ホセ・トーレス、ンコシ・ンデベレに別れのメッセージ+BRAVE CF 93トゥタラウリ vs. エスカラエフ鄭州で激突へ

ホセ・トーレス、BRAVE CF退団のンコシ・ンデベレに別れのメッセージ

 総合格闘技において、「競争」と「敬意」の両方を象徴するライバル関係は多くないが、ホセ“ショーティ”トーレスとンコシ・ンデベレの三部作はまさにその好例である。ンデベレのBRAVE Combat Federation退団のニュースを受け、長年のライバルであるトーレスはSNSを通じて、これまでの戦いを振り返りながら、敬意と感謝のメッセージを送った。

 トーレスは、三度目の対戦後に両者が握手し記念写真を撮る動画とともに、以下のように投稿した。
「勝っても、負けても、引き分けでも。俺たちはいつだって互いに、そしてこの競技に敬意を払ってきた。俺たちは歴史を作ったんだ!次の旅路でも成功を祈ってるよ!」

 この三部作はまさに歴史的なシリーズであり、同じ二人の選手が三大陸でそれぞれ対戦するという、MMA史上初の出来事となった。このライバル関係は、BRAVE CFバンタム級王座をめぐる激闘から始まった。最初の対戦は2023年8月12日、コロンビア・ボゴタで開催されたBRAVE CF 73で行われ、トーレスがスプリット判定で勝利し、空位だった王座を手にした。

 その後、2023年12月15日、バーレーン・イーサタウンで開催されたBRAVE CF 80にて、ンデベレが第3ラウンドにトーレスをリタイアに追い込み、バンタム級王者に輝いた。そして2024年5月11日、モーリシャス・コート・ドールで行われたBRAVE CF 82で三度目の対戦が実現。今度はンデベレがユナニマス判定で勝利し、シリーズの決着をつけた。

 3試合を通じて、二人はBRAVE CFのケージ内で実に13ラウンド近くを共に戦った。それぞれの試合は、技術、根性、闘志を示す名勝負であり、互いに真のファイターとして高め合った。ライバル関係でありながら、二人の間には常に敬意があり、個人としても、そして共に築いたレガシーとしても、BRAVE CFに深く刻まれている。

 最終戦後、トーレスはフライ級へ階級を下げ、日本のRIZINにも参戦。一方のンデベレは、BRAVE CF史上初となるアフリカ人同士のメインイベントでニコラス・フウェンデと対戦し王座防衛に挑んだが、惜しくも敗戦。そして今回の退団が発表された。

 どこへ向かおうとも、トーレスとの三部作がンデベレのBRAVE CFでのキャリアを形作ったことは疑いようがなく、同様にトーレスの歩みにもその戦いは深く影響を与えた。トーレスが語ったように、二人の競争と友情はすでに歴史として刻まれており、互いへの敬意と成功を願う気持ちは変わらない。

 ンデベレが次にどの舞台を選ぶのか、MMA界が注目する中、BRAVE CFもまた、彼の旅立ちを温かく見送り、これからの成功を願っている。


BRAVE CF 93 メインイベント:トゥタラウリ vs. エスカラエフ、鄭州で激突へ

BRAVE Combat Federationは、2025年のカレンダーを4月18日の「BRAVE CF 93」で華々しくスタートさせる。この大会は中国・鄭州で開催され、BRAVE CFにとって待望の中国再上陸となる。世界で最もグローバルなMMAプロモーションとして、BRAVE CFは常に新たな領域を切り拓き続けており、今回の大会も世界中の精鋭ファイターたちによるハイレベルな戦いが期待されている。

その中でも注目のメインイベントは、ユーラシアを代表するライト級コンテンダー同士、ラウリ・トゥタラウリ(ジョージア)とオルジャス・エスカラエフ(カザフスタン)による一騎打ちだ。両者ともにBRAVE CFライト級王座を狙っており、この一戦は階級におけるターニングポイントとなる重要な局面となる。

トゥタラウリ(35勝8敗)とエスカラエフ(16勝7敗)は、いずれもBRAVE CFの層の厚いライト級において危険な存在だ。元タイトル挑戦者のトゥタラウリは、その圧倒的な前進力とノックアウトパワーで知られており、アグレッシブで妥協を許さないスタイルで数々の早期決着を演出してきた。今回の試合を“最後の関門”と位置付け、王座への再挑戦を目指す。

一方のエスカラエフは、今まさに勢いに乗る新鋭。スタンドでもグラウンドでも抜け目のないスキルを持ち、インタリム王座戦で敗れたBRAVE CF 59以降、圧巻のパフォーマンスでランキングを駆け上がってきた。ベテランのトゥタラウリを倒せば、正真正銘のトップコンテンダーとしての地位を確立することになる。

この一戦は単なる試合にとどまらず、「国vs国」の格闘技伝統の衝突でもある。ジョージアとカザフスタンは、ともにレスリング、サンボ、打撃技術といった格闘文化が根付いた格闘大国である。

ジョージア代表のトゥタラウリは、同国が誇るグラップリングと打撃のハイブリッドスタイルを体現しており、その戦いぶりにはジョージアの“戦士の魂”が宿る。一戦一戦が祖国の名誉を背負った戦いであり、彼は勝利に飢えている。

対するエスカラエフは、カザフスタンの発展著しいMMAシーンを代表する存在だ。サンボとレスリングを土台としながらも、国際舞台での存在感を強めており、今回の中国大会での勝利は、彼自身のキャリアのみならず、母国の威信を高める一戦となる。

両者ともに、現ライト級王者アブディサラム・クバンイチベクに敗北した過去を持つが、それぞれに「まだ物語は終わっていない」という思いがある。

トゥタラウリにとってこの試合は“リベンジ”であり、王座戦線への再浮上を目指すための大きな一歩だ。持ち前のプレッシャーと攻撃力で試合の主導権を握ることがカギとなる。対するエスカラエフにとっては、“自身の証明”の場だ。名のある実力者を倒すことで、自身の正当性を確立し、次なるステージへと突き進む。

確かなのはただひとつ――この二人が4月18日にケージの扉を閉めるとき、壮絶な火花が散ることは間違いない。