テレ朝&AKS『豆腐プロレス』に、故ハレー斎藤選手は何を想うか…

 12月15日の『AKB48紅白対抗歌合戦』において、年明け1月21日からの毎週土曜日0時35分〜AKSメンバーによるプロレスドラマ『豆腐プロレス』の放送開始が発表された。
 出演メンバーは既に下田美馬とミラノコレクションA.T.からプロレスの特訓を受けている模様で、選抜メンバー上位の松井珠理奈他がリストアップされている事からかなり力を入れている事がうかがえる。

『豆腐プロレス』

 制作は、AKSとは『フライングゲット』のMV以来の付き合いがあり、テレビ朝日とのタッグでは『AKBホラーナイト』『AKBラブナイト』に続いてとなる株式会社オフィスクレッシェンドが行う。

オフィスクレッシェンド

 同社はテレビ東京で『モテキ』『湯けむりスナイパー』というエッジの起ったドラマもヒットさせているが、本作では監督にAKBのドラマ『マジすか学園』の豊島圭介、脚本には欅坂46主演の『徳山大五郎を誰が殺したか?』の徳尾浩司を社外から起用しており、アイドル×プロレスをどう料理するか注目だ。

 一方、土曜深夜2時30分~に放送時間が若干繰り上がる『タイガーマスクW』の前に放送される形で、テレ朝として土曜はプロレス! という括りと思えるが、AKSサイドがブシロードのコンテンツに被せてきたと見えなくもない。

 なぜなら『豆腐プロレス』発表2日前の13日に更新されたブシロード木谷社長のコラム『社長木谷の視点』で「私は、これまで続いたアイドルブームはもう今年で終わったと感じています。2次元の『アイマス』や『ラブライブ!』など、強いコンテンツは残ると思いますが、3次元のほうは、どこかのグループの一人勝ちさえも難しい状況です」と、暗にAKSグループの凋落を指摘していたのだが、これは事前に『豆腐プロレス』を知らされた木谷社長からテレビ朝日&AKSサイドへの牽制球とも受け取れるからだ。

『社長木谷の視点』

 また、『タイガーマスクW』でヒロインを演じる、ブシロードの子会社響所属声優の三森すずこが、自身の武道館ライブを訪れた乃木坂のライブを観に行って、集合したメンバーと記念撮影をして親密ぶりをアピールしているのも合わせて考えると意味深長だ。


(※AKSの各グループも乃木坂もプロデュースしているのは秋元康なのだが、乃木坂はソニー系列の運営会社による別グループであり、『豆腐プロレス』には乃木坂メンバーは出演が予定されておらず、紅白出場も、選挙を行ってメンバーを決めるAKSとは別立てて出場するという様に、完全に一線を画している。)

 アベノミクス不況で個人消費が落ち込む国内で失速するAKSを補う様に海外進出に注力する秋元サイドの動きは、シンガポールに自ら乗り込んで事業展開している木谷社長にとって看過できる物では無いはずだ。ただ、ことプロレスに関して言うなら、秋元康が木谷社長を脅かす存在にならないだろう事は想像に難くない。

 コーチの下田美馬が「ミラノリーダーと関係者各位さま メンバーのみなさんと イノチ燃やす日々… 運命共同体 下田美馬の集大成か?」と綴っているのと似て非なる、『豆腐プロレス』公式サイトでの「プロレスの真剣勝負を『セメント』と言う」なる物いいから始まる「身体能力は、プロレスラーとは比較にならない。“なんちゃってプロレス”になるだろう。気持ちは『セメント』、実際は、『柔(やわ)なもの』という意味を込めて、タイトルを『豆腐プロレス』にした」とのコンセプトは、ジャパン女子が旗揚げするやさっと身を牽いた頃同様、プロレスの本質を全く解っていない事実を感じさせるものではなかろうか。

 「次は、プロレスにしよう」などと言うのであれば、せめてジャパン女子の総括ぐらいはやってしかるべきではないか。欅坂の衣装ナチス酷似事件といい、セガの社外取締役として『ドリームキャスト』のプロモーションの失敗で会社を傾けさせた無責任体質は未だ抜けていない様である。

 奇しくも『豆腐プロレス』解禁日に急逝した、秋元康が名付け親の「ハレー斎藤」選手の様に、その姿勢によって苦しむ新たなプロレスラーが生まれる事のない様に願う。

※ジャパン女子において、秋元康他芸能会社が何をして何をしなかったのかは、リングアナだったヤマモこと山本雅俊氏の記事を参照→
週刊ファイト!ミルホンネット刊:山本雅俊作品集

こもとめいこ♂

電子書籍分析版は週刊ファイト12/29-1/5号欠場RIZIN最強タッグ抗議録プ本DeepパンクラスSEI☆ZA豆腐に収録されました。