
松竹ナビ株式会社のご厚意で、映画『八つ墓村』(清水崇・監督)のマスコミ試写を観る機会があった。
『八つ墓村』というと横溝作品の中でもひときわ怪奇色の強いミステリーだが、ジャパン・ホラーの天才監督がどう料理するのかが興味の中心だ。
もっとも、清水監督は野村芳太郎版、市川崑版をリスペクトしているらしい。これは冒頭の警察が主人公を訪ねるシーンにもはっきり出ている。
茫洋とした金田一耕助を演じる尾上松也、古い因習の地を訪れる令和の若者・井川辰弥役は奥智哉、歴代名女優が演じて来た森美也子役はNHKの朝ドラでぼくもご一緒したことがある堀田真由。キャラクターを見ても全く新しい「八つ墓村」を狙っていることがわかる。

むろん、田治見要蔵を演じる滝藤賢一の鬼気迫る演技は時代設定など吹き飛ばす迫力だが、滝藤が二役で演じる久弥にも清水監督が重きを置いていることが分かって来る。
横溝らしい、いわくありげな人物と言えば、小竹・小梅という双子の老婆(高島礼子)と「祟りじゃ~!」の濃茶の尼。特に濃茶の尼は登場するだけで強烈な印象を与える。笹野鈴々音という逸材を得たことによるのだろう。「きょうてー!」と言う言葉が「恐ろしい」の意味の岡山弁であることは、岩井志麻子先生の「ぼっけえ、きょうてえ」のお蔭で今や怪奇ファンは皆ご存知だ。

ようやく金田一が真相にたどり着き一件落着・・・
かと思うと、そこから本当の恐怖が始まる。とくに、クライマックスの火宅のホラーシーンは清水監督の真骨頂だろう。
あと、ぼくは「清水のいたずらショット」と勝手に呼んでいるのだが、この監督はところどころで撮影中思いついたかのようなストーリーにあまり関係のないお遊びを入れる。
今回、最もゾッとしたのは殺された女性が真っ暗な部屋で御神楽を踊るシーン。このカットを見るだけでも、この作品の怖さの質がはっきり理解できると言って良い。
エンドクレジットの後の短いシーンでも、ワンショットいたずらが入る。こちらは、ちょっと気持ちがほっこりする心憎い“いたずら”だ。

因みに、老眼のぼくには「監督 清水崇(たかし)」のクレジットが、「監督 清水祟(たたり)」に見えた。
試写会でバッタリ会った作家の浅尾典彦先生と。みぶTシャツに注目!
文責:みぶ真也(俳優)

■ 八つ墓村
9 月 18 日(金) 全国ロードショー
配給:松竹/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo Seishi/KADOKAWA
主題歌:「DOOM」TMG(Tak Matsumoto Group)
松本孝弘 ジャック・ブレイズ エリック・マーティン マット・ソーラム