[ファイトクラブ]自主興行の一線画した『拳王チャンネル3周年大感謝祭』革新性

[週刊ファイト4月24日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼自主興行の一線画した『拳王チャンネル3周年大感謝祭』革新性
 photo & text by 鈴木太郎
・バックステージも動く団体垣根超える物語
・拳王ではなく、拳王チャンネルに特化した興行
・「中の人」コールに表れた拳王チャンネルの歴史
・豪華メイン制した拳王決着YouTube発拳王スペシャル
・拳王スペシャル⇒メイン決着に意味がある
・『征矢学&橋本千紘-鈴木みのる&松本浩代』男女差超越激闘
・男女の差を感じなかった好勝負
・6人タッグX2名予想企画⇒カツオ&三富兜翔も正解者多数のワケ
・X予想驚愕の10名当選が証明した、大感謝祭の意味
・里村明衣子デビュー30周年記念日もエキシビション華持たせぬ拳王
・里村にデスバレーボムすら打たせなかった拳王の苛烈さ
・拳王チャンネルデビュー組・小田嶋大樹KENTAに大善戦
・今大会の成功を約束した小田嶋の存在


■ 拳王チャンネル3周年大感謝祭~クソヤロー全員集合~
日時:2025年04月15日(火) 18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,560人

 「てめえらクソヤロー共! これがプロレスだよ! 団体関係なく物語、ストーリーをまだまだ繋げていくぞ!」
 メインイベント終了後に拳王が客席に向けて叫んだマイクは、プロレスリング・ノアだけでなく、プロレス界全体のストーリーを念頭に置いたものだった。
 拳王が2022年に開設したYouTubeチャンネル『拳王チャンネル』始動から丁度3年目の記念日に行われた記念興行を締めるリング上には、新崎人生、剣舞、現在欠場中のフジタJrハヤトのみちのくプロレス勢に加え、新日本プロレスから高橋ヒロムがおり、他にも拳王と縁のある選手が数多く参戦した大会は、会場も超満員札止めとなった。バックステージではスターダムの小波が鈴木みのるの下に現れ、5・23木村花興行でタッグ結成を訴えるなど、ストーリーが紡がれていたのだという。

 プロレス界において、レスラーやレフェリーなどの関係者が自主興行を行う場合、主催者にとって縁のある選手を中心にオファーをかけた上で、「主催者が見たい」という願望や、「この興行でしか見ることのできない」オリジナリティをカードに詰め込み勝負する事例が多い。
 自主興行で後楽園ホールのような1,000人越えのキャパシティを埋めるには、1カードだけで集客が見込めるほどの訴求力を有する、強力なメインカードを組み込むことが必要不可欠だ。直近では、2025・3・10バーブ佐々木レフェリー自主興行『CRAZY FEST』における『葛西純vs.竹田誠志vs.エル・デスペラード』がそれに該当するだろう。

 今回、後楽園ホールで行われた『拳王チャンネル3周年記念興行』も、過去の”鉄則”を踏襲するようにメインカードを『拳王&新崎人生vs.高橋ヒロム&剣舞』にしたことで、発売直後に前売りチケットが即完売&座席追加という結果をもたらした。

 ただ、強力な1カードや選手のカリスマ性で会場を埋めることが確定したとしても、自主興行のカラーは残りのカードによって決まってしまうものだ。2024年に話題となったエル・デスペラードによるコンセプト興行『DESPE-invitacional supported by ROLLING CRADLE』では、全試合と全参戦選手が当日発表という状況でハードコアマッチなど多彩な形式が組まれた中、DDTプロレスリングで近年活躍したユニット『フェロモンズ』の世界観を踏襲した『エル・デスペラード&男色ディーノvs.外道&ディック東郷』という変化球的カードがメインイベントに据えられた。
 2025・3・10に行われたバーブ佐々木レフェリー自主興行『CRAZY FEST』でも、メインの『葛西純vs.竹田誠志vs.エル・デスペラード』のデスマッチを中心に、デスマッチやハードコアマッチ形式のコンセプトが設けられた。

▼葛西純ら世界最高峰デスマッチ!バーブ佐々木25周年『CRAZY FEST』

[ファイトクラブ]葛西純ら世界最高峰デスマッチ!バーブ佐々木25周年『CRAZY FEST』

 今回の『拳王チャンネル3周年大感謝祭』は、単なる”拳王の自主興行”として括れない、拳王チャンネルの関係性に特化した興行だったと筆者は感じている。里村明衣子とのエキシビジョンマッチやメインイベントなど、拳王個人の関係性は組み込まれたものの、オオワダサンがヒールターン前にYouTube内で技を受けていた武術の達人と対峙する企画や、拳王チャンネルの動画で過去に出演経験のある橋本千紘、カツオ、三富兜翔らが参戦。拳王ではなくYouTubeチャンネルの縁にフォーカスしていく内容は、通常の自主興行と一線を画していた。

 また、今回の興行ではチャンネル内の動画を撮影するスタッフも常に動画を回しながら客前に登場し、拳王チャンネル内で全試合がアーカイブ無しで生配信されるなど、今大会がチャンネル内動画という括りで扱われていた。そんな撮影スタッフが登場するや否や、会場中は拳王に対する声援と同じくらい「中の人! 中の人!」と歓待ムードで出迎えるなど、終始盛り上がりが続いたのである。プロレスファンだけでなく、拳王チャンネルユーザーにとっても歴史と線を追える興行だったと言えるのではないだろうか?

豪華メイン制した拳王決着YouTube発拳王スペシャル

<スペシャルタッグマッチ>
○拳王 新崎人生
 18分10秒 拳王スペシャル
高橋ヒロム ●剣舞

 高橋ヒロム&剣舞の『トーキョートルネード』と、拳王&新崎人生の師弟タッグが激突した試合。YouTubeチャンネル登録者数11万人を誇る高橋ヒロムは、YouTubeチャンネル登録者数10万人達成者が貰える銀の盾を持って入場すると、登録者数8万人の拳王に見せつけていく。高橋ヒロムのチョップと拳王のミドルキックが炸裂した時には、互いのYouTubeチャンネル登録者数を叫び、観客もコールするなど、YouTube チャンネル興行ならではの光景が見られた。

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