追悼クリス・ベノワ氏■英マスコミの反応は

WWEスーパースター、クリス・ベノワ氏の訃報はここ英国でも27日付の朝刊各紙が一斉に報じた…
といいたいところだが、大衆紙サンがカラー見開きで報じた以外は落ち着いたものだった。
サンではサイモン・ロスシュタイン記者の署名記事と、リング上、家族との3ショット、そしてベノワ氏が編集部を訪れた際、同記者にヘッドロックをかましている写真(これは白黒)の3枚を掲載する力の入り様だったが、大衆紙のもう一方の雄、デイリー・ミラーは署名記事ではあるものの「その他のニュース」扱い。
また、いわゆる高級4紙のうち、インディペンダントとデイリー・テレグラフは報道自体がない。
タイムズとガーディアンも海外ニュースの「その他」欄で、しかもロイター記事の転載だ(タイムズは故人がリングでベルトを掲げるカラー写真あり)。
もっともこの日は「ブレア首相最後の日」(と「パリス・ヒルトン釈放」)に大きく紙面を割いたので、割りを食った部分はあろう。
また、悲劇が判明したのは25日であったため、速報性に欠けるという意味で没になったとも考えられる。
面白いのがタイムズとガーディアンが、プロレスファンにすれば「何でこんなんを大きく載せるんだよ!」といいたくなる日本ネタを1ページ使って掲載していること。
前者はホットドッグ食いチャンプ・小林尊さんの顎、後者は天藤湘子さんの英訳著書だ。
「Yakuza Moon」の出版は4月である。英国の高級紙は東スポ的なトピックや過去の話題を掘り下げた記事を前日の事件より大きく扱うことが多い。
その点から、今後英紙独自の取材からなる事件の真相、あるいはベノア氏の業績を掘り下げる記事が掲載されることもあり得よう。  
ちなみに「ステロイド」に言及した新聞は上記6紙にはなかったが、web上ではサンが27日に続報記事を掲載、冒頭から触れている。
なお、6紙すべて南東部版であり、ロンドン版はこの限りではない可能性もある。
最後に、ベノワ氏並びに御家族のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
        前特派員 U. I.