知数だったジェイソン・パラチオスに勝ちをつけた。1Rの開始早々、パラチオスの右ストレートが北岡の左目下を直撃。顔面はあっと言う間に腫れ上がり、左目がふさがったまま残りを闘い抜いた。グランドでは何度もヒールやアキレスを取りに行ったし、大方は上のポジションを維持していた。
 試合後のインタビューでは、最初に読み上げられたジャッジが相手選手につけた際も、自分を信じていたと胸を張った。それでも「これまでで一番苦しい試合だった」と告白している。「自分が主役だからこそがんばれた」とも漏らした。メインをつとめることは特別なことであった。
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写真上段:左目下を大きく腫らし出血したまま闘う北岡  下段:「泣け! 泣け! 泣け!」
 HERO’Sのリングで、大晦日での7年ぶりの現役復帰宣言した船木誠勝に噛みついた。勝利が告げられると、涙が止まらなかった。マイクを握り、あらためて「船木さんに憧れてパンクラスに入門した」と述べた。すべてはパンクラスを愛するがゆえの挑発だった。
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写真:受付にはゴッチ氏追悼のメッセージを募集 所属全選手による黙祷から試合開始
 この日は、パンクラスの名付け親カール・ゴッチ氏の追悼興行であり、現時点でのオールスター興行でもあった。新エースの川村亮は、1R96秒後にフックを命中させ、グランド状態の相手・米国のジャーミー・フレッチャーに蹴りを見舞ってKO。稲垣組の前田吉朗は、BodogFightの刺客ジョニー・フラッシュと一進一退のハラハラさせる面白い攻防から抜けだし、左ミドルキックをレバーにぶち込んで接戦を制した。
 海の向こうでは、UFCのダナ・ホワイト社長が記者の質問に答えて、事実上のPRIDE再開ギブアップ宣言をしたばかりのタイミングでの開催となった。川村、前田、北岡が揃って勝利、パンクラス本隊の存在感を示している。
 北岡は試合後のインタビューで、「英会話とヒジ打ちの練習をしている」とUFC出陣を示唆。総合格闘技は死んではいない。ファンは満ち足りた表情で後楽園ホールを後にした。