[ファイトクラブ]ノア動員-PPVも好調!Monday Magic集大成『WRESTLE MAGIC』両国

[週刊ファイト5月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

 2023年秋からスタートしたプロレスリング・ノアの新ブランド『MONDAY MAGIC』。全カードがほぼ当日発表というベールに包まれた大会ながら、season1の5大会は全席完売をマーク。2024年4月に行われたseason2も好調で、勢いそのままに乗り込んだ5・4『WRESTLE MAGIC』両国国技館大会は、ABEMA無料視聴だった前年から一転してPPV販売にシフトしたにもかかわらずPPVは好調で、現地も3,500人超えの動員を記録したという。今秋にseason3開幕も明らかとなった『MONDAY MAGIC』シリーズは、両国ビッグマッチを以て一つの形が出来上がったと言えそうだ。


▼ノア動員-PPVも好調!Monday Magic集大成『WRESTLE MAGIC』両国
 photo & text by 鈴木太郎
・【全カード当日発表】の軸と変えてきたスタンス
・オールスター戦の様相だったseason1
・清宮と拳王の抗争に見る、season2の連ドラ性
・様々な魔法もたらした『MONDAY MAGIC』効果
・不器用認め”新しいNOAH”観衆支持『清宮海斗-ワグナーJr』濃い内容
・今のテンコジ撃破 実力示すGHCタッグ王者Jモリス&AグリーンG.L.G.
・アレハンドロ猛攻も盤石!ディアブロウイングス決めJr王座防衛ダガ
・衝撃!TAJIRI降臨魔法かかった丸藤正道&大原はじめ組マッチアップ
・マリーゴールド集結も単騎圧倒した彩羽匠!野崎渚-ジュリア因縁勃発
・格闘技ルール刺激的遭遇『佐藤光留vs.佐々木憂流迦』シングル決定!
・YL討伐⇒DRAGON GATE象徴迎撃『拳王vs.YAMATO』の15分50秒
・“brother”YASSHI入る余地なし3way戦JrタッグYO-HEYタダスケ防衛
・一夜限りの魔法!AKIRA-HAYATA-Eitaに熊野準3年10ヶ月振り復帰
・サプライズ枠10分間でも激闘『マサ北宮vs.杉浦貴』名勝負数え唄続行
・スターボーイ・チャーリー衝撃の稲葉大樹撃破GHC Jr挑戦決定!
・YouTube無料枠『ニンジャ・マックvs.石川修司』力の差見せた石川完勝


■WRESTLE UNIVERSE PPV LIVE WRESTLE MAGIC 2024
■日時:2024年5月4日(土) 16:00開始
■会場:東京・両国国技館
■観衆3512人(主催者発表)

 2023年秋、プロレスリング・ノアでスタートした新ブランド『MONDAY MAGIC』。新型コロナウイルス禍以降、チケット代が5,000円を下回る興行が減りつつあるプロレス業界では破格の3,000円~4,000円の料金設定に加え、【全カード当日発表で、入場曲が鳴るまで誰が出るか分からない】というコンセプトで月曜夜にスタートしたNOSAWA論外プロデュースによる同ブランドは、season1の5大会が満員札止めをマークすると、2024年春のseason2開催と2024・5・4両国国技館ビッグマッチ『WRESTLE MAGIC』の開催が決定。
 今春に開幕したseason2の全4大会も前売り時点で完売となった勢いそのままに、両国ビッグマッチも約3,500人を動員した。

 丁度1年前のNOAH両国国技館大会が約3,000人だったことや、同日に大日本プロレス横浜武道館ビッグマッチ、全席完売となったGLEAT横浜ラジアントホール大会が被っていたことを踏まえれば、PPVも販売している今大会は成功と捉えて良いのではないだろうか? 実際、プロデューサーを務めるNOSAWA論外も、大会後の総括で今大会の動員とPPV購入数に自信を滲ませていた。2024年秋にはseason3の開催も決定。両国国技館ビッグマッチで集客を伸ばした事実は、単発シリーズと思われた『MONDAY MAGIC』が、NOAHに定着していくターニングポイントになった瞬間でもある。

 【全カード当日発表】、【チケット価格帯の値下げ】でNOAHの本興行と差別化を計っている『MONDAY MAGIC』は、season1からコンセプトは変えぬまま、傾向や内容が徐々に変化していった。2023年秋~冬に隔週開催となったseason1の5大会では、普段NOAHに上がらない他団体の選手が多数参戦。記念すべき10・9のエピソード1ではメインイベントで『拳王vs.グレート・マミー』の一戦が実現するも、グレート・マミーの正体が小島聡だった事で大きな注目を集めた。
 この初回を皮切りに、エピソード3では清宮海斗と大岩陵平(新日本プロレス)と安齊勇馬(全日本プロレス)による若手の揃い踏みが実現したり、エピソード4では因縁の関係にあった拳王と小島聡のタッグも実現したり、毎大会のように他団体との豪華コラボレーションが続いた。DRAGON GATEやZERO1からも選手が集う、さながらNOAH主導のオールスター戦とも言える装いは話題を集め、season2開催に繋がったと言えるだろう。

 ただ、そのseason2では一転して、豪華コラボレーションの道筋を取り払っていくことになる。2024年4月に毎週開催される強みを活かして、本興行とのストーリー連携を強化。3月末に勃発した拳王と清宮の抗争劇は『MONDAY MAGIC』でも進められていき、拳王が若手時代の清宮の写真を用いたシャツを着用⇒後楽園ホール大会で会場限定販売の流れに繋げたことも記憶に新しい。
 その後、『WRESTLE MAGIC』で清宮がGHCヘビー級王座戴冠を果たすと、直後にバックステージで拳王と清宮が共闘を宣言。この2人に、清宮とDRAGON GATEでオープン・ザ・ツインゲート王座を保持したこともあるアレハンドロ、謎のマスクマンであるクリストバルが合流して『ALL REBELLION』結成がアナウンスされたが、この電撃和解に至るまでの一連の流れが違和感なく纏められたのは、『MONDAY MAGIC』season2の存在無くして有り得なかった出来事だ。

 この他にも、初回のメインが『清宮海斗vs.佐々木憂流迦』によるシングルマッチだったり、『清宮海斗vs.ジェイク・リー』によるGHCヘビー級王座次期挑戦権をかけた一番が最終回で実現したり、外部との豪華コラボに頼らないNOAH参戦選手中心のラインナップが展開されたseason2であるが、サプライズ枠もしっかり用意されていた。
 エピソード1~3まで毎週行われた女子プロレスマッチは、旗揚げを控えるロッシー小川の新団体・マリーゴールドとの両国決戦に繋げる流れが組まれていたし、season2で行われたGHC王座戦では、タッグ王座にマミー・ブラザーズやメタル・ウォーリアーズ(=横須賀ススム&望月成晃)、Jrタッグ王座に木高イサミ&宮本裕向の『ヤンキー二丁拳銃』が挑戦するなど、NOAH本興行では出来ない顔合わせを実現させたことで『MONDAY MAGIC』特有のサプライズが健在だった。

 Season3が開幕するのは2024年秋。その頃にはシングルリーグ戦『N-1 VICTORY』が閉幕して、毎年恒例となっている年始の都内ビッグマッチまでのストーリー展開に『MONDAY MAGIC』の存在が活かされるのではないかと予想している。NOSAWA論外が大会後に大会場進出の野望も打ち出した両国ビッグマッチは、NOAHに様々な魔法をもたらして閉幕したのである。

不器用認め”新しいNOAH”観衆支持『清宮海斗-ワグナーJr』濃い内容

<第12試合 GHCヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[挑戦者]○清宮海斗
24分45秒 変型シャイニング・ウィザード⇒エビ固め
[王者]●イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr
※ワグナーが2度目の防衛に失敗。清宮が第45代王者となる

 2020・1・5以来、約4年振りとなったワグナーJrと清宮による一騎打ちは、GHCヘビー級王座を賭けたシチュエーションで実現した。両国ビッグマッチに相応しい激闘に、場内のボルテージも段々と高まっていく。2024・2・4仙台サンプラザ大会で拳王を破りGHCヘビー級王座初戴冠を果たし、2024・3・31後楽園ホール大会ではジェイク・リーを退けたワグナーJrなだけに、清宮との内容も文句なしの好勝負に発展。最後は清宮の執念が勝るも、異国の地で刻んだ防衛ロードは濃いものになったはずだ。

 試合後に清宮は「今のNOAHに何が足りない? 俺が、NOAHをもう一度プロレス界のトップに持っていきます! NOAHって不器用な団体なんです。皆の期待に応えられないのが悔しくて。俺が全部変えていく。新しいNOAHを創っていきましょう!」と堂々宣言。マイクの途中で観客から「お前じゃ無理なんだよ」という野次も飛んだが、即座に他の観客から発生した清宮への声援は、試合内容に対する賛辞が詰まっているものであった。



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