[ファイトクラブ]観客動員苦戦も好試合連発! 天龍PROJECT『龍魂杯』新木場大会

 天龍プロジェクトが贈るシングルトーナメント『龍魂杯』が今年も開催された。全16選手参戦となる第3回大会は新木場1stRING大会で開幕。11・19後楽園ホール大会で行われる決勝戦の1枠を争った新木場大会は、観客動員に苦戦しながらも珠玉の好勝負連発と、天龍プロジェクトの底力を垣間見る大会となったのである。


[週刊ファイト11月16日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼観客動員苦戦も好試合連発! 天龍PROJECT『龍魂杯』新木場大会
 photo & text by 鈴木太郎
・実質100人もいない新木場で大満足のボリューム
・龍の子供達の試合は素晴らしい
・1回戦から天王山!『矢野啓太-新井健一郎』前年覇者矢野勝利
・若手有望株・吉田和正下し児玉裕輔1回戦突破
・天プロジュニア二冠王者・進祐哉が田村男児撃破!
・佐藤耕平-河野真幸ヘッドロック&脚4の字攻防唸る新木場!
・試合順と脚攻め貯金明暗分けた『佐藤耕平-児玉裕輔』
・ジュニアタッグ王者『進祐哉-矢野啓太』対決矢野に凱歌
・Bブロック前哨戦ドローも不参戦・岩本煌史が印象刻む皮肉
・矢野啓太ゆりかもめ改児玉裕輔ギブアップ葬で決勝進出


■天龍PROJECT 『第3回龍魂杯』
■日時:2023年11月6日(月) 19:00開始
■会場:東京・新木場1stRING
■観衆:未発表

 2021年に再始動を果たした天龍プロジェクトが贈るシングルトーナメント戦『龍魂杯』が今年も開幕した。2023年で第3回を迎えた今回のトーナメントは、全16選手が11・19後楽園ホール大会で行われる決勝戦と優勝を目指す事になるのだが、決勝進出者1名を決める開幕戦の新木場1stRING大会は驚くほど集客に苦戦する様子が見受けられた。北側の座席は封鎖して、東西と南のパイプ椅子席は各1列のみ。南側雛壇の座席にも人はまばら。観衆未発表となったものの、実質100人もいなかったのではないかという状況である。それでも、終わってみればオープニングからチケット代の元を取る試合の数々により、生で観戦した事への満足度の高さを提示していたのは疑いようのない事実であった。

 『龍魂杯』において特筆すべきは、トーナメント公式戦の消化方法だろう。近年のプロレス界におけるトーナメント戦は、1回戦、2回戦、準決勝・決勝と、各ステージに分けて公式戦を消化していくことが通例である。しかし『龍魂杯』の場合は、トーナメントの片方の山にあたる8選手の公式戦を1大会で消化することで、決勝進出者を決める流れが採用されている(1回戦⇒2回戦⇒準決勝)。その為、休みを挟みながら万全のコンディションで公式戦を迎えられる通常のトーナメントとは異なり、前の試合のダメージが次の公式戦に直接反映される要素も孕んでいた。

 この利を今回上手く掴んだ選手が、1日3試合を闘ってトーナメントベスト4という結果を残した児玉裕輔だろう。1回戦で大日本プロレスの吉田和正を下した児玉は、2回戦で佐藤耕平と激突。2m近い身長から強烈な蹴りを放つヘビー級の耕平に対し、Jr.ヘビー級の児玉という構図は体格差で圧倒的に不利な組み合わせであったが、1回戦で河野真幸の脚攻めに遭っていた耕平のダメージを見逃すことなく児玉は脚攻めを敢行。最後は丸め込みで児玉が3カウントを奪ったが、ダメージを与え続けた耕平の脚を極めるように固めた様は技ありというより他なかった。

 準決勝にしてAブロック代表を決める今大会のメインイベントでは、『龍魂杯』連覇を狙う矢野啓太の前に惜しくも敗れたものの、相手に掴み所を与えない児玉のオールラウンダーぶりが遺憾なく発揮された新木場大会だったように思う。一方の矢野啓太も、新井健一郎、進祐哉、児玉とJr.ヘビーのテクニシャンを撃破して連覇に王手をかける盤石の勝ち上がり。一足先に決勝進出となった矢野は、決勝の対戦相手が決まる11・11大阪大会のBブロック出場選手達に「しっかり大会盛り上げて、かかってきてください。」と余裕も窺えるコメントを残した。
 矢野がメインイベント後のマイクで触れたように、11・19後楽園ホール大会では、天龍プロジェクト創設者であり”キングオブ天龍プロジェクト”(by矢野)の天龍源一郎が、長きにわたる療養生活から久方振りに公の場への来場も予定されている。キング不在の中でも、龍の子供達が紡ぐ闘いは間違いなく素晴らしかったと言えよう。

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1回戦から天王山!『矢野啓太-新井健一郎』前年覇者矢野勝利

<第1試合 第3回龍魂杯1回戦 15分1本勝負>
○矢野啓太
(9分13秒 ゆりかもめ信長)
●新井健一郎
※矢野が1回戦突破

 オープニングから天王山の様相を呈したテクニシャン同士による一戦。前年度覇者の矢野啓太といえども、新井健一郎との極め合いと読み合いの応酬は一進一退。観客が声援を送ったり拍手をしたりすることも憚られてしまう程の静寂と緊張感は、普段のプロレスの試合では中々感じる事の出来ない雰囲気であった。【優勝候補がトーナメント初戦敗退】という恐怖がプロレスには往々にしてあるものだが、最後に試合を制したのは前年度覇者の矢野啓太だ。腕と足を極めて新井健一郎を屈服させる文句なしの一勝で、二回戦へと駒を進めた。

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