【10.1 徳島 DEEP☆KICK TOKUSHIMA 試合結果】
10月1日(日)徳島県石井町・石井町中央公民館において『DEEP☆KICK TOKUSHIMA』が開催された。石井町として初のキックボクシング大会の開催とあって会場を始め機器スタッフやリングアナウンサーにラウンドガールなどのスタッフも経験はなく地元に所縁のある方たちが集められると、アマチュア・プロ選手たちも徳島県を始めとする四国勢が多数集結、本選は5試合のみとなるも内3戦はKO決着・試合内でもダウンの応酬が起きるなどの熱狂を魅せると最後は地元の英雄である稲井良弥が1RTKOで王座防衛を達成し、初の地方興行となった「DEEP☆KICK TOKUSHIMA」を最高の盛り上がりで締めくくった。
大会途中には会場を訪れた徳島県知事である後藤田正純知事の挨拶、本選開始前には地元である石井町長の小林智仁町長がリングに登壇。石井町でDEEP☆KICKが開催されることへの感謝・メインイベンターであり今回の大会開催のきっかけにもなった稲井良弥との縁、何よりは会場にご来場された皆様への感謝を述べた。すると会場では青少年の健全育成に役立ててほしいとDEEP☆KICKの収益の一部を寄付することが発表されDEEP☆KICK実行委員長である林裕人がリング上で小林智仁町長に寄付金を手渡し、会場からは温かく大きな拍手が送られた。
初の徳島大会「DEEP☆KICK TOKUSHIMA」は試合の盛り上がりはもちろん、本選5試合には各試合のプレゼンターである企業に加え、チャットモンチー済のaccobin(福岡晃子)・徳島良弥会・株式会社アドバンスなど様々な方々からの勝利者賞の贈呈に、選手1人1人にも会場全体が大きな拍手を都度送ってくれるような徳島県の温かい県民性にも触れられた大会であった。
(文・三野龍生/写真・株式会社アドバンス)
メインイベント 稲井良弥 vs 龍威地
地元の英雄が凱旋試合に臨む、石井町出身でありDEEP☆KICK-70kg第4代王者である稲井良弥(TARGET)が自身2度目となる王座防衛戦に臨んだ。挑戦者に選ばれたのは龍威地(NJKF ARENA)、両者は2021年9月に対戦経験がありその際は1RTKOで稲井が勝利を収めている。リベンジと王座奪取に燃える龍威地を招き入れての地元英雄の防衛戦とあって会場は徳島良弥会を中心に超満席、試合開始前には両選手に花束が贈呈され会場は今か今かと試合への期待が膨らんでいた。
迎えた1R、初の地元試合とあっても稲井は冷静、距離を保ちながら龍威地の攻めを伺いワンツー・・ボディにハイ・飛び膝蹴りと多彩に繰り出す。対する龍威地も好調が伺える、時折訪れる稲井の強打にも恐れず前に踏み込み打ち合いに転じ左フックをヒットさせるなど2年前とは違うぞという気合を見せる。試合はそのまま静かに進むと思われたが急転、1R終盤に稲井が圧をかけていくとストレートからのハイキックでファーストダウンを奪う。立ち上がる龍威地だがダメージは明らか、この機を逃さまいと稲井は一気にラッシュ、ワンツーフックに右ハイと打ち込んでいき最後はレフェリーが龍威地のダメージを見てレフェリーストップ、2年前は1R2分44秒のKOタイムだったが今回の防衛戦は1R2分54秒とタイムまで近い再びの1RKOで2度目の防衛を飾った。
会場はお祭り騒ぎだ、チャンピオンベルトを後藤田正純知事と小林智仁町長の2名より巻かれると安堵の気持ちが強かったのだろう、どこか安心した顔を覗かせた。マイクでは「喋ること忘れちゃいました」と放ち笑いを誘うと「地元徳島県で徳島良弥会を始め子供のころからお世話になっている人たちに囲まれて防衛戦が出来て幸せです」と感謝を述べた。そして「皆さん、キックボクシングどうでしたか!」と会場に問うと最高!の声に囲まれ、そのまま実行委員長・林裕人にまた徳島大会の開催を直訴した。
その後はリング上でファンたちとの記念撮影が行われるとさすが地元英雄、写真待ちの行列が出来ると長らくリング上で撮影会が行われた。稲井にとって忘れられない1日になった徳島大会、しかしこれで終わりではない。昨年あと1歩届かなかったRISEのチャンピオンベルト、次こそは必ず獲るとファンたちに確かな決意と共に約束した。まだまだ留まることを知らない稲井のキック人生にこれからも期待だ。
セミファイル 田邉雅弥 vs 山本裕規
セミファイナルに登場するのはこちらも徳島県出身のキックボクサー・田邉雅弥(Blaze)。6月には王座決定戦に挑むも石田迅(LEGENDGYM)に無念の1RTKO負けを味わい今回が復帰戦となる。対するは奈良県出身・山本裕規(teamYAMATO)、こちらも5月にJAPAN CUP KICKのタイトルマッチに挑み延長にもつれ込むも無念のTKO負けで今回が復帰戦となる。似通った両選手の現状だが、果たして。
1R、サウスポーに構える山本は早い踏み込みでストレートを走らせる。対する田邉は冷静にローを蹴りながらパンチを返す。すると早くも1R、これまで多数のKOを稼いできた田邉の膝が牙をむく、1R後半近い距離になると顔面への膝蹴りが山本にヒット、田邉がファーストダウンを奪う。続く2Rも田邉は近い距離に近づくと膝を中心に倒しにかかる。山本もストレートにフックで状況を打破したいが押され気味か、2R終了時点でのオープンスコアは3者共にフルマークで田邉を支持。
3R、後がない山本は逆転KOを狙い近い距離に踏み込んでいくが、逆に田邉のパンチをヒットする展開が続く印象。田邉は冷静に返しながらもKOを狙う、自慢の膝とパンチで攻勢に出るも試合はそのまま終了、判定は3者共に30-26のフルマークで田邉が判定勝利を飾った。
しかしKO勝利が出来なかったことが悔しいのか、どこか納得のいかない様子の田邉はマイクで「こんな試合になってしまいすいません」と謝罪すると「この後メインイベントに出る徳島県大将の稲井が最高の試合を見せてくれるので応援お願いします」と稲井へのエールを送るとリングを後にした。地元で確かな実力を見せ勝利するもまだまだ自分を甘やかさない、次こそは石田へのリベンジとベルト奪取を叶えられるか。
第3試合 MA-SHI vs 内本築
NJKFを主戦場に長年プロ生活を戦ってきてこれが3年半ぶりの試合となるMA-SHI(方上道場)、SNS上でも最後の戦いと明言しており地元徳島での有終の美を飾れるか。対するは内本築(NJKFteamBonds)、威力抜群のパンチが魅力の好ファイター。MA-SHIが試合を巧みに操るか、内本がハードパンチでKO勝利かと予想される試合だったがMA-SHIは首相撲なしのルールに慣れないか、度々の組付きによりレフェリーより2Rまでに口頭注意・警告が入る。対する内本はやや距離が近すぎるMA-SHIに苦戦か、パンチを振って押していきたいが手が出ない状況が増える、2R終了時点でのオープンスコアは1-1でイーブン。
3R、互いに近い距離で打ち合うとここで生きたのはMA-SHIの覚悟だろう、内本のハードパンチに怯むことなく前に打ち出る。内本も最後まで戦い抜くも最終ラウンドの攻勢を見せたMA-SHIが2-0で判定勝利、最後の挑戦を地元徳島県で飾りリング上では大粒の涙をこぼした。
第2試合 白鳥光希 vs 中嶋愛樹斗
RISEなどでプロ戦績6戦4勝2敗4KOを誇る白鳥光希(正道会館KCIEL) vs プロ4戦4勝4KOを誇る中嶋愛樹斗(誠剛館)の勝利全てがKO決着という新進気鋭のスター候補と言える両者の一戦は注目度も高く、事実試合は大会ベストバウトと言っても過言ない激戦を魅せた。
1Rは互いに様子見か、静かに終わるも2Rに勝負は急激に動いた。まずは白鳥がファーストダウンを奪い会場を沸かすと中嶋が次はお返しのダウン奪取で更なる盛り上がりを呼ぶ。その後も中嶋が1度ダウンを奪い2Rだけで3度のダウンの応酬が起きると続く3R、ダメージが見える白鳥に最後はストレートでとどめとなるダウン奪取。レフェリーが即座に試合を止め3R2分3秒、期待通りのKO決着で中嶋が全勝全KO記録を伸ばした。
第1試合 平尾一真 vs 龍聖
徳島県・石井町初となるキックボクシング興行の先陣を切るはプロデビュー戦となる香川県出身の平尾一真(Blaze)vs プロ5戦目の龍聖(NJKF健心塾)。試合はジャブを狙っていく龍聖に対し平尾が強力なカーフキックをヒット。はじめはタイムストップとなるもレフェリーがダウンであると認めダウンカウントが入る。立った龍聖だったが平尾の再びのカーフキックで2度目のダウンを奪われるとレフェリーが試合を止め、1R1分18秒で平尾がプロデビュー戦をTKO勝利で飾り、徳島県にプロキックボクシングの迫力を見せつけた。
〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合
OPイベントでは総勢16名8試合が行われると徳島県・石井町初のキックボクシング大会だけあって開場時間からOPファイトが始まるまでに会場は早くも観客で埋まっていき、試合はまだ8~9歳のキッズたち2試合で始まると、その後どんどん階級・年齢が上がるにつれ迫力も増していく。会場の熱狂も影響したか、第6試合では水野夢斗(TEPPEN GYM)が、第7試合では平野巧太(魁塾)がアマチュアではありながらも強力な攻めを見せ1RTKO勝利を連続で魅せる。最後は香川県出身・香川刻(Blaze)が山下真準(BKジム)との接戦を見事判定勝利で収め、「DEEP☆KICK TOKUSHIMA」のスタートに確かな勢いをつけた。