松本幸代のミルブロ!

【拳華道】
 
12日、新木場1stリングで開催された女子ボクシング大会「拳華道(けんかどう)」を取材した。
 第1試合からメインの第9試合まで見ごたえのある攻防が続き、飽きることがなかった。先日の女子キック大会「女祭り」でも感じたとことだが、ここ1、2年で女子格闘技全体のレベルが格段に上がっている。倒せる一発を持つ選手が出てきてKOも増えてきた気がする。
 試合後、女祭りと今大会のリングドクターの方と話をしたのだが、やはり同じことを感じていて、安全面での危惧も抱いていた。女祭りでは試合前のドクターチェックに役立てるため、30項目以上の医事確認事項、および自己診断チェック表を選手に渡し、提出してもらったそうだ。
 男子に比べて女子は臓器が2つ多い(卵巣と子宮)。パンチやミドル、ヒザ蹴りなどでボディ周辺を強打された場合、どんな変化が出るのか出ないのか未知数の部分もある。
また、これも数値では恐らく出ていないが、女子は男子に比べて“痛みに強い”ともよく言われる。仮に頭部を延々と打たれ続けても我慢をしてしまった場合、大事故に直結しないとは限らない。
 レベルが上がっている今だからこそ、選手それぞれの自覚はもちろん、主催者、ドクター、レフェリーが一丸となって、安全面に十二分に配慮していく心構えが必要だ。
 競技人口や興行数において日本は女子格闘技大国になりつつあるが、女性が闘うことに対する抵抗感は依然として強い。この反比例の構造が変わらないうちに大事故が起これば、ジャンルそのものの存在が問われ、多くの女子選手が行き場を失ってしまうことにもなりかねない。
「選手が増えてレベルが上がったなら素直に喜べばいいじゃないか、こうるさいババアだな」と煙たがられそうだが、幸福の裏に不幸、不幸の裏に幸福を探してみずにはいられない、ひねくれた性分だからしょうがない。昨日の大会が大いに満足できたからこそ、心配の虫が騒ぎ出してしまったのだ。
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