プロレス美術館館長の『迷走ナビゲーション!?』

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 毎年、私は新日プロ1・4東京ドーム大会を“ファンにとっても心の新年会”だと常に意識して会場を訪れていた。それが今年は欠席。・・・12年前に患った椎間板ヘルニアが再発し断念せざるを得なかった。大晦日の『K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』に足を引きずりながら強行観戦し、さらに悪化させたのは明らかで、もう歩行困難状態。だが1人寂しく自宅でPPVを観戦することだけは免れた。
 実は、「プロレス美術館」が関西地方を中心とした旅行情報誌(LEAF 1月号)に掲載されていたことと、地元京都の年越しオールナイトラジオ(KBS京都)が元旦早々、美術館内で実況中継を行なってくれた影響で、多数の人々が訪れてくれ嬉しい悲鳴。その延長で1・4新日プロのPPVを目当てに来場してくれたファンが、狭い展示室を超満員にしてくれた。
 改めて思うことだが、これだけ老若男女が集まると、試合に対するスタンスは千差万別。一昨年より試合開始が15時から18時に変更されたことで、5時間を超えるような長時間興行は困難。すると前座試合が短縮され、内容が淡白になることを嫌う人。また渕正信VS菊タローの“お笑いネタ”を腹の底から楽しむ若者。坂口征二の無愛想な認定書朗読に不快感を示しトイレに立つ人。三冠戦(チャンピオン・鈴木みのるvs挑戦者・永田裕志)でベルトが移動しなかったことで、次に行なわれる「IWGP戦(チャンピオン棚橋弘至vs挑戦者・太陽ケア)でのタイトル移動はあり得ない」と断言する人。
 そんな中、来場者が唯一、声を揃えたのは「私が選んだこの日のベストバウト」。それはもちろん三冠戦の鈴木vs永田戦。「この試合が12月に行なわれていれば、久々に新日本プロレスから“MVP試合”が選出されていたかもしれない。」という意見にうなずく人の姿が印象的だった。
 だが、興行の“結び”であるメーンイベントの見所が入場シーンだけで終わってしまったのは何よりも寂しい限り。やはり興行は「最後がよければ全てよし」と、よく言ったものである。
 あるファンが当館を去る際に残した言葉がこの日の全てを物語っていたかもしれない。
「いャー、1試合を除いて、しょっぱいモノ(試合)ばかり沢山食べさせられて、血圧が上がっちゃったみたいだよ」。