井上義啓氏が亡くなられました。

 元「週刊ファイト編集長」井上義啓氏が12月13日午後1時すぎ、永眠されました。
 井上氏は新大阪新聞社発行「週刊ファイト」の編集長として活躍されました。「週刊ファイト」は、東の「東スポ」、西の「ファイト」と並び称され、1970年代から80年代にかけてのプロレス全盛期に、オピニオンペーパー、オピニオンリーダーとして全国のプロレスファンの熱い支持を集めました。その独特のプロレス観は「I編集長の喫茶店トーク」という形で表現され、それまでなかった「活字プロレス」という新たなジャンル、新しいプロレスの楽しみ方を生み出しました。井上氏の元には多くの才能が集い、氏の薫陶を得て全国に羽ばたき、その後のプロレスジャーナリズムの中心となって活動し、プロレスの繁栄の礎ともなりました。
 井上氏は編集長職を井上譲二氏に譲った後も、週刊ファイトに限らずテレビ・雑誌等で「I編集長」としてプロレスの魅力を新たな世代に説いて回りました。若い世代のプロレスファンには、編集長時代の井上氏でなく、「I編集長」としてプロレスへの思いを語る姿を覚えている人の方が多いかもしれません。
 その後体調を崩し、2005年7月より闘病生活を送っていましたが、ついに12月13日、帰らぬ人となりました。
 井上氏がプロレス界に残した功績は絶大なものがあります。私たちを含め「武道・プロレス・格闘技」に携わる者は、全て井上氏が開拓した道の上を進んできたと言っても過言ではありません。プロレスを愛してやまなかった井上氏の意志を継いで、プロレスがいま一度日本のエンタテインメント業界の中心に復帰できるよう、微力ではありますが努力を続けていきたいと思います。
 なお、ファイト!ミルホンネットでは、井上氏が1982年に出版された不朽の名作『猪木は死ぬか?』のデジタルリマスター版を税込945円でダウンロード販売しています。アントニオ猪木の激闘の裏側と、敗戦の日の天皇陛下のラジオ放送に遡る井上氏の個人史を重ねた感動のストーリーで、昭和のプロレスや活字プロレスの歴史を語る上で欠かすことのできない不朽の名作となっています。I編集長のプロレスへの思いがどれほど大きく深かったのかを知るためにもぜひお読み下さい。
 最後になりますが、I編集長、長い間お疲れ様でした。本当にありがとうございました。安らかにおやすみ下さい。
2006年12月21日 ファイト!ミルホンネット編集部一同