大阪 DEEP☆KICK 68!KING龍蔵・安尾瑠輝が共にKO決着で新王者に輝き、年内最後を確かに締めくくった

 12月10日(日)泉大津市・テクスピア大阪において『DEEP☆KICK 68』が開催された。裏では全国各地で10を超える興行が開催されるも、変わらずの超満員と確かな存在感を見せつけたDEEP☆KICK。大会は第1試合からダウンの応酬で早くも大歓声を呼び込むと、KING TSUBASA 引退エキシビジョンマッチではエキシビジョンながらもダウンの応酬を繰り広げ会場を更に熱気で包み込む。ダブルメインイベントではKING龍蔵・安尾瑠輝が共にKO決着で新王者に輝き、年内最後のDEEP☆KICKを確かに締めくくった。2024年は更に興行数も増える予定のDEEP☆KICK、関西キックボクシングの雄に今後も要注目だ。

(文・三野龍生/写真・石本文子)

ダブルメインイベント2 宮崎就斗 vs. KING龍蔵

 「宮崎選手は特別で、今年1年は宮崎選手を倒すことだけを考えていた」。ちょうど1年前の昨年12月、初のタイトルマッチに挑むも王者・宮崎就斗(TARGET)に1RTKO負けを喫したKING龍蔵(ROYAL KINGS)、1年越しのリベンジを達成し悲願のベルトを手に入れた新王者は目にうっすら涙を浮かべながら、本音を口にした。
 今大会の締めくくりとなったDEEP☆KICK-57.5kgタイトルマッチ、第2代王者として2度の防衛に成功している宮崎の3度目の防衛戦は前節同様に挑戦者決定トーナメントを勝ち進んできた龍蔵との1戦となった。両者が向かい合うといつも通り落ち着いた雰囲気の宮崎に対して龍蔵は前後にステップを踏みながら宮崎を見下ろし、以前とは違うぞという確かな自信を見せる。果たして1R、龍蔵は鋭いワンツーに前蹴りで宮崎を後ろに飛ばすなど動きにキレが見える。対する宮崎は小まめに左右のローを振りながら時折左ミドル・ハイを放つが、龍蔵のストレート・左フックにやや後退させられている印象。ラウンド後半には龍蔵がカウンターの左フックをヒットさせ宮崎を少しよろけさせるなど1Rはやや龍蔵が攻勢を見せる。
 続くは運命の2R、試合は早速動いた。ゴングと同時に前に圧をかけてきた宮崎に龍蔵のカウンターのストレートがヒットし龍蔵がファーストダウンを奪取する。しかし龍蔵はあくまで冷静、じわじわと圧をかけ宮崎の出方を伺いながらストレート・左フックを合わせていく。宮崎は左ミドルとストレートを軸に徐々にギアを上げていくが捉えきれないか。そして宮崎が攻勢を狙っていく最中、龍蔵のカウンターのストレートが宮崎にヒット、ダメージが見えセコンドから「効いた!効いたぞ!」と声がかかる。後に龍蔵は「普段はダウンをとっても決めに行かずにポイント優先で勝利に徹する考え方をもっていたけど、先生の「効いた!」って言葉が聞こえて、人生で初めて「俺ここで倒せる、倒せたら止まる」って感じて、初めて倒しに向かいました」と語った。事実、ダメージの見える宮崎に龍蔵はパンチでラッシュをかけていきダウンを獲ると、宮崎のダメージを見たレフェリーが即座に試合を止めた。2R1分53秒、リベンジとベルト奪取をダブルで達成した龍蔵は感情を爆発させリング上で叫びまわった。
 試合後の授与式では自分より先に母親にベルトを巻いてあげたいと直談判し、リング上に母親を呼びベルトを巻いてあげると涙ながらに抱きあった。マイクでは先生・ジム・ファンたちすべてに感謝を述べると「昔から自分には可能性がないと思われてたけど、自分だけは自分を信じてここまできた」と語った。試合後、「始めて見たキックの団体がDEEP☆KICKで、プロになってからもDEEP☆KICKに育ててもらった。なので今後もあくまでDEEP☆KICKの代表として対抗戦や先の団体に挑んでいきたい。まずはRISEランカーの安本晴翔(橋本道場)とやりたい、何が強いの?と思うし全然勝てる。サッと倒して関西にこんな強いやつがくすぶってるんだぞ!ってのを見せたいですね」と語った。
 まだ19歳の新王者ながらも豪胆に語るその姿は早くも王の風格が漂っている。2023年を連戦連勝で終え最後にベルト奪取を達成した龍蔵、2024年も更なる飛躍が予想されるKING瀧蔵に注目してほしい。

ダブルメインイベント1 安尾瑠輝 vs. KING陸斗

 現在空席のDEEP☆KICK-51kg第3代王者の椅子を掛けたトーナメントの決勝戦、K-1からの刺客・安尾瑠輝(K-1ジム心斎橋チームレパード)とプロ全戦全勝を誇る驚異のルーキー・KING陸斗(ROYAL KINGS)が激突した。互いに準決勝では判定勝利を収めるも、威力抜群のパンチ・蹴りを振るい圧倒的な攻めを見せた安尾に驚異的なフットワーク・ディフェンス力にカウンターと高度な技術を魅せた陸斗とタイプは反する両者。安尾がKOするか陸斗が完封するかといった予想が主だったが試合は正に予想以上の内容であった。
 1R、リング中央に陣取る安尾に対し陸斗はステップを踏みながらリングを左右に周っていく。そして早くも予想以上の試合内容に、安尾の攻めはやはり魅力的、ワンツーに右ハイ・フックと威力のある鋭い攻めをいかんなく繰り出すと対する陸斗、それを避けて右フック・避けてローとこちらもさすがの技術をふんだんに見せつける。安尾の攻めに歓声が上がり、陸斗がそれを避けて驚きの声が上がる、そういった展開が続いていく。中で陸斗は返しの右フックやストレートを着々とヒットさせていき、1Rは陸斗が優勢。
 2R、ボディストレートに左ハイとバリエーションを増やしてきた陸斗に対し、安尾はじわじわと圧をかけながら必殺の一撃を狙う。中盤、安尾が陸斗をコーナーに詰めパンチ・膝とラッシュでまくしたてるも陸斗はこれを避けてコーナーを即脱出、これには会場からも大きな驚きの声が上がった。そしてそのまま試合が続くかと思われた最中、勝負は一瞬でついた。陸斗のストレートをガードした安尾が返しのハイキック一閃、プツンと切れたように陸斗が後方に倒れるとレフェリーが即座に試合をストップした。後に安尾は「ハイキックはずっと練習してて、1Rは取られたけど2Rはしっかりタイミングを計ってた、そしてここ!という所で当てれました」と語り、そして渾身の一撃KOで新王者になった安尾はリング上で大粒の涙を流しながらセコンドに就いていた父親と抱き合い喜びを分かち合った。
 試合後のマイクではベルトを獲れたことへの喜び、そしてもっと注目されたいという事を涙ながらに、詰まりながらも懸命に喋った。試合後、「今まで大阪で試合をしてこなかったので、大阪のDEEP☆KICKに出れて応援もたくさん来てくれた、何より負ける姿を見せることにならず安心しました。まだ名の売れていない自分でもベルトを取らせて頂いたので、今後はSNSなども初めてもっともっと注目されるようになります。そしてRISEにも出たい、上に1つ1つしっかりと上がっていきたいです」とたどたどしくも目を光らせながら語った。当日のリングサイドにはKrushプロデューサーの宮田充氏も観戦しており、自身の強さは存分にアピールも出来たであろう。今回、K-1からの刺客として登場しベルト奪取を達成した安尾、次なるステージは果たしてどこだ!

ダブルセミファイナル2 上村雄音 vs. 中田史斗

 DEEP☆KICK-53kg第4代王者の長谷川海翔(誠剛館)が返上したベルトを懸けたトーナメント準決勝。現在、同級1位の上村雄音(BKジム)と8月の1DAYトーナメントを連続KOで制した中田史斗(究道会館)が激突すると勝負は早々の決着となった。
 1R、サウスポースタイルの上村は距離をとりながらワンツーで踏み込んでいく。中田は小まめに左ローを放ちながら近い距離でパンチを振るう。そして早くも分岐点が訪れる、互いに組んだ状態からの離れ際に中田の左フックが上村を捉え1R開始26秒で早くもファーストダウンとなる。ダメージは明らか、すぐに立った上村だが足元がふらついている。中田は好機を逃しまいとパンチのラッシュで突っ込んでいき2度目のダウンを奪うと最後もパンチをまとめていき3度目のダウンを奪いTKO勝利、勢いに乗る中田が驚異の3連続KO勝利を飾った。
 リングには先に勝利を収めたKING剛がリングイン、マイクでは「この後、同ジムの陸斗と龍蔵がチャンピオンになりますので応援お願いします」と自分の事ではなく同ジム後輩の2名の激励を行うと、対する中田は「去年からずっとROYAL KINGSで練習させて貰ってて、剛選手もめっちゃ仲がいいんですけど、3月はやっちゃいます」と練習仲間であることを明かし、そして試合では関係なく倒しに行くという覚悟を見せた。
 この試合の結果は当初、1R1分19秒で中田のTKO勝利とされたが試合後、最初のファーストダウンについて協議が行われ、ビデオ検証の結果、組んだ際にレフェリーのブレイクが宣告された後の攻撃、及びダウンであることが確認されたため後日DEEP☆KICK実行委員会より、今試合をノーコンテストとする旨が発表された。なお、-53kg王座決定トーナメント決勝は予定通りKING剛 vs. 中田史斗で行われ、勝った選手に9月上村がタイトルマッチ挑戦とすることが重ねて発表された。

ダブルセミファイナル1 松本陸 vs. KING剛

 DEEP☆KICK-53kg王座決定トーナメントもう1つの準決勝では同級2位のKING剛(ROYAL KINGS)にK-1からの刺客である松本陸(TAD)が挑む。身長は約10センチ松本が大きく、年齢の差は17歳差と現在勢いがついている松本を、過去戴冠歴もある剛が迎え撃つという形か。
 1R、サウスポーに構える剛はインローを放っていくと松本は威力のあるローにストレート・フックでどんどんと攻めていく。時折見せる右ハイも強力、剛も圧をかけながら距離を詰めていくが松本の強打に下がらされる。ラウンド後半には松本の右フックがヒットするなど要所で印象を確かに掴んでいった松本が優勢だ。
 続く2R、飛び膝蹴りに三日月・パンチ連打と1R同様にガンガン攻める松本に対し剛は1Rより更に近い距離に踏み込んでいく。ガードを固めながら松本の攻撃を凌ぎ近い距離に入りボディ・ストレートにローと返していく。松本は距離を取りたいだろうが剛の圧に自分の距離を築けない。そのまま近い距離での打ち合いが続ていき第2R終了、途中のオープンスコアでは1Rの攻勢が効き3名共に20-19で松本を支持する。
 後がない剛は3R、更に圧を強める。最初は距離を取りながら捌く松本だったが早くも2R同様に近い距離での打ち合いにもつれこまれる。こうなると剛のスタミナと根性は驚異的、疲れは明らかだが決して手は止めずに打ち合いに転じていく。対する松本も根性がある、近い距離での打ち合いを受け入れ左右のフックにボディで負けてたまるかと打ち返していく。互いにヒットし・ヒットされが続いていくとラウンド終盤には互いに足を止めてノーガードでの打ちあいを披露し試合終了となるが、判定では3Rの剛の優勢が支持され1-0(松本)となり、マスト判定の延長ラウンドに突入する。
 延長R、互いに体力の限界も近いだろうが根性は人一倍、序盤から互いに強烈なパンチを振るっていく。松本がツーフックをヒットさせれば剛はボディにストレートをお返しにヒットさせる。そしてラウンド中盤から剛は圧をかけ2・3R同様に近い距離での打ち合いに持ち込む。松本も最早逃げずにそれを受け入れ足を止めて打ち合いに臨む。残り時間1分のコールが響くと互いにギアをアップ、決して手を止めずに頭を合わせながら足を止めてパンチの打ち合いが続いていき会場の声援も最高潮に。そして最後のゴングが鳴り響くと会場からの大きな拍手の中、互いに拳を突き上げ勝利をアピールした。
 甲乙つけがたい内容となった今試合、判定は割れるも1-2で剛が接戦を制しトーナメント決勝への進出を決めた。負けはしたものの松本も確かな実力・気迫を見せ、今大会ベストバウトに相応しい試合を見せた両選手はリング上でたたえ合うと会場からは大きな拍手が送られた。

引退エキシビジョンマッチ KING TSUBASA vs. 塚本望夢

 今年の3月、DEEP☆KICK-51kg第2代王者に輝いたKING TSUBASA(ROYAL KINGS)が引退を発表、それに伴い引退エキシビジョンマッチが開催されるとDEEP☆KICK-51kg初代王者の塚本望夢(NJKFteamBonds)が参戦を表明。両選手は昨年8月「Cygames presents RISE WORLD SERIES OSAKA 2022」にて対戦経験がありその際は塚本が判定勝利を収めている。最後のリングとなるTSUBASAは愛する我が子たちを引き連れ歌手のKUNIMITSUの生歌と共に入場した。
 1R、エキシビジョンながらも流石は最軽量-51kgの王者同士、速いパンチ・蹴りが交差していく。塚本はさすがの技術でTSUBASAの攻撃をいなしながらポンポンと蹴りにパンチを入れていく。TSUBASAも子供たちの「パパがんばれ!」の声に呼応しながら左右にフックに蹴りでどんどん前に圧をかけていく。1Rが終了するとTSUBASAからの提案でレガースを外し6オンスのグローブに変更し本選同様のルールで第2Rをと申し出があり、塚本もこれを快諾、得てしてTSUBASA最後のラウンドはTSUBASAvs.塚本の本気エキシビジョン開催となった。
 といってもエキシビジョン、互いに本気で打ち合う訳ではないだろう。誰もがそう思っていた中、その静寂を打ち破るようにゴングと同時に互いに近い距離でパンチを振り合うと2R開始10秒でTSUBASAがストレートでダウンを奪取し会場からは大きな驚きの声が上がる。塚本はすぐに立ちあがるとギアを入れ直し、お返しにとミドルにボディ・ストレートと強烈な1発1発をTSUBASAに打ち込む。TSUBASAもそれを耐えながら左右のフックにストレートを打ち返していく。ラウンド後半には塚本のパンチラッシュで今度は塚本がダウン奪取とエキシビジョンながらも互いにダウンを獲り合うと、残り時間10秒になると互いに足を止めてノーガードでの打ち合いを披露し終了のゴングと同時にTSUBASAは後ろに倒れ、正に最後のリングで限界まで戦い抜いた姿を見せた。 
 試合後、塚本はマイクで「僕が小学校ぐらいの時から一緒に練習とかもさせて貰ってて、去年試合した時も、そして今回引退と聞いた時もビックリしました。現役生活お疲れ様でした!」とエールを送り花束を渡した。その後の引退セレモニーではTSUBASAへの記念動画が流され、DEEP☆KICK実行委員長・林裕人より記念パネルやROYAL KINGS一同からの寄せ書き、花束などが送られた。TSUBASAはマイクにて引退セレモニーを開いてくれたこと、対戦してくれた塚本に感謝を述べると「3月のトーナメントは出場前から最後の挑戦、引退を決めていてベルトを獲れてこれで引退と思っていたけど、林代表が引退式を開いてくれるとの事で最後に初代王者の塚本選手にもう1度挑戦したいと思い2Rはガチでやりました。自分は知名度や華もなかったけど、地道に頑張ってきてベルトを獲れた。何よりここまで育ててくれた藤原代表、本当にありがとうございます。最後に、こんな僕に文句言わず最後までついてきてくれた奥さん、本当にありがとう!ありがとうございました!」と代表、そして家族に感謝を述べ、そして引退の10カウントゴングを聞くと、どこかスッキリした表情でリングを後にした。
 紆余曲折のプロ人生、突出した才能や華がなくとも地道にでも努力を続け、諦めずに走り続け最後にDEEP☆KICK-51kgのベルトを掴んだTSUBASA。その背中は確かに、ROYAL KINGSを始めとした若き世代に勇気と感動を与えたはずだ。そしてここから始まるKING TSUBASAの第2の人生、叶うならばTSUBASAの後継者が再びDEEP☆KICKの地に送り込まれることを楽しみに待ちたい。

第9試合 和田哲平 vs. 絢太

 6月にDEEP☆KICK-65kg第4代王者に輝いた石田迅(LEGENDGYM)への挑戦権を懸けたトーナメントの準決勝、同級2位に位置する和田哲平(FFT)と福岡県の猛者・絢太(teamMISAKI)が激突。
 試合は早くも決着に向かう、1Rサウスポースタイルに構える長身の絢太はローにハイと繰り出すが和田の鋭いハイキックにやや後退させられる。和田は細かく蹴りを入れながら強烈なストレートにフック・三日月蹴りで圧をかけていく。最中、和田の強烈な膝蹴りが突き刺さりガード一辺倒になる絢太に早いボディ・三日月蹴り・膝に加え威力のある右のオーバーハンド気味のボディを数度打っていくと最後は同じ打ち方からの強烈な右フックが絢太にクリーンヒットし一撃KO、1R1分31秒TKO勝利で和田がトーナメント決勝への進出を決めた。
 リングには先に決勝進出を決めた中澤がリングインすると、中澤はマイクにて「無事勝つ姿を見せれて安心してます。次回2月に決勝があるので、また応援お願いします」とコメントすると、和田は「チャンピオンの石田選手しか見てません。(中澤の)試合見てましたけど、あんな生ぬるい試合しないので、僕がチャンピオンになるところを是非見に来てください」と強気のコメントを返した。
 トーナメント決勝は来年2月25日、176BOX「DEEP☆KICK ZERO」にて行われる。

第8試合 竹市一樹 vs. 中澤友

 もう1つの準決勝は同級5位の竹市一樹(MA二刃会)と6位の中澤友(ビンチェレあべの)の1戦に。両者は昨年3月にも対戦経験がありその際は中澤が左ハイで3RKO勝利を収めている。
 試合は1R、両者ともにサウスポースタイルに構え小まめにローを出しながら様子を見合う印象。竹市が圧をかけていくが時折見せる中澤の強烈な左ハイにストレートで中に入り切れないか、1Rは互角の印象。続く2R、前蹴りにローで手数を増やす中澤、一撃一撃に威力が見え竹市の右腿が瞬く間に赤く染まっていく。竹市もプレッシャーをかけながらローにパンチと繋いでいきたいが中澤のボディストレートとローをもらうシーンが増える。2R終了時点でのオープンスコアは3者共に19-20で中澤を支持。
 最終ラウンド、ゴングと共に距離を詰める竹市だが、中澤はリングを上手く周りながらローに左ハイを繰り出しながら距離を保ちに行く。やや疲れが見える中澤だが蹴りを軸にヒットを重ねる、竹市は終始圧をかけていきストレートに右フックで起死回生の一発を狙っていくが捕まえることが出来ず試合終了。判定は0-2で中澤が約1年半ぶりの試合で判定勝利を収め、一足先にトーナメント決勝進出を決めた。

第7試合 篤椰 vs. TETSU

 DEEP☆KICKランカーvs.K-1ファイターの1戦、身長差は約11センチTETSU(月心会チーム侍)が高く、1Rから強烈なジャブとストレートでTETSUが攻勢に出る。対する篤椰はローを蹴りながら入ってきたところにフックを狙っていく、膝蹴りも印象的だ。最中、篤椰がストレートに踏み込んだところにTETSUの飛び膝蹴りがクリーンヒット、ファーストダウンを奪う。ダメージは明らかだが篤椰も打たれ強い、決めに来るTETSUの攻めをらずガードしながらパンチを返していき1R終了。2Rは篤椰が近い距離にじわじわ詰めボディ・ストレート・フックと上下に打ち分けていきヒットを重ねる。対するTETSUも左フック・ストレートに顔面への膝蹴りを混ぜながら返していくが、やや篤椰のヒットが目立つか。2R終了時点でのオープンスコアは2名が18-19、1名が18-20で3者共にTETSUを支持。
 3R、後がない篤椰は果敢に左右のフックで攻めに入る。TETSUはやや下がりながらもジャブにフックと着実にヒットを重ねていき中盤にはTETSUがカウンターの左フックをヒットさせダメージの見える篤椰にストレート・フックと打ち込み2度目のダウン奪取。これが決勝点か、篤椰も最後まで倒れずに打ち合いに出向くがTETSUを倒すに至らず試合終了。1・3Rのダウンポイントがものを言い判定は3-0でTETSUが勝利を収めた。しかし倒しきれなかったことが悔しかったのか終始どこか納得のいかない表情を見せたTETSU。この1戦を次にどうつなげるのか、TETSUの次戦に期待したい。

第6試合 長谷川英翔 vs. 山田貴紀

 共にアマチュア時代からエリートとして鳴らしていた選手同士、長谷川英翔(誠剛館)は8月にABWバンタム級王者を戴冠しており1年9か月ぶりのDEEP☆KICKの地でも勢いは上々だろう。対する山田貴紀(山口道場)はまだプロ2戦ながらも実力には折り紙付きの新鋭だ。
 果たして1R、ゴングからハイに前蹴り・ローに膝と多彩に攻める山田に対し、ボクシングのフリッカーのように前手を下げた状態からの早いジャブを突きながら膝・フックと繋ぐ長谷川。しかし山田は冷静、ガードを固めながら返しの左フックにロー、ストレートと着実に返していく。長谷川も左フックに飛び膝と攻め手を変えていくが山田のガードを崩しきれない、ラウンド後半には山田の離れ際の右フックが長谷川にヒットしファーストダウンを山田が奪う。
 続く2R、前蹴りにハイと攻め手を緩めない山田、長谷川もジャブにボディ・ストレートに飛び膝蹴りと放っていくが印象的な一撃が出ない。都度、山田は前蹴りで長谷川を押し倒し、その後どんどんとジャブ・ワンツーで長谷川を後退させていくとラウンド中盤には左ハイからのストレートで再び山田がダウンを奪取。長谷川も立つがダメージが見える、決めに行く山田はパンチ・ハイで詰めていき最後はコーナーに詰めてのスタンディングダウンでレフェリーが試合を止め2R2分14秒、-55kgランキング上位の長谷川を相手に山田がTKO勝利を収めた。

第5試合 岩KING vs. 翔太郎

 8月「DEEP☆KICK ZERO 08」にて対戦した際に偶発的ローブローで2R13秒までの判定となってしまった岩KING(NJKF心将塾)と翔太郎(猛志会)の再戦、その際は岩KINGの判定勝利となっている。試合は1R、前回と違いサウスポースタイルに変えてきた翔太朗はローに右フックで距離を詰めていく。相変わらずのド派手なダンスで入場してきた岩KINGはストレート・ハイに加え前足・奥足にローを入れていく。膝蹴りも印象的だ、続く2Rでは構えをオーソに戻す翔太朗に更にローと膝の本数を増やしていき岩KINGが攻勢を見せる。2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-19、1名が20-18で3者共に岩KINGを支持。
 3R、ゴングから近い距離で打ち合いにくる翔太朗だが、岩KINGは冷静にフック・ローと着実にヒットを重ねていく。翔太朗はじりじり距離を詰めてパンチを振るうがロー・ミドルをカット出来ていない所が惜しい。結果、最後まで膝・ローを駆使しヒット数を重ねていった岩KINGが再選となった今回も判定勝利を収める形となった。

第4試合 花田麻衣 vs. 紗依茄

 今大会唯一の花、女子対決は2分3Rで行われた。試合は1Rゴングから互いに近い距離でバチバチに打ち合うと、パンチを軸にプレッシャーをかけていく花田麻衣(GROUND CORE)に下がりながらもローにミドル・左フックと着実に返していく紗依茄(月心会チーム侍)という構図に。続く2Rも同様に花田は圧をかけていく。序盤、紗依茄がローブローを被弾し一時試合が中断するも、紗依茄はペースダウンすることなくミドル・ローに強烈なストレートを混ぜていく。花田は愚直にジャブ・ストレートで圧をかけていくがややヒット数に差が出ている印象があるか、2R終了時点でのオープンスコアは1名が20-20、2名が19-20で紗依茄を支持する。
 3R、ここを取り勝利に向かいたい紗依茄だったが変わらず圧をかけながらパンチを振ってくる花田にやや押されていく。前蹴り・ミドルで花田を止めに行くが、花田は距離を詰めストレート・フックをヒットさせていくなど3Rは花田が攻勢を見せ、結果、判定は1-0(花田)のドローとなった。悔しい顔を浮かべた両者、いい試合内容だっただけに再戦に期待したい。

第3試合 井上大和 vs. 竹内龍馬

 1Rから互いに近い距離で始まる。早いジャブとパンチのコンビネーションで攻める井上大和(NJKF TOKEN KICKBOXING GYM)に対し、竹内龍馬(新宿レフティージム)もジャブを軸にストレートで前に押し出る。互いにパンチは早いも、井上はインローに膝を入れていくが竹内はややパンチ一辺倒になってる印象。2Rもハイにアッパーと打ち込む井上、竹内は膝蹴りを組み込みながらパンチを振るうがやや距離があってないか、ヒット数に差が出る。2R終了時点でのオープンスコアは3者共に20-19で井上を支持。
 3R、挽回したい竹内は果敢に前に出てストレートに膝で逆転を狙うが井上は避けながら着実にジャブ・ミドル・フックを返し好機を与えない。そのまま試合は終了し判定3-0で井上が判定勝利を収めた。

第2試合 保井広輝 vs. 嘉武士

 開始から着実にガードを固めながらロー・ミドルでポイントを取りに行きたい嘉武士(NJKF健心塾)だったが、保井広輝(WARRIOR OSAKA)はローに加え威力あるワンツー・フックにハイで嘉武士を後ろに下げる。嘉武士は冷静にジャブにローと放っていくが保井は気にせず威力あるパンチで踏み込む。2Rもローにパンチの手数を増やす嘉武士だが保井もストレートを数度ヒットさせるなど印象を残す、2R終了時点手のオープンスコアは3者共に20-19で保井を支持。
 3R、更にパンチの手数を増やして打ち合いに出向く嘉武士だったが保井はジャブに前蹴りを上手く使い決定機を作らせない。結果、3-0で保井がDEEP☆KICKランカーを相手に判定勝利を収めた。

第1試合 武政空護 vs. 西村孝幸

 第1試合から白熱の1戦に。今回がプロデビュー戦となる武政空護(SMOKER GYM)は1Rから果敢に攻め入る。対する西村孝幸(ビンチェレあべの)もフックにローと返していくがやや大振りか。ラウンド後半にはストレートで武政がファーストダウンを獲得し1Rは武政が優勢となるが2R勝負は急転する。序盤から距離を詰めフックにストレートと詰めていく武政、対する西村も打ち合いに転ずるとカウンターの左フックが武政にクリーンヒット、お返しのダウンを西村が奪う。ダメージの見える武政、西村はここを逃さまいと一気に距離を詰めていきパンチのラッシュで2度目のダウンを奪うとレフェリーが試合を止め、2R37秒、西村がTKOで嬉しいプロ初勝利を飾った。

〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合

 OPファイトでは3戦が行われると、1戦目では-24kg対決にて辻柊羽(NJKF誠輪ジム)が判定勝利を収めると、続く2戦目は榎木友星(ビンチェレあべの)が2Rに右フックでダウンを奪い判定勝利、3戦目は野村登生(月心会チーム侍)がハイにパンチのラッシュで2RTKO勝利とアマチュアファイトながらもダウン・KOありの激戦が繰り広げられ、DEEP☆KICK 68大会に確かな勢いをつけた。