[ファイトクラブ]葛西純ら世界最高峰デスマッチ!バーブ佐々木25周年『CRAZY FEST』

 バーブ佐々木レフェリーのデビュー25周年を記念した自主興行『CRAZY FEST』は、超満員の後楽園ホールで興奮と熱狂を実現させる、2025年のベスト興行候補に躍り出た。レフェリーという裏方でありながら、古巣の大日本プロレスや、現在主戦場にしているプロレスリングFREEDOMSだけでなく、新日本プロレスやスターダムといった大手団体の協力も取り付けて実現させた今回の興行は、プロレス界の自主興行史における歴史的1ページとなったのである。全席完売の『CRAZY FEST』を全試合結果も交えて紹介していく。

[週刊ファイト3月20日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼葛西純ら世界最高峰デスマッチ!バーブ佐々木25周年『CRAZY FEST』
 photo & text by 鈴木太郎
・世界最高のデスマッチを実現させた裏方
・参戦選手全員が爪痕残す2025年ベスト興行候補
・”究極のデスマッチ”体現!葛西-竹田-デスペラード圧巻3WAY
・デスペラードが”デスマッチのカリスマ”に躍り出た日
・山下りな-鈴季すず4年ぶり再戦TLCマッチで山下激勝!
・国内女子プロレス界に刻むデスマッチ史のターニングポイント
・持ち込みアイテムと試合内容で観衆沸かせるスターダム勢スゴさ
・衣装の拘り見られたストリートファイトハードコアのコンセプト性
・アブドーラ小林&本間朋晃タッグ実現スクランブルバンクハウス!
・バラモン兄弟土俵乗り込む高橋ヒロムの広い懐
・第0試合からバチバチ場内熱狂!『石田凱士-伊東優作』

■ BARB SASAKI Refereeing Life 25th ANNIVERSARY「CRAZY FEST」2025.03.10 KORAKUEN HALL supported by ROLLING CRADLE
日時:2025年3月10日(月) 18時30分開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,612人

 「これがデスマッチの力です!これが、世界最高のデスマッチです!」

 狂乱のメインイベントとなった『葛西純vs.竹田誠志vs.エル・デスペラード』のデスマッチが終わり、葛西純からマイクを渡されたレフェリーのバーブ佐々木は、力強い声でこう言い切った。レフェリーは普段、人前でマイクを握る機会のない職業である。故に、普段リング上にいるレフェリーの声をマイクで聞く機会は稀だ。そんなバーブ佐々木がマイクを握った時の声はどこか、大会の熱気と興奮を受けて震えているようにも聞こえてきた。

 本興行の後援でもあるアパレルブランドのROLLING CRADLEが、2024年6月に後援しているエル・デスペラード興行『DESPE-invitacional(デスペ・インビタショナル)』も、新日本プロレスのファンクラブ先行販売で全席完売となったのだが、今回のチケットはプレイガイドでの一般販売のみ。それでも、販売開始から僅か10分以内で全席完売となり、後日販売された追加席も即完売した。しかし、主催選手の知名度で完売に持って行ったエル・デスペラード興行とは異なり、今回の主催であるバーブ佐々木はフリーランスの立場で各団体の試合を裁くレフェリーである。

 レフェリーやリングアナといった裏方による自主興行は過去にプロレス界で何度となく実現しているが、聖地・後楽園ホールで超満員札止めを実現させた事例は筆者も聞いた記憶が無い。『葛西純vs.竹田誠志vs.エル・デスペラード』という強力なメインカードがあったとしても、新日本プロレス、大日本プロレス、プロレスリングFREEDOMS、スターダムといったバーブ佐々木の主戦場から主力選手を集める事は容易でなかったはずだし、デスマッチやハードコアマッチルールでの試合をほぼ全編にわたり実現させたのだから素晴らしい。

 何より、オープニングからメインまで途切れる事の無い凄まじい熱気溢れる大会だったのだから、今回の『CRAZY FEST』は近代プロレスの自主興行史に刻まれる歴史的1ページになったと言っても過言ではないだろう。

参戦選手全員が爪痕残す2025年ベスト興行候補

 大盛り上がりだった今回のバーブ佐々木興行は、参戦選手による大会後のコメントからも、客席だけでなく関係者に対しても強い刺激を与えたことが窺えた。実際、大会後のコメントやSNS投稿の中で、大日本プロレスやプロレスリングFREEDOMS、プロレスリングBASARAといったインディー団体の関係者が「自分たちの興行も満員にしたい」という危機感にも似た誓いが散見された。

 今回の『CRAZY FEST』に関して言えば、葛西純や竹田誠志のデスマッチにエル・デスペラードが加わる今大会でしか実現できない組み合わせにプロレスファンが惹かれたイレギュラーな要素が加わっているため、この熱量を1団体だけで生み出すには困難が伴うだろう。だが、今回の興行は参戦選手の誰1人として内容面でコケることは無く、全員が持ち味を発揮した印象が筆者には強い。
 大日本プロレスで現在デスマッチヘビー王座とストロングヘビー王座のシングル二冠に輝く神谷英慶は、石川修司やビオレント・ジャックと言った巨体レスラーを軽々投げ切ったことで超人っぷりを観衆に見せつけたし、ダークマッチで火花を散らした石田凱士(GLEAT)と伊東優作(ダブプロレス)は、今大会が2025年の年間ベスト興行候補である事を決定づけた。

 ダークマッチ含め全7試合中2試合が組まれた女子選手の試合にしても、男子プロレス団体ファンを中心とした客層に埋もれることなく試合を盛り上げた。今回のように各団体から選手が集まる興行だと必然的に「どの団体が目立っていたか?」、「どの選手が爪痕を残したか?」が比較されがちだ。しかし、『CRAZY FEST』は「全員が爪痕を残していた」と筆者は感じている。

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