[ファイトクラブ]スターダム記念すべきNEW BLOOD10回大会☆MVPは安納サオリ!

[週刊ファイト8月24-31日合併号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼スターダム記念すべきNEW BLOOD10回大会☆MVPは安納サオリ!
 photo & text by 甘井公平
・桜井まい不在!こんな便利な会場あった品川ザ・グランドホールとは?
・なぜだ? 今宵は「Strong Spirits」新日本のリングで戦う選手達のワケ
・なんと「パッション注入マッチ」ベストバウト飯田沙耶が人間国宝に奮闘
・「超新星5番勝負」延長戦、関西人対決は天咲光由ダダすべり11分半
・安納サオリ内心「あかんなぁ この子」やむなくBABYMETAL♪女狐鳴る
・試合作れず酷い学芸会メイン16歳吏南Future防衛戦31歳月山和香
・どうした吏南? セコンド指示仰ぐも今宵は見せ場なきチャンピオン運び
・水森由菜コズエン査定マッチ なつぽい合格サインも中野たむ60kg令
・熊本の浮沈艦、ユニット加入は次回たむとの直接対決へ持ち越しに!
・鈴季すず・星来芽依トンパチ・マシンガンズ絶好調!羽南&妃南7分半
・レディ・C身長差30㎝狐伯 切り返し抑え込み合戦ヨーロピアンクラッチ
・当日変更第1試合HANAKO中西学風大化け6人タッグWAVE組勝利


■ スターダム FIBREPLEX presents NEW BLOOD 10回記念大会
日時:8月18日(金)
会場:東京 ザ・グランドホール 観衆361人(超満員札止め=主催者発表)


 スターダムが新人を中心に多団体と交流する小規模大会として始まり、当初は男子プロレスでいえば「ジュニア・オールスター」的な世界観であったNew Blood。会場は「竹橋New Pier Hall」、「ベルサール高田馬場」、「新宿住友ホール」、そして定番「品川インターシティ・ホール」。収容人数はみな300~500人程度、すべて企業向けの大型貸会議室であり、コロナ禍でブシロードが興行会場として安く借り始めたのがきっかけだ。(ビッグマッチとセットだった横浜武道館大会を除く)

 第2回大会から開催趣旨が露骨に「超新星・天咲光由を売り出す場」となった上に、その天咲本人が私生活の問題と生来のなまけ癖から「バックレ」が多くなり、当日カード変更が増えてきた。なにしろ天咲のために新設した「New Bloodタッグ王座」初代王座決定戦まで、前日にバックレるほどだ。
 やむなくスターダム本隊選手が入れ替わり穴埋めしているうちに、本隊ではDDMの一員としてくすぶりかけていた桜井まいが「貴婦人」キャラでブレイク。なんと富士そばをスポンサーに獲得し、「私はこれからスイートルームへ戻りドンペリで勝利の美酒に酔いしれる。庶民のお前たちは、富士そばでかけそばでもお食べなさいっ!」のマイクパフォーマンスで大人気に。このキャラは本隊でもヒットし、地方興行では「ドンペリ」がその地方の名産物(名古屋なら味噌カツ、札幌ならカニ、後楽園ホールなら後楽園飯店のフカヒレなど)に変わることから、本隊興行では欠かせぬ存在となった。

 ストーリーや軍団抗争の垣根に固執して興行時間が長くなり、冗長な本体興行とは異なり、全試合15分1本勝負とスピーディーな展開が受け、スターダムファンの中でもコアなマニア層が足を運ぶようになった。前回の9回大会(6・2品川)は首都圏台風直撃で新幹線も止まり在来線もダイヤが乱れて危険な中、多くのファンが「貴婦人様からの富士そば品川港南口店サービス予告」目当てに駆け付けた。

 そして迎えた10回記念大会、驚いたことが3つ。

桜井まい不在!こんな便利な会場あった品川ザ・グランドホールとは?

 1つ目。会場は同じ品川でも初めての「ザ・グランドホール」だが、まずカードを見て驚いた。New Bloodの功労者・桜井まいの名前がない! 団体からは怪我の発表などもないので本人のSNSを確認したところ、8・9に「5★STAR GP(スターダムで毎年夏に行われている、新日のG1のような企画)出場を逃したのを機に〝超・貴婦人化計画〟と題し、修業の旅に出ます。庶民ども、パワーアップした貴婦人に期待しなさい!」とのこと。そのわりに、翌日以降もYouTube用の富士そば各店での撮影のみならず、「鳥貴族」などで食べ歩きなのが謎なのだが…。

▼桜井まい「超・貴婦人化計画」とは?

▼会場では早々と売りきれ!

 そしてまったく見せ場なく全敗で終了した天咲の「超新星5番勝負」が、「5番勝負EX」と題して、いまスターダムで人気ナンバー1、写真集も重版出来の安納サオリとシングルが組まれている。横浜アリーナでは林下とのタッグでフワちゃんとの戦いが全国ネットのTV放映、タッグリーグでは団体生え抜きのテクニシャンAZMと組み、中野たむにダンスを教わりと特別扱いがまだ続く。ロッシーの「次のエースは天咲」との思いは、想像以上に強固だ。筆者は非常に疑問であり毎回、天咲の扱いに異議を呈してきたが、スターダムとは何の利害関係もないYouTubeでもプロレスファンの某芸能プロデューサーやアイドルは「天咲はいい! プロレスの技など関係ない。この顔と瞳は芸能界でも軽く10年に一人の逸材だ」と絶賛していた。
 プロの目からみてそういうものなのか? さて、キャリア十分の仕合巧者でありハングリー精神も強く、移籍してきたばかりの安納が、天咲と15分間でどんな試合を見せるのか?

 2つ目は当日会場について驚いたのだが、「10回記念大会 ザ・グランドホール」と煽れば、だれもが「いつもより広い会場なんだろうな」と思い品川に来場したはず。しかし到着してみると、ここはいつもの大型貸会議室ではなく、講演会に使われる中規模会場。花道こそ組めないがひな壇が実に見やすい。音響も照明も問題なし。「後楽園ホールの南側ひな壇席だけ半分残した感じ」で350席ほど設けてある。交通至便な品川駅から徒歩3分、こんな会場が使えるなんて! この会場、調べてみるとコロナ禍で講演会はオンラインや配信販売が主流となり今やアイドルやゲームのイベント会場によく使われている。各団体営業担当の方は、まだまだ奮起していただきたい。ブシロードならではの政治力もあるが、なにしろビルの隣は新幹線乗り場なのだから、いつもうす暗い新木場などよりはるかに地の利が良い。

なぜだ? 今宵は「Strong Spirits」新日本のリングで戦う選手達のワケ

 そして3つ目に驚いたのが、今日のリングは新日本プロレスのモノ。堂々と「Strong Spirits」のロゴがある。これは翌日の大田区総合体育館でスターダムのビッグマッチ「STARDOMミッドサマーフェス」設営に回っているので、G1が終了し渡米巡業中である新日の興行用リングを借りたのだろう。クッションがフワフワのスターダム道場リングではなく、新日本の固いリングだが圧倒的に見栄えはよい。

なんと「パッション注入マッチ」ベストバウト飯田沙耶が人間国宝に奮闘
<第6試合 パッション注入マッチ 15分1本勝負>
〇高橋奈七永(7Upp)
 14分2秒 ナナ☆ラッカ ⇒ エビ固め
●飯田沙耶(STARS)

 とにかく最近の飯田はくすぶっていた。あるバラエティ番組で岩谷が「去年の年収は3,000万円くらいかな」、「都内のタワマンでたくさんの犬と暮らしている」、そして「掃除と家事が大の苦手で、すべて飯田にやらせている(笑)」と発言し、隣の飯田は苦笑い。いくら地味で同じユニットの若手選手とはいえ、これでは家政婦扱いだ。

 このパッション注入マッチは「女子プロ界の人間国宝」高橋奈七永による若手査定マッチ。このシリーズもNew Blood名物として定着したが、実はコロナ禍で休憩時間なしの中「トイレタイム」と化していたのが事実だ。相手は、団体屈指のパワーファイターとはいえ華がなく、人数合わせ要員のゴリさんこと飯田。しかし今日は違った。
 15分1本勝負を活かし飯田が実に頑張った。間違いなく本日のベストマッチであり、会場の盛り上がり方では断トツ。予想通りのパワー合戦とはいえ、大ベテランの高橋相手にグラウンドでもエルボーとマウントパンチ連打。立ち上がっても低空ドロップキックからラリアットなど打撃であわやの場面が再三にわたり、席を外しかけた観客もあわてて戻る。

 翌日のビッグマッチ(大田区総合体育館「STARDOMミッドサマーフェス」)で復帰する中西百重がセコンドについた高橋も、二人で驚いた表情に変わり、慌てて高角度バックドロップから攻守交替。スリーパーやクロスフェイスロックで攻めたてるも飯田はこれに耐え、再び両者立ち上がって打撃の攻防に。攻め込まれた飯田は昔日の小橋建太のごとく耐えに耐え、最後は高橋のラリアットに1回転半しながらもフォールを許さない。
 13分以降は大イーダ・コールで、「パッション注入マッチ」初の時間切れ引き分けか? の雰囲気の中、高橋の隠し技である延髄切りからのラリアット、最後はナナ☆ラッカでやや強引にフォール。

高橋「飯田飯田飯田飯田飯田!!! パッション!パッション!パッション!パッション! 私の言いたかったのはこれだ。こういう試合、いいよな? 飯田、人生諦めたら終わりだよ。パッションがあれば、近いうちベルトも負けるんじゃないか? どうした、泣いてるのか?」

飯田「涙じゃない! 汗ですよ。 今日はいい汗かいた。高橋奈七永と戦って分かった。ベルト巻いて恩返ししてやる!」

※高橋のマイクを場外で正座して聞く羽南(同じSTARS仲間)

 次回の「パッション注入マッチ」はマイク後に星月が乱入し、試合決定。

 スターダム本隊でもありえない、ハードヒットマッチだったが、高橋奈七永はそもそも2011年のスターダムの旗揚げメンバーであり、ルチャ系の動きが合わず「全女流の濃い戦い」を目指してSEAdLINNNGを立ち上げた経緯がある。全女云々はともかく、スターダムでもこのような試合を待ち望んでいたのだろう。

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